冬こそ試したい星空とブルーアワー|夜の撮影テクニック
はじめに
こんにちは。フォトグラファーのtomosakiと申します。
肌を刺す風の冷たさに本格的な冬の訪れを感じますね。
日中に差し込む光が傾き、光が美しい季節になってきました。
そして、冬は空気が澄んでいていろんなものを美しく感じさせてくれます。
深い青に包まれた街の風景や、夜空に浮かぶ満点の星空。
今回は「夜の情景」をテーマに、写真の撮り方を説明していこうと思います。
星空の撮り方
天体観測をする上で冬が一番適している、と言うのはきっと周知の事実だと思います。
・冬は空気が乾燥するため、空気中に含む水蒸気が少ない(空気が澄んでいる)
・太陽が沈む時間が早く残照が少ない
・冬は一等星が多い
これらが理由としてあげられるようです。
まず星空撮影では場所の剪定が重要です。
個人的に場所選びで意識していることは2つ。
1つ目、街の光害が少ない山や海を選ぶこと。
2つ目、新月や月が沈んだ後に撮影をすること。
星以外の光が夜空を映してしまうと、星を際立たせることができません。
月の光でも同様です。なるべく新月の時に撮影をするか、月より一番遠い空で撮影するなど工夫が必要です。
カメラの設定
1.絞り
絞りはなるべく開いて撮ることをお勧めします。絞りを開くことで多くの光をカメラに取り込むことができます。私は星の粒が多くはっきり写るより、まばらに散らばっているように写すのが好きなので、F4.5と抑えて撮影することが多いです。
2.シャッタースピード
私の場合、上記の写真のように広角(24mmほど)であれば10~20秒ほどの露光時間で撮影しています。長時間露光することで暗い環境でも光を多くカメラに取り込めるのですが、長ければ長いほどいいというわけではありません。
焦点距離60mmで同じ20秒で撮影した下の写真を例に見てみると、星が点ではなく若干線のようになっています。日周運動によって星は刻々と動いているので、しっかりと点像で写すためには、画角によってシャッター速度を調整することが重要です(レンズが望遠になるほど露光時間は短くなります)。
▼上の写真を拡大
3.ISO感度
ISO感度については、月の明かりや使用しているレンズによって設定が異なってきます。私の場合はISO1000を目安に撮影を始め、そこからノイズ感や映った星の量を見て調整をしています。
上記の3つを調整して、撮影を開始します。まずは夜空に浮かぶ一番明るい星を探しましょう。基本的にはオートフォーカスではピントを合わせることができないので、必ずマニュアルフォーカスにして、一番明るい星を画角に入れてください。その後ピント拡大を行い、明るい星が最も小さな点になるようフォーカスを合わせます。
また、星空の撮影時はブレを抑えるために三脚とレリーズを使いましょう。レリーズを持ち合わせていない場合は、カメラ内でセルフタイマーのモードにして撮ると、シャッターを押した時にカメラがブレるという心配もなく撮影ができるのでお勧めです。
星空で遊んでみよう
まるで自分が宇宙へ向かっているよう、または星が降り注いでいるかのような1枚です。
どのように撮影しているかというと、シャッターを切るタイミングでズームしています。シャッターが開いているときには光の軌跡をそのまま写すことができるので、その特性を利用しています。
おすすめの簡単ライティング
星空と人を撮影したい。だけど人を照らしてくれる光がない…ストロボもない…
そんなときにお勧めしたいのがスマートフォンの光です。
星空の下に相合傘をしている二人の少女の写真。
まるで星が傘を照らしているかのような景色。
ですがこちらの写真に写っている傘はただのビニール傘。
スマホのライトが傘に当たるように被写体の膝の上にスマホを置きます。そして私がシャッターを切った瞬間に一瞬だけスマホの光を傘に当ててもらいます。
するとこのように、幻想的な写真を撮影することができます。
ブルーアワーを撮影しよう
ブルーアワーとは、日の出前と日の入り後に発生する空が濃い青色に染まる時間帯のことです。日本語で言うと「薄明」。日の出前・日の入り後の30分間程度と言われています。
ブルーアワーの時間帯は街に光がつき始める時間なので、深い青空と一緒に夜景を撮影することができます。また、レンズの性能にもよりますがギリギリ手持ちで撮影することも可能です。夜になると空が黒くなり空を含んだ構図に向きません。しかし、ブルーアワーの時間帯であれば世界が青色に染まる幻想的な写真を撮ることができます。
冬は空気が澄んでおり、移り変わる空の色が綺麗に出ます。ぜひ撮影してみてください。
江ノ島で撮影した1枚。日が沈んだ直後に東の空で撮影しました。
ブルーアワーは水辺で撮影するのがおすすめです。リフレクションで撮影することにより、薄明の美しさをより強調することができます。
時間帯によって露出が変わるため撮影の設定はバラバラですが、ISOが上がりすぎないように注意です。ISOが上がるにつれてノイズが出るため、ざらついた写真にならないよう随時確認しながら撮影に挑みましょう。
さいごに
夜の撮影では場所の剪定やタイミング、設定が重要になってきます。
寒い環境下での長時間の撮影は体力を奪われるため短時間で済ませたいものです。
撮影に行く前に準備や下調べを念入りにして、撮影に挑んでください。
この記事が少しでも参考になりますように。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
■フォトグラファー:tomosaki
2000年生まれ、福井県出身。現在は福井県と神奈川県の二拠点を中心に活動中。「青春や物語を感じるシーン」をテーマに撮影している。2023年よりフリーランスフォトグラファーとして活動。2020年「東京カメラ部10選U-22 フォトコンテスト」に入選。2022年KADOKAWAより「あの頃にみた青は、」、モッシュブックスより「L&SCAPE 撮りたい世界が地元にある」を出版。