撮ることを夢中にさせるカメラ、ニコン Z50II
はじめに
こんにちは、フォトグラファーの鎌田風花です。12月13日にニコンからZ50IIが発売となりました。前モデルのZ50から大幅にアップグレードし、多機能でありつつも直感的な操作がしやすくなった部分もあります。
カメラのプロモーションなどに少し携わらせていただき、一足早くじっくりとZ50IIを使っているので、機能やおすすめポイントなどをご紹介したいと思います。これから写真を始めようと思っている初心者の方から撮影に慣れている方まで、幅広く愛されるようなカメラになっています。
コンパクトなZ50IIは日々の相棒に
まずボディのサイズ感を確認するため、Z50IIに2本のDXレンズを装着した外観がこちらになります。
ボディがコンパクトなZ50IIですが、グリップが深くカメラを構えた時に手にフィットする持ち心地の良さを感じます。安定して構えられることにより、手ブレを防ぎ、持ち続けた時の疲労感も大きく軽減されます。
撮影ではキットレンズの一つでもあるZ DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRを一緒に使うことが多いのですが、グリップのないカメラと比べると指や手首への負担が軽減されました。DX 24mm f/1.7の組み合わせだと、普段から使っているような小さめのバッグに入れることもでき、日常でさっとカメラを構えることが増えて日々の良き相棒となります。
Z50IIで撮影をする時は大体この2本をいつも一緒に持ち歩いています。広角から望遠までカバーできるズームレンズとボケ感が美しい単焦点レンズの組み合わせは、いろんなシチュエーションに対応できるので旅行に持って行くのにもおすすめです!
Z DX 24mmはF1.7という明るさに加え、最短撮影距離が0.18mと短いです。ぐっと被写体に寄って撮影した時の大きなボケ感は一度使うとハマってしまいます。Z50IIとも相性が良く、どちらもコンパクトなサイズなのでフットワーク軽く撮影ができます。
自分の世界観を表現できる、フレキシブルカラーの魅力
Z50IIを語るうえで欠かせない機能が「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」です。
これはピクチャーコントロールの一種で、写真や動画の“色味や質感”を自由に調整して撮影できる機能です。調整したものを「イメージングレシピ」と呼び、それをカメラに取り込むことで、自分だけのオリジナルの色味で撮影ができます。イメージングレシピはニコンのソフトウェア【NX Studio】で作成します。調整できる内容はコントラストや明瞭度などの「詳細調整」、8種類の色味を調整する「カラーブレンダー」、シャドウ部やハイライト部の色味を調整する「カラーグレーディング」です。
ピクチャーコントロールを使うことで、簡単に写真の雰囲気を変えられます。また、撮影の時点で好きな色味や雰囲気が反映されているので、仕上がりイメージが分かりやすいです。自分でイメージングレシピを作るのは難しい…!という方は、現在さまざまなクリエイターのイメージングレシピがダウンロードできるようになっているので、ニコンの特集ページを参考にしつつ、使ってみたいレシピをダウンロードしてお試しください。(2024年12月時点の対応機種:Z6III、Z50II)
ここでは私が作成した「Tender Clear」を元に、どのように写真の雰囲気が変わるのかをご紹介したいと思います。このレシピは、優しく透明感のある世界観を表現するために作成しました。写真が柔らかな印象になり、優しく爽やかなトーンになります。光を多く取り込むようなシチュエーションが得意です。適正露出〜少しハイキーめに調整するとレシピ本来の雰囲気に近くなります。
仲良く3輪並ぶコスモスが可愛く、140mmの望遠端で立体感が出るように撮影しました。色味や明瞭度などの調整により、全体的に柔らかなトーンとなっています。参考までに、ピクチャーコントロール「オート」で撮影した写真と比べてみます。
撮影時は光が強く、オートだと色がしっかり乗ったメリハリのある写りになります。写真全体を柔らかな印象にしたい時や、緑を落ち着いた爽やかな色味にしたい時にはTender Clearを使用するのがおすすめです。
青にも特徴があります。カラーブレンダーの青を少し緑みに、カラーグレーディングのシャドウに青みを足して調整することで、爽やかな青になるようにしました。シャドウを持ち上げることで、暗部が少し明るくなりディテールが確認できるようになります。
ふと見上げると、空と紅葉の美しいコントラストに目を奪われました。真上は単焦点だと距離の調整ができないので18-140mmのズームレンズの便利さを実感できました。
レシピには少し青みが乗るため、暖かみのある雰囲気で撮りたい場合はホワイトバランスを調整することをおすすめします。この時は紅葉の赤みを強調するために曇天モードにしています。ホワイトバランスを調整することで、しっくりこないシーンでも色味が馴染むことがあります。
さらにZ50IIでのピクチャーコントロールのおすすめポイントが2つ。まず1つめは独立したピクチャーコントロールボタンです。今まではiボタンからピクチャーコントロールを選び、さらに使いたいものを選んで選択する、といういくつかの手順が必要でした。専用ボタンが搭載されたことで、設定の時間が短縮され操作も簡単になりました。
2つめは、たくさん種類があるピクチャーコントロールの中からお気に入りのものだけ絞り込んで表示させることができるようになった点です。選ぶのに時間がかかってしまっていたのが時間短縮になり、この2点でよりピクチャーコントロールが使いやすくなりました。自分が好きだと感じる雰囲気で撮れると、写真がますます楽しくなります!
安心して任せられるAFと明るいEVF
Z50IIは初心者でも使いやすいカメラではありますが、中身は最新技術が惜しみなく搭載されています。AF性能は上位機種譲りで、ポートレートや動物を撮っていてもすぐに被写体を認識し、追尾速度も速いです。以前は被写体が離れるほどピントがずれていることもあったのですが、少し遠くにいてもピントが合いやすくなり失敗も減りました。
ふと目線を上げた時の柔らかな表情が自然体で、お気に入りの1枚です。カメラが瞬時に人物を認識することで、一瞬の表情やシャッターチャンスを逃すことなく捉えます。
ピントの合わせ方を自動で切り替えるフォーカスモード「AF-A」の性能も上がっています。普段私は動いている被写体にはAF-Cを、止まっているものにはAF-Sを使い分けることが多いのですが、Z50IIはAF-Aに設定しておけばカメラが静と動を適切に判断して切り替えてくれるのでとても便利です。
西陽に光るススキが美しく、逆光で撮影することで穂がキラキラと光を含むように切り取りました。
逆光時は光の影響を受けて背面モニターが見にくくなるので、ファインダーを覗いて撮影をします。Z50IIは電子ビューファインダー(EVF)がZ50の約2倍明るくなったとされています。実際にファインダーを覗いて撮ると、逆光時でも被写体が見やすくより撮りたいものに集中することができます。
進化した「オートモード」
撮影設定をカメラに任せる「オートモード」も進化しています。撮影者の撮りたいシーンを判断して自動で調整してくれるモードで、以前はオートモードの場合、全ての設定がカメラ任せだったのですが、Z50IIはピクチャーコントロールが適応可能となりました。
これにより「難しい設定はカメラに任せて、雰囲気のある写真を撮る」という撮影方法が選べるように。撮影に慣れている方はマニュアルモードが良いかと思いますが、撮りたい一瞬をカメラの設定に悩んで撮り逃す…ということはとても勿体無いと思います。思い切ってカメラに任せるところは任せて、ピクチャーコントロールを使って雰囲気のある写真を撮ってみましょう。
オートモードは気軽なスナップ撮影と相性が良いと思います。スカッと晴れた冬の青空と、歩いている途中で見つけた落葉した木の枝に季節感を感じました。
ピントを合わせる位置によってはオートモードでもボケ感のある写真を撮ることができます。全てカメラ任せの設定になるオートモードだと、どうしても記録的な写真になってしまうことが多かったのですが、ピクチャーコントロールで色味を変える+ボケやすいレンズで、印象的な写真を撮ることも可能になりました。
気軽に雰囲気のある動画撮影を
4K UHD 60PやフルHD 120Pというような質の高い動画制作も可能です。動画撮影や動画編集に慣れていない方には、ピクチャーコントロールを当てて撮影することをおすすめします。
ピクチャーコントロールで色味を変えるだけでも、動画の雰囲気は大きく変わり、写真では表現できないような動きのあるシーンなどを高画質で残すことができます。
Z50IIにはボディ内手ブレ補正は付いていないので、撮影するときはカメラをしっかり固定するように持つか、手ブレ補正がついたレンズと一緒に使うと手持ち撮影でも比較的ブレを抑えた撮影が可能となります。
さいごに
Z50IIはカメラ初心者でも使いやすいエントリー機という位置付けですが、上位機種の性能をしっかりと受け継いでいます。コンパクトなサイズ感はカメラを持ち出す億劫さを軽減し、今までスマホで撮っていたようなシーンでもカメラを使って撮ることで、自分が撮りたいイメージの写真に近づくことができるようになります。
高性能だから操作性も複雑、と思われるかもしれませんがZ50IIはこれからカメラを始めてみようかなと思っている方にぜひ使ってもらいたいです。オート機能の性能も上がっているので、複雑だと感じるような設定はカメラに任せて、ピクチャーコントロールで写真の雰囲気を変えるなど、まずは撮る楽しさを実感してください。楽しみながら、自分の好きな世界観を写真と映像で表現する。これが、このカメラの良さでもあります。最後まで読んでいただきありがとうございます!
■モデル:みーこ(@mimimilk82)
■フォトグラファー:鎌田風花
兵庫県在住。一般企業への就職を経て2017年よりフォトグラファーとして活動。ナチュラルで透明感のあるポートレートや風景写真を得意とし、家族写真の出張撮影や広告撮影、写真セミナーの講師などを務める。
近畿日本鉄道「わたしは奈良派」広告掲示(2023年春/夏)その他カメラ、レンズのパンフレット撮影など。Nikon CP+ステージ登壇(2022年/2023年/2024年)