ストロボを使って印象的な写真に|雪の撮影テクニック
はじめに
こんにちは。フォトグラファーのtomosakiと申します。
寒い日が続いておりますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
私が住む福井県は、冬になると晴れ間が少なくどんよりとした天気が多くなります。
そんな北陸の冬ですが、最高の楽しみが一つあります。
それが雪です!
今日はtomosaki流の雪の撮影方法をお伝えできればと思います。
雪景色を撮影する前の注意点
撮影方法を解説する前に、まず注意点を説明します。
氷点下での撮影は機材に支障をきたすことが多く、今まで何度も失敗をしてきました。私の失敗談を踏まえて、注意していただきたいことを3つ挙げたいと思います。
1.結露
暖かい場所から寒い場所へ移動した際など、カメラに急激な温度変化があると「結露」が発生します。レンズが水蒸気で曇ってしまうのできれいに撮影できなくなりますし、場合によっては電子回路がショートしたり金属部品が腐食したりと故障の原因になるので、なるべくならカメラやレンズが結露するのは避けたいところです。
また寒がりな私は、まず車内で暖をとり「よし行くぞ」と意気込んで撮影に出ます。そしてしばらく撮影を続けた後、「もう無理!」となり暖かい車内に戻る、を繰り返す撮影スタイルでした。そのような温度変化によってレンズが結露してしまい、決定的な瞬間を撮り逃してしまったこともありました。
結露対策として
・使用前後はカメラレンズをバッグにしまう(温度変化が穏やかになる)
・寒い屋外から暖かい室内/車内に機材を持ち込むときは、徐々に室温にならす
これらに気を付けています。
2.バッテリーの減り
気温が低いとカメラのバッテリーの減りが早くなります。写真を始めたての頃「あれ?なんでもうバッテリーがないんだ?」と雪の中で思っていました。いつもより多めに予備バッテリーを持参したり、暖かいポケットの中にバッテリーを入れるなどして対策をしましょう!
3.雨雪の濡れ
私はカメラを始めたてのとき、なぜか「雪だったらいいかな」とカメラに雪を積もらせて撮影していました。もちろん雪が溶ければカメラが濡れてしまい故障の原因になるため絶対にやめましょう!
今は大切な機材を守るために、雪が降る環境ではカメラにレインカバーを着せて撮影しています。カメラやレンズが濡れている際にレンズ交換を行なうことも故障の原因になるため、タオルなどで表面の水分を拭き取ったあとは十分に乾燥させ、部屋の温度にカメラが馴染むまでメンテナンスは避けましょう。
雪で玉ボケを作ろう!
降っている雪の撮り方を3つのステップで説明します。
1.ストロボを使おう
降っている雪をきれいに撮るにはストロボを焚く必要があります。ストロボの光が雪に当たった瞬間を露光してくれるので、降り積もる雪もしっかりと写し止めることができます。また、雪の粒がストロボの光を反射することで画面上で点光源となり、幻想的な玉ボケとなって写りやすくなります。
カメラに内蔵されているフラッシュでも撮影は可能ですが、それだと光の届く範囲や強さが調整できないため、より表現を追い求めるなら外付けのストロボがおすすめです。私はGodox(ゴドックス)のV1を使用しています。理由としては直感的に操作がしやすいからです。
2.黒色の背景を探そう
こちらの写真だと、黒い背景部分には雪がはっきりと写り、白い自販機のところは雪が写っていないように見えます。雪は白い背景と同化してしまうことが分かると思います。こちらはストロボありで撮影していますが、ストロボを持ち合わせていない時は黒い背景を探すことをおすすめします。
例えばこちらの写真だと、黒い制服と被っている箇所は雪がはっきり写っていますが、白い色調の背景では雪が見えにくく伝わりづらいですよね。ストロボがなくても黒い背景で撮ることにより雪をきれいに撮ることができます。ただ、シャッタースピードが速くないと雪を止めて写すことができないので、自分の思う表現に合わせて雪の降るスピードとシャッタースピードを意識して撮影してみてください。
3.F値を下げよう
レンズの至近距離にある雪ほど前ボケとなって大きく写ります。F値を小さくすればするほどボケは大きくなるので、ぜひ雪を撮影する際はF値を下げてみてください。個人的にはF5より小さいF値で撮影することで、ふわっとした雪の質感を演出することができると思っています。
オールドレンズを使ってみよう!
雪とオールドレンズの組み合わせは特におすすめです。
私が愛用しているレンズはニコンの「AI Nikkor 50mm f/1.4S」。今から40年以上前に発売されたレンズで、現在も中古で購入することができます。現行のミラーレスカメラで使用する場合は、対応するマウントアダプターを介して装着します。
オールドレンズで撮ることによって、その時代の空気感や温度が写真に加わる気がします。
光の滲み方や輪郭の曖昧さがとても気に入っていて、雪の柔らかさを表現するのにぴったりです。
逆光や斜光で撮ることによりオールドレンズ特有のフレアを発生させることができ、幻想的な表現が可能です。
特に雪道の街灯はスポットライトのような役割を果たしてくれるので、ついつい撮りたくなる被写体です。
雪景色での被写体の探し方
雪が降り積もった景色は白いキャンパスを想起させます。
私はよく雪景色の撮影を行うときには「この白画用紙に何の色をアクセントに足そうかなと」考えています。
特に雪景色の日の丸構図はポツンと感を引き立てるのでとても気に入っています。
目につくような原色をアクセントにするのもおすすめです。背景が白いことでより濃い色が目を引くので、モデルさんに赤いマフラーを用意してもらうなどしています。
カメラの機材がないよ!という方にもおすすめの撮り方
機材がないからそんなすぐには撮れない…という方におすすめなのが「写ルンです」です。
写ルンです×雪の組み合わせも最強です。
夜にフラッシュを使えば、雪が降っている様子を簡単に写真に収めることができます。写ルンですのシャッタースピードは1/140秒なので、吹雪ではない限りこのように雪を撮ることができます。
ただし、一つ注意してほしいのが被写体との距離です。写ルンですのフラッシュの届く範囲は1~3mと言われています。遠ければ遠いほどノイズが乗った写真になるため、できるだけ被写体に近づきましょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか。雪を上手く活用すればグッと雰囲気の良い作品を撮ることができます。寒くて外に出るのが億劫になる季節ですが、ぜひこの記事を参考して雪の撮影に挑戦してみてください。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
■フォトグラファー:tomosaki
2000年生まれ、福井県出身。現在は福井県と神奈川県の二拠点を中心に活動中。「青春や物語を感じるシーン」をテーマに撮影している。2023年よりフリーランスフォトグラファーとして活動。2020年「東京カメラ部10選U-22 フォトコンテスト」に入選。2022年KADOKAWAより「あの頃にみた青は、」、モッシュブックスより「L&SCAPE 撮りたい世界が地元にある」を出版。