日の丸構図・額縁構図を極めよう|tomosaki
はじめに
こんにちは、フォトグラファーのtomosakiです。普段は、青春や物語を感じさせるシーンをテーマに撮影をしています。特に風景の中に人物を配置した作品を得意としており、地元福井県の美しい自然を活かして撮影することが多いです。
写真をご覧いただく方から「撮影時に意識している構図は?」と質問をいただくことがよくあります。実は、私の作品では日の丸構図や額縁構図を多用しています。これらの構図を選ぶ理由は、シンプルながらも印象的な画作りができる点にあります。今回はこれらの構図で撮影する際に私が特に意識しているポイントをお伝えします。
日の丸構図とは?
日の丸構図とは、被写体を画面の中央に配置している構図です。
名前の通り、日本の国旗「日の丸」に由来しており、中心に置かれた赤い丸(太陽)とその周囲の白い背景をイメージした、シンプルで分かりやすい構図になります。
日の丸構図は、長所として見せたい被写体を強調することができます。視線を中央に集めることができるので、見やすく安定感があります。
一方で、短所としては画面が単調になりやすかったり、場合によっては初心者っぽく見られてしまいます。
私は日の丸構図を魅力的に見せるには、2つの条件を満たす必要があると考えています。
1つ目が、被写体を小さく見せること。
2つ目が、背景を極力シンプルにすること。
だと思っています。
こちらはフィルムカメラで標識を撮った写真です。もちろん標識に目はいくのですが、よく見るようなありきたりな写真だと感じてしまいます。
次に、被写体を小さく写すことと、背景をシンプルにして同じ標識を撮影しました。1枚目と2枚目を比較すると、3つの違いがあります。
•背景との対比
1枚目では若干被写体が中央から外れているため、視線が少し分散しますが、2枚目では標識がしっかり中央に配置されており、構図全体がバランスよく仕上がっています。
•安定感
2枚目は被写体の配置が中央にあるため、全体的に安定感がある印象を与えます。日の丸構図の持つ「安心感」や「均整美」が感じられます。
•被写体の中央配置
2枚目は標識が画面の中心により近く配置されており、視線が自然と被写体に集中します。「主題の強調」がより効果的に達せられています。
このように、3つのことを意識するだけで写真をより良く魅せることができます。
額縁構図とは?
額縁構図とは、写真の中で被写体を周囲の物(木の枝、窓枠など)で囲み、まるで額縁の中に収めたように見せる構図です。
街中で額縁に飾られた絵や写真を見ると、つい目を向けてしまうことはありませんか?人間の目は自然とフレームや囲いの中心に引き寄せられる性質があります。同じように、写真の中に額縁を作ることで、視線を自然にその中の被写体へ誘導することができます。
簡単に額縁構図を見つけられるおすすめとしては、室内で撮影をすることです。窓枠や扉など、室内では簡単に枠を作ることができます。
逆に外から室内を撮ることでも、額縁構図を容易に作ることができるので、室内で構図を探す前に外から構図を探すのもおすすめです。
また、空を撮る際にもただ空を撮るのではなく、枠を使って撮影することでより印象的な写真を作ることも可能です。
日の丸構図と額縁構図の組み合わせ
日の丸構図と額縁構図を組み合わせることで、より写真を魅力的に見せることができます。具体的には以下の2つです。
•主題がより引き立つ
真ん中に主題を置き、それを額縁で収めることで、被写体が視線の集中点となり主題が一気に引き立ちます。
•写真に立体感を加えることができる
額縁を前景に入れることで、写真全体に奥行きと立体感を加えることができます。日の丸構図の中心的な配置が、視線を額縁内にしっかりと誘導するので、奥行きが強調されつつも主題がぶれません。
さいごに
いかがでしたでしょうか。日の丸構図と額縁構図、この2つを組み合わせることで、被写体の魅力を最大限に引き出し、美しく整理された写真を撮影することができます。少しでも参考になれば嬉しいです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
■フォトグラファー:tomosaki
2000年生まれ、福井県出身。現在は福井県と神奈川県の二拠点を中心に活動中。「青春や物語を感じるシーン」をテーマに撮影している。2023年よりフリーランスフォトグラファーとして活動。2020年「東京カメラ部10選U-22 フォトコンテスト」に入選。2022年KADOKAWAより「あの頃にみた青は、」、モッシュブックスより「L&SCAPE 撮りたい世界が地元にある」を出版。