ニコン Z 6II レビュー|三井公一
はじめに
大口径、ショートフランジバックを採用して高画質を誇るニコンZマウント。そのフルサイズミラーレス一眼カメラも第2世代へと進化しています。シリーズの中で、最高解像度を誇る「Z 7II」を以前ご紹介しましたが、今回はその兄弟機「Z 6II」をインプレッションします。ルックスは瓜二つながら、高感度と連写性能、そして扱いやすいファイルサイズが魅力のオールマイティーなカメラになっていました。
Z 6IIの基本スペックについて
高画素機「Z 7II」と「Z 7」同様に、併売される「Z 6II」と「Z 6」と外観上は変化がないように見えますが、こちらも同じように細かなところがブラッシュアップされています。
「Z 6II」を手にすると、まず感じるのはグリップ形状が変わっているところでしょう。「Z 6」もホールド感が高かったのですが、より手に馴染みかつファインダーものぞきやすく、ライブビュー時でもしっかりと被写体を捉えられるようになっています。目立たない点ですが重要なアップデートポイントだと思います。
またファインダー周りのシェイプが鋭くなって精悍なルックスになりました。「Z 50」のようなシャープな印象になり、個人的にとてもカッコよくなったと感じます。
一番の変更点は画像処理エンジンとメモリーカードスロットのデュアル化でしょう。FXフォーマットのセンサーは有効画素数2450万画素と変更がありませんが、ニコン独自の画像処理エンジン「EXPEED 6」が2つ搭載されて「デュアルEXPEED 6」に進化しました。約14コマ/秒で最大124コマも連写できるようになり、高速連続撮影と連続撮影コマ数が向上しています。撮影していてもカメラのレスポンスがアップしているのが実感できます。もともとキビキビして気持ちよかったのですが、「Z 6II」はさらに小気味よく動作するようになっています。
また多くの人に熱望されたカードスロットが2つになりました。CFexpress(Type B)/XQDカードと、UHS-II規格のSDカードの合計2つに対応するように変更されたのです。順次記録やバックアップ記録、RAW+JPEGの分割記録ももちろん可能です。「Z 6」より書き込みスピードがアップしたCFexpress(Type B)は高速連写時でも気持ちよくシャッターを切ることができます。
またUHS-II規格のSDカードにも対応したので、いざという時に入手しやすいメディアなので安心感も高いといえるでしょう。
Z 6IIを実際に使ってみた感想
さて実際の撮影での使用感はどうでしょうか。
「Z 6II」はオートフォーカス性能も大幅に機能向上しています。ワイドエリア選択時でも「瞳AF」、「顔検出AF」、「動物AF」が選択可能になりました。これで撮影がグンと楽になりましたね。フレーミングに集中して、ピント合わせは「Z 6II」にお任せ!という感じでシャッターが切れるのですから。モデルに動いてもらうシーンでも瞳に正確かつ高速にピントが来ますし、飛び回るネコや走るイヌなどを撮るシチュエーションでもカメラに頼ることができます。
暗い場所での撮影でも進化したオートフォーカス性能が役に立ちます。なんと-4.5EV(ローライトAFで-6EV対応)までのピント合わせが可能で、暗所性能が高い「Z 6II」は撮影領域を大幅に拡大してくれることでしょう。
「Z」シリーズ全般に言えるのですが、EVF(電子式ビューファインダー)の見えの良さがバツグンです。この「Z 6II」のEVFスペックは、視野率約100%、ファインダー倍率約0.8倍、対角視野角約37.0°、約369万ドットQuad-VGA有機ELパネルとなっています。0.8倍という大きな像を高い性能の光学系を介して、クリアでしっかりと被写体を確認することが可能です。
デュアル化された映像エンジン「EXPEED 6」や高機能化されたオートフォーカスのおかげで、動作速度も連写スピード、AF追従性もあがって、スナップから風景、運動会などのスポーツや薄暗いステージまで幅広いシーンで信頼して使えるフルサイズミラーレス一眼カメラに仕上がっていると感じました。
ほかにもUSB給電に対応した点や、パワーバッテリーパック 「MB-N11」も登場し、縦位置撮影でも撮影が快適になったところもうれしいですね。
さらに有償設定サービス を利用すれば、「RAW動画」の撮影も可能です。Blackmagic RAWやApple ProRes RAWというシネマティック動画に挑戦することもできます。スチルだけでなくムービーも幅広く行えるところがニコン「Z 6II」の魅力と言えるでしょう。
Z 6II作例
今回は「Z 6II」に、定評のある高倍率ズームレンズ「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3VR」を装着してブラブラと撮影を楽しんでみました。このレンズは広角から望遠まで手軽に「Z」の高画質を味わえるので、はじめての1本にも、旅行や登山などのアクティビティにもピッタリなレンズです。
浅草寺の提灯を狙いました。鮮やかな発色とリアルなディテールは「Z 6II」ならではの描写でしょう。動作スピードも速く、撮影のリズムもあがります
「Z 6II」の伸びやかな描写は実に美しいですね。春の隅田川の様子を克明に捉えてくれました。カメラ任せでもこんなに鮮やかでヌケ感のある写りを手にすることが可能です。船や川面、建物のディテールも良好です
「Z 6II」のFXフォーマットのセンサーは有効画素数2450万画素。必要十分な解像度と扱いやすいファイルサイズが魅力です。よく効くボディ内手ブレ補正機構も安定していて撮影をしっかりとアシストしてくれるのが頼もしいですね
高倍率ズームの「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」は「Z 6II」にベストマッチのブラブラレンズと言えるでしょう。これ1本で「Z 6II」の楽しさを実感できます。喫茶店のテントも質感高く写しとってくれました
「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」のワイド端24mmで浅草名所を「Z 6II」のフレーム一杯に捉えました。有名なオブジェの凹凸感や、インテリジェントビルの窓など、美しく描き出してくれました。「デュアルEXPEED 6」の恩恵と言えるでしょう
同じ位置からテレ端の200mmでビルの頂上部分を撮影しました。眼がよくなったかのようなシャープでパッキリとした精細感に驚かされました。「Z 6II」のポテンシャルと、「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」の性能の高さに脱帽です
「Z 6II」のオートフォーカス性能はとても進化しました。翼を休めるユリカモメを狙いましたが、ススッと高速かつ静かにバッチリと合焦してくれました。人間の瞳やネコやイヌにも対応しているので、入手したらその威力を試してみていただきたいと思います。またニコンのファームウェアのアップデートでどんどん機能が向上していくのがうれしいところですね
さいごに
ニコン「Z 6II」は同社のフルサイズミラーレス一眼カメラの中核を担う製品です。それだけあって使い勝手をはじめ、描写性能や拡張性がしっかりとしていると感じます。「Z」マウントレンズ群もこれから続々と登場してくるので、これから長く楽しめるオールマイティーなカメラだと感じました。何よりも使いやすく、美しい写真が手軽に撮影できるところが魅力です。
もちろんプロフェッショナルフォトグラファーの仕事の道具として使える信頼性の高さもあります。多くの人に手にしてもらいたい1台となっています。
■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナーなどで活躍中。有限会社サスラウ 代表。
「Z 6II」はこちらの記事でも紹介されています
■ニコン Z 6II レビュー|AF性能も堅実にレベルアップした進化機種
https://www.kitamura.jp/shasha/nikon/z-6ii-4-20201117/