赤城耕一の魅力的なカメラ・レンズを再発見! その2 ~今押さえたい中古一眼レフの筆頭格!ニコン Df~

赤城耕一
赤城耕一の魅力的なカメラ・レンズを再発見! その2 ~今押さえたい中古一眼レフの筆頭格!ニコン Df~

今だからニコン Dfの在り方を見直す

ニコン Z fは発売から1年ほどでしょうか、いまも販売は堅調のようですね。どうしても新製品ばかりが注目されがちですが、こうしたスペックだけがすべてではない趣味性が強いカメラが注目され、かつ売れ行きが良いのは、この時代にあって、とてもよいことだと個人的に考えております。

じつは筆者はZ fのシルバーボディが出るのを待っているのです。登場はそろそろなんじゃないかという予感がありまして。いえ、勝手にお待ちしているわけであります。最近はどうもシルバーボディが気になって仕方がないのです。年寄り=シルバーということなのでしょうか。

それを待っていたら、まさかのZ fIIが出たり。これはさすがに今年はないでしょう。勝手な妄想ですから気にされませんように。
絶好調セールスのウラで、申し訳ないのですが、そのような瑣末な理由で、まだZ fさんにはウチにお越しいただいておりません。その代わりというわけではありませんが、筆者の寂しさを救ってくれているのは、ニコン Dfなのです。

新しいカメラを導入する覚悟が決まらないという意味ではなくて、Z fはミラーレス、Dfは一眼レフという大きな違いがありますから、Z fが出ましたよ、はいそうですかと素直になれないわけであります。もちろん予算の問題もあり、当然のことですが、交換レンズはZマウントとFマウントという違いが出てきますので、果たしてどうするのかという問題があります。

現在のミラーレス機は機構的には一眼レフでできることは、すべて可能としています。つまりDfでできることはZ fでもすべて可能です。だから、新機能を活かすことで、新しい写真制作への道が開けるかもしれません。Fマウントレンズだって、FTZやFTZ IIアダプターでZ fに装着することができますから、何の文句がありましょう。

はい。基本的な文句はないわけです。でも、レンズ内にモーターを内蔵しないSやDタイプのレンズはAFを使うことはできません。これは現時点では諦めるしかないですね。

筆者としては一眼レフとしてのDfのあり方を見直したいわけです。つまり一連のシーケンスとか、動作音とか、少し厚めのボディの握り心地、あるいはファインダースクリーン上に映しだされるリアルな光といった、スペックに表れない情緒性をココロの拠り所というか、年寄りが思う郷愁の愉しみにしているわけです。笑われても仕方ないですが、仕事を離れた時くらい、まったり撮影したいじゃないですか。 

シルバーボディを用意したのも正解かと思います。その昔はニコン一眼レフもシルバーを基本としていたわけですし。初期の白枠のニッコール HC Auto 50mm F2を装着してみましたがよい感じです。

存在感がそのまま維持されているディスコンカメラ

ブラックボディの印象は、細身の鏡筒のレンズを装着するとできるマウント周りの周囲の空いたスペースが目立たなくなることでしょうか。全体も少し小さくみえます。Aiニッコール 35mm F2Sを装着してみました。

発表時にDfのDは(digital)で、fは精密機械の感触と高品位画質を融合(fusion)させたとニコンからアナウンスはありました。
でも筆者は最初はD(デジタル)とf(フィルム)に気を遣ったものかと思いましたが、もちろん違いますね。あえて想像力が働くようにネーミングが考えられているような気もしますけど。

Dfはデジタル一眼レフとしては異例ともいえる7年にわたって現役販売されたロングセラーモデルでしたが、だからといって、それはあまり評価されていないみたいです。
ところが中古市場では安定的に人気があり、価格もデジタルカメラとしては珍しく暴落することなく維持されていますから、従来からのユーザー以外にも一定の需要は常に生まれているのだと考えていいでしょう。ここにも唯一無二としての存在という言葉が浮かぶわけです。

フツーのデジカメだと、購入に迷っているあいだに次機種が出たりすることがありますよね。この時、当然モチベーションはダダ下がりになります。ところが、Dfはディスコンになりさらに時間を経ても、その存在感はそのまま維持されているような気がします。代わるカメラがないからです。これはとても素晴らしいことです。

筆者と異なる、いわば真面目な写真表現者はDfをみて、ネガな意見を言うことがあります。
彼らは筆者と異なりスペック至上主義ですから、撮影時以外にカメラと戯れたりするようなことがありません。いちばん多い意見は有効1625万画素ではもの足りないという意見かもしれませんね。

よくわかりませんが、筆者の小商いではDfの画質で十分すぎて、時には持て余しているくらいなのですが、少なくともDfをアサインメントで使用した写真を納品しても、もっと高画素機で撮影してくださいというクレームはこれまで一度もありませんでした。

感覚的にはDfの画質は、高品位でバランスがいいと思います。最新のニコンZシリーズは主軸の撮影機能が動画撮影にシフトしているようなところがあります。Zシリーズも例に漏れず、いちおう写真(静止画)も撮れますからよろしくねと言っているようにも思えます。もちろんそれは悪いことではないですし、筆者も動画の場合はそれなりの用意をして挑みます。けれど、機能が万能になるほどスタンドアローンとしてのカメラの思想の軸をぶらすんじゃないかと思うこともあります。

Dfは逆立ちしても動画は撮れませんもん。これは潔いですね。他に静止画専用の現行機はライカM11-PとかハッセルブラッドX2Dくらいかなあ。このような割り切ったカメラ、日本のメーカーからは将来、二度と出てこないんだろうなあと思うわけです。

ところどころに主張を感じるデザイン

このアングルからみると裏蓋が開きそうな印象です。各ダイヤルも、本来の機能のほかに装飾的な意味も大事されていることがわかります。

筆者がDfで少し気になるのは、ボディが少し厚いこと。内蔵脂肪のためでしょうか。とくに底部の印象がよくないですね。それで生活習慣病を心配することはないのでかまいませんが、筆者の手はあまり大きくないので、サイズ的に持て余しています。

デザインの処理でエプロン部を少し前に出したり、それに合わせて、レンズ着脱ボタンを前に出すとか、高さを少し上げるなど、涙ぐましい努力で、ボディ本体を少しでも薄く見せようとしているのは涙ぐましいほどです。

他社の一眼レフと比較するとニコンFマウントはフランジバックの距離は長いので、必然的に厚みを増してしまいました。筆者はDf開発に深く関わった元ニコンフェローの後藤哲朗さんに意見してしまったことがあります。さすがにボディは厚すぎませんかと。後藤さんは、あと2ミリは薄くできるかもしれないと回答されました。シロウトにはわかりませんが2ミリを薄くするって、じつはたいへんなことです。スリムになったDFを見てみたかったですが、これはZ fでガマンしてくださいということなのでしょう。

ペンタプリズム部が上部に少し飛び出て見えるのもDfデザインの特徴かもしれません。おでこの広い人みたいなイメージですが、実際にはそんなに広いわけでもなく。ただここにもホンモノのプリズムが入ってますからね、という主張があるのかもしれません。

銘板部分の「Nikon」が旧ロゴであることは、気合いとしか言いようがないですね。このロゴはZ fにも採用されていますが、懐かしい感じすらしちゃいます。こうしたコーポレートアイデンティティをイジるということは勇気が必要です。たいへんな英断であります。

「Nikon」ロゴは個人的にはこちらの方が馴染んでいます。Z fc、Z fでもう馴染んでいるかもしれませんが、Dfでの旧ロゴ復活は個人的にかなり感動的でした。

ニコン FM3A発表時に、New FM2と異なる現代ロゴになって、怖いもの知らずの筆者は後藤さんに「アサヒカメラ」のインタビューで新しいロゴがFM3Aには似合わないのではないかと意見をしました。
この時に後藤さんは「見慣れますから」と回答されました。今でも覚えておりますよ。でも本心は少し異なった意見をもたれており、ご自身も反対したことを当該の記事において最近読み返し、理解することができました。

現代でもZ fやZ fcで旧ロゴ使用を可能としたのは、後藤さんの功績によるところ大であると思います。この話はニコン FM3A登場から四半世にわたり、ネタに使う、じゃない引用をしていますが、おそらく20回以上はありそうです。先日後藤さんとお会いする機会がありこのネタはもう使わないことを申し上げました。

過日、ニコンDfの開発に携わった、後藤哲朗さんに、筆者が執筆した、『アサヒカメラ』2001年3月号のFM3Aの特集記事を見せて頂きました。記事中の開発者インタビューで、筆者が質問したNikonの斜めロゴに対して「見慣れます」と発言され、その後に「私も反対しました」とハッキリ発言されています。写真は四半世紀に渡り、後藤さんに無礼をはたらいたことをお詫びする筆者。(写真:IGA)

アナログとデジタルの折衷を感じる設定

シャッターボタンはレリーズ穴がありますが、Z fと異なり、きちんと本来の機能がありケーブルレリーズを使うことができます。ソフトシャッターボタンも有用なアクセサリーです。

Dfの実際の使用感ですが、上部の各ダイヤルの動きがわずかにグラグラすると感じたり、クリックのカチカチ感が弱いことが少しだけイヤかなあ。とはいえ文句があるのは部屋であれこれ触っている時だけであって、撮影していると気にならないし、不満はありません。こういう感想が出てきちゃうのもDfの特徴かもしれないですね。

基本的にFXフォーマット(35ミリフルサイズ)のニコン一眼レフの中でDfは小型軽量です。EN-EL14aバッテリーを採用していて、これが小型軽量、大容量のためDfでは約1,400コマ撮影できるってのもいいですね。
それにしてもデジタル一眼レフでこれだけ大きなシャッターダイヤルを見たことがなかったので、最初Dfを見たときは本当に感激しました。

シャッターダイヤルは1/3STEPポジションに設定すると、メインコマンドダイヤルでシャッタースピード設定できるのもいいですね。このポジションのカラーは遠くから見ると「AUTO」と書いてあるようにも見えます。とフツーのデジタル一眼レフカメラのUIなんだけど、アナログとデジタルの操作と設定の折衷案を採用していることに感動しました。常人には考えつかない知恵を感じます。大きめのシャッタースピードダイヤルがあるから、モードダイヤルは小さくなって、シャッターボタンの隣に位置しています。モードダイヤルが嫌いな筆者はこれも嬉しい点です。

「1/3step」ポジション表記のみがグリーン。かつてのニコンFEあたりの「AUTO」ポジションを想起させてしまう憎い配慮です。ぼーっと生きていたらこんなアイディアは出てきません。

普段はモードダイヤルがデカいカメラを操作することが多いので、Dfをしばらく使うと撮影モードがどこにあるのか探すことがあるくらいです。逆に今のカメラをMFで使う場合はシャッタースピードの設定方法すら悩むことがありますね。トシ食ってくると臨機応変に使いこなせなくなってくるのかな。困りました。

MFニッコールを使う場合は、個人的にはA(絞り優先AE)モードで使うことが多くなりますが、そうなるとシャッターダイヤルには一切触らずに遊んでしまうことになります。

シャッタースピードダイヤルをギミックとしてみればよいのですが。時間的に余裕がある時、たまには露出もフォーカシングもフルマニュアルで撮影してみるのも楽しいのです。デジタルだから、仮に撮影をしくじってもすぐにわかるからダメなら撮り直せばいいわけです。そんなお気楽な考え方でマニュアル撮影するのも間違いなく楽しいと思います。

各種メニューに関しては個人的にはお腹いっぱいです。Dfでもこんな設定が出来ちゃうのかとか、筆者はほとんど使わない項目ばかり、何が便利なのかはよくわかりませんから説明はしません。

CPUを内蔵していない使用頻度の高いMFニッコールのレンズ登録をDfにするのは手間のようでいて、実は楽しいものです。たまにレンズ交換した時に登録を忘れちゃうけど、それでも問題なく写ってしまいます。

マウント部分のAi連動ピンを跳ね上げることができるので、非Aiニッコール、すなわちニッコールオートレンズが装着できたりするんだけど、これもかなり親切な思想です。でもウチにあるニッコールオートレンズとかNew ニッコールレンズとかは、ほとんど純正のAi改造してあるから、ピンを跳ね上げる必要ないんだけどね。あ、余談ですけど、先日のことですが、私よりも年上の熱烈なニコンファンにとある場所でお会いしたんですよ。

Ai連動レバーは可倒式採用。非Aiのニッコールオートレンズ装着を可能としています。ニコンデジタル一眼レフでは唯一の仕様というのもうれしいですね。

Dfをたまたまぶら下げていたので話が弾むかなあと期待したら、私のDfにAi改造された純正のニッコールオートレンズが装着されているのを見て、顔を曇らせるわけ。「美しくない」とはっきり言われましたねえ。「こんなことしたらオリジナルのニッコールのデザインが損なわれてしまうではないですか」と真剣な顔をして言うわけです。まぢかよ。
“純正” 改造なんだからいいのでは。という理屈は通じませんでした。ニッコールオートレンズをDfに使うならAi連動ピンを跳ね上げて装着して使うのがスジだと説かれました。あ、そ、そうですよね。

知恵が絞られたダイヤル

筆者は各種のボタンやダイヤルは特別な割り当てをすることなく、おそらくデフォルトのまま使っているんじゃないのかなあ。Fnボタンに何を設定したか忘れちゃったりするのは玉にキズ。

Dfの使い心地はたとえばフィルムニコン一眼レフのそれとも違うんです。フィルムニコン一眼レフのフラッグシップでは1996年に登場したF5の時点でシャッタースピードダイヤルはカメラの上部からなくなっていたわけです。シャッタースピードダイヤルが最後まで存在したニコン一眼レフはFM3Aということになりますね。もしDfがFM3Aを意識していたとすると、このあたりにもカメラ名にある“融合” 感覚を感じます。

とても良いのは先に述べたように、シャッタースピードはシャッタースピードダイヤルでもメインコマンドダイヤルでも好きな方をお使いくださいね、という選択肢があることですよね。絞りは基本的にCPU内蔵のものならばボディ前面のダイヤルを使用し、非内蔵のMFレンズなどは絞り環を使うことになります。

ボディ前面のサブコマンドダイヤルは小さめですが、デザイン的なアクセントにもなっています。CPU内蔵レンズでは絞り設定で使います。
ISO感度設定ダイヤルと露光補正ダイヤルを鏡餅のように二段にして省スペースにしているわけです。あくまでもダイヤルを使用しようと知恵を絞っているところが落涙ものです。

絞り環のあるAi AFニッコールやAi-Pタイプのレンズでは絞り環は最小絞りに設定、カメラ前面のサブコマンドダイヤルを使用します。
コマ速度は最高5.5コマ/秒ですが、私には十分です。シャッターの押し心地や動作音は好みもあるでしょうけど、筆者は満足しています。落ち着いた動作音だし、シャッター音も気持ちを満足させるものです。AFのスピードについては正直気にしていないけど、問題は感じていません。

動画撮影は捨てたけど、ライブビューがきちんと残されていることは高く評価したいと思います。大口径の広角レンズで絞り開放値近辺にて撮影、という条件では間違いなくライブビュー撮影の方がAFの精度も安心です。
また古い大口径のニッコールレンズの中には残存収差のためかフォーカシングしづらいものもありますから、確実なフォーカシングができます。このほうがフォーカスエイドよりも精度的にも高いですね。

ニコンDfはレトロな雰囲気を残しつつも誕生した2013年時点では最新の機能が積まれていたわけです。どうやらベース機はニコンD600らしいですけど、いま不便を感じるところはほとんどありません。

実写

硬い光なので情緒性は失われていますが、個人的にはカッチリと描写されていて、これがいかにも少し古いニッコールというイメージですし、好きな描写です。
■撮影機材:ニコン Df + Ai Nikkor 35mm F2.8S
■撮影環境:F16 1/250秒 ISO200
絞りを開いてもニッコールらしさはあるなあと思います。MFでもフォーカシングしやすいレンズなのは性能が高いからですね。
■撮影機材:ニコン Df + Ai Nikkor 35mm F2.8S
■撮影環境:F2.8 1/4000秒 ISO100
明暗差が大きい条件ですが、階調の繋がりもよい感じですね。
■撮影機材:ニコン Df + Ai AF Nikkor 24-50mm F3.3-4.5D
■撮影環境:F8 1/160秒 ISO200
これも古いズームレンズなのですが、全く問題ない描写をします。Dfが軽量なので大きなレンズを使いたくないわけです。
■撮影機材:ニコン Df + Ai AF Nikkor 24-50mm F3.3-4.5D
■撮影環境:F9 1/1250秒 ISO400
機材が軽量だと、気がついたものはみな撮影したくなるわけで、撮れ高が確実に上がりますね。
■撮影機材:ニコン Df + Ai AF Nikkor 24-50mm F3.3-4.5D
■撮影環境:F10 1/1000秒 ISO400
少し面倒ですが。レンズ情報を間違えずに入れておくと、より使いやすくなる印象ですね。MFのフォーカシングは練習あるのみです。
■撮影機材:ニコン Df + Ai Micro Nikkor 55mm F3.5
■撮影環境:F4 1/250秒 ISO1600
普通のレンズを使い、普通に撮影しても、緻密な描写を感じます。極端なトリミングなどをしなければ画素数的にも問題はないかと。
■撮影機材:ニコン Df + Ai AF Nikkor 24-50mm F3.3-4.5D
■撮影環境:F7.1 1/250秒 ISO200
鉄分ゼロの筆者なので、鉄道写真としては失格なのでしょうが、青空と黄色と緑のバランスがよいなと、思わずシャッターを押しました。
■撮影機材:ニコン Df + Ai AF Nikkor 24-50mm F3.3-4.5D
■撮影環境:F8 1/2000秒 ISO400
こうした緻密な描写をすると日々、高画素機を使用して疲れる作業は何だろうと思いたくなり。
■撮影機材:ニコン Df + Ai AF Nikkor 24-50mm F3.3-4.5D
■撮影環境:F5.6 1/500秒 ISO100
影を意識しながら撮影すると街角の植栽すら本来の姿から違ったものに化けることがあります。
■撮影機材:ニコン Df + Ai AF Nikkor 24-50mm F3.3-4.5D
■撮影環境:F7.1 1/1000秒 ISO200
曇天の冴えない光でしたが、描写的には問題ないですね。初代の24-120mmですが、糸巻き収差以外は実によく写ります。収差は気になれば補正してしまえという考え方で使います。
■撮影機材:ニコン Df + Ai AF Nikkor 24-120mm F3.5-5.6D
■撮影環境:F9 1/200秒 ISO640
モノクロに変換してみましたが、冷たい都市の建物の質感が出てきました。鋭い描写です。
■撮影機材:ニコン Df + Ai AF Nikkor 24-120mm F3.5-5.6D
■撮影環境:F8 1/500秒 ISO800

お古ニッコールレンズを装着する瞬間に得られる快楽

ニコン DfはMFのニッコールオートやNew ニッコールやAiニッコールなどを装着しても、ストレスなく楽しく使用してほしいという願いが込められて設計されています。階調再現がとても秀逸だし。お古ニッコールレンズの特徴もよく再現します。
MFのAiニッコール、Ai AFニッコールがすべてディスコンになった今だからこそ言いますが、それらを使用しても楽しめるようにDfは押さえておくべきニコン一眼レフの筆頭格です。

正直、私の目があまりよろしくないせいか、確実にフォーカスを追い込むには苦労するレンズも中にはあるのですが、プライベートな撮影ではむしろフォーカスを追い込む練習をすることができますし、いざとなればライブビューをうまく使えばいいわけです。

古いニッコールをマウントアダプターFTZを使って、ミラーレスのZ系カメラに使用したり、あるいは他社のミラーレス機にマウントアダプターで使うということも定着しました。楽しみもたしかにあるのですが、Dfにお古ニッコールを装着した瞬間に感じるダイレクトな気持ちの伝わり方は、ミラーレス+アダプターのそれとは異なる得難い快楽があります。

ディスコンから時間を経たこと、Z fcやZ fの登場で、別の意味でニコン Dfはますます一眼レフとしての存在感を強めたように感じるわけです。

 

 

■写真家:赤城耕一
1961年東京生まれ。出版社を経てフリーランス。エディトリアルではドキュメンタリー、ルポルタージュ、広告では主に人物撮影。また、カメラ・写真雑誌、WEB媒体で写真のHOW TOからメカニズム論評、カメラ、レンズのレビューで撮影、執筆を行う。各種の写真ワークショップを開催。芸術系大学、専門学校で教鞭をとる。使用カメラは70年前のライカから、最新型のデジタルカメラまで。著書に「赤城写真機診療所MarkII」(玄光社)、「フィルムカメラ放蕩記」(ホビージャパン)など多数。「アカギカメラ-編愛だっていいじゃない」(インプレス)など多数。

 

 

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