ニコン NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S レビュー|どんなシーンでも心強い究極のズームレンズ
はじめに
こんにちは、フォトグラファーのtomosakiです。普段は青春や物語を感じるシーンをテーマに写真を撮影しており、風景の中に人物を置いた作品撮りをしています。
今回は、私が普段から愛用してやまないニコンの標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」の優れた描写についてお話ししていこうと思います。汎用性の高い24-70mmの焦点距離をカバーしたS-Lineの大三元レンズです。ズームレンズの購入を検討されている方の参考となれば幸いです。
24-70mmの利便性
SNSで普段使用しているカメラとレンズについて質問をいただくことが多いのですが、私はニコンのZ 8とNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sの組み合わせをメインに使用しています。NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sは全長126mm、質量約805g。Fマウントの大三元レンズAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRは全長約154.5mm、質量約1070gなので小型軽量化されています。1日中持ち運ぶことが容易なので、いつもこの組み合わせで撮影をしています。
今回は、道路沿いに咲いていた桜道で撮影してみました。
最初にこの風景を見たときに、画面の隅々まで桜や、桜の影を全て入れたいと思いました。そのため24mmの画角で撮影。
両目で認識している視野はカメラの焦点距離にすると28mm程度と言われているらしく、撮った写真を見たときに、目で見ていたそのままの景色が写真に写し出されています。
広角での撮影ですが、四隅の歪みも全くありません。
視界に映っている景色をそのまま残したいと撮影時に思ったときには、もってこいのレンズです。
次に桜が咲いた道路の奥行きを写したくなり画角を変えてみました。
70mmで撮影しているのですが、背景や手前のボケ感が見事に立体感を生み出し、被写体の存在を際立たせています。
写真を撮る時に、SNSを意識して撮影をする方も多いのではないでしょうか?
私は撮影するときには横写真と縦写真を両方残すようにしています。
Instagramでの投稿はアスペクト比が1.91:1となるため、画像の周辺部がトリミングされてしまい見切れることが多いです。そのため縦写真を撮る際には、見切れてもいいように余白を多くとっています。
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sであれば、レンズ交換をせずにその場でズームして写真の余白となるスペースを調整できるため、大変重宝しています。
こちらの写真は入道雲を大きく見せることで、夏の空気感を強調して表現しました。
雲は基本的に遠い位置にあるので、中望遠の圧縮効果が必須になってきますが70mmを選択することで容易に撮影することができました。
次に同じ場所で背景を入れた撮影を行いました。入道雲はすぐさま形を変えてしまうので、1秒を争う撮影になってきます。入道雲の形を残したまま瞬時にズームで寄りと引きの写真を撮影することができるので、夏の撮影には必須のレンズです。
単焦点レンズのような最強のボケ感
ボケ感を表現するためには開放F値の小さい単焦点レンズを使うことが一般的です。
しかしNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sはズーム全域で開放F2.8という明るさがあるため、ズームレンズながらボケ感のある写真も撮ることができます。
例えばこのように、水飛沫を玉ボケにして撮影をすることも可能です。
雪が降っているので幻想的な写真にしたいと考えました。降っている雪と背景をぼかすために絞り開放で撮影しています。前景と後景を自然なボケ感で描写し、中景を際立たせています。ISO感度をあげないと被写体を明るく撮ることはできなかったのですが、ノイズ感がより幻想さを引き立たせていてお気に入りの1枚です。
縁側でスイカを撮った1枚です。背景のとろっとしたボケ感と、スイカのざらっとした質感がお気に入りです。
優れた逆光耐性
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sは逆光耐性にも優れています。
江ノ島海岸で撮影した写真ですが、富士山や波をすべて写したかったため画角を広くして太陽も取り入れました。正面から強い光が入っていますが、フレアが出ることなく泡沫のディテールや被写体の輪郭をくっきりと写すことができています。
ブラックミストフィルターを装着して撮影。ガッツリと太陽を写していますが、全くフレアが出ていません。ふわっと柔らかい光が回っているのはフィルターの効果です。
夕日と桜のアーチが美しいシーンでシャッターを切りました。この日は快晴で強い西日でしたが、光を透過した花弁をすべて見事に描写してくれました。NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sは「ナノクリスタルコート」と反射防止コーティング「アルネオコート」を採用しているため、フレアやゴーストを発生させることなく撮影できています。
おわりに
いかがでしたでしょうか。高性能な大三元レンズとあって、このレンズ1本あれば様々なロケーションにおいて一瞬を逃すことなく高画質な撮影が可能です。あまりにも心強すぎて、撮影のときはお守りのようにいつも持ち歩いています。
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sの魅力を少しでも写真から感じていただけたら嬉しいです。
■フォトグラファー:tomosaki
2000年生まれ、福井県出身。現在は福井県と神奈川県の二拠点を中心に活動中。「青春や物語を感じるシーン」をテーマに撮影している。2023年よりフリーランスフォトグラファーとして活動。2020年「東京カメラ部10選U-22 フォトコンテスト」に入選。2022年KADOKAWAより「あの頃にみた青は、」、モッシュブックスより「L&SCAPE 撮りたい世界が地元にある」を出版。