ニコン Z fc活用術|旅の記録やVlogにタイムラプスを取り入れてみよう!

成澤広幸

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Nikon Z fcはこんなユーザーが多いのでは?

 2021年7月に「16-50 VR SL レンズキット」が、10月に「28mm f/2.8 Special Edition キット」が発売されたNikon Z fc。フィルムカメラライクなクラシカルなデザインがユーザーの心を鷲掴み!しかも外観の変更が可能(プレミアムエクステリア張り替えサービス。納期は2週間程度)ということもあり、キュートなカラバリで男性・女性の双方に受け入れられたヒット商品となりました。

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6色から選べるプレミアムエクステリアも用意(画像はニコンHPより)

 外観だけでなく、中身も秀逸。もともとフランジ径の大きなZマウントは周辺にいたるまで光量が豊富。それをAPS-Cサイズのセンサーで使用するのだから、ある意味贅沢な仕様の機種であると言えます。もちろん画質も申し分なし。実際の操作もフィルムカメラのような操作感。こういったテイストはこれまで富士フイルムのカメラで多く見られるものでしたが、ニコンでも採用したことが話題になりました。

 実際に撮影してみると、初めての人にはどのダイヤルが何をするのかわからない部分もあると思いますが、私のようなフィルムカメラの頃からカメラの操作をしている者にとっては非常に直感性に優れたものになるため、撮影していてとても心地が良いです。特に、昼間の撮影で一つの構図に対してさまざまな設定を駆使して追い込んでいくような撮影では、非常に”ハマる”カメラなのは間違いないです。

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 キュートな外観と画質、そして趣味性の高い操作系統。「こんなカメラ、普段使い用に1台は持っていたいよね」。これがZ fcが幅広いユーザーに受け入れることになった理由なのではないでしょうか。

Z fcにも備わってる!?ガチなタイムラプス撮影機能

 Z fcは”カジュアルな印象・機能”だけではなく、実はタイムラプス撮影においては”ガチな機能”を備えているカメラなのをご存知でしょうか。その機能とはタイムラプス撮影における強烈な露出平滑化と低輝度性能。実はニコンのカメラはタイムラプス撮影において、他社と比べて圧倒的とも言える差を誇っています。

 特にその強さが発揮されるのが夕焼け→星空→朝焼けといった、露出変化が激しい時間帯のタイムラプス。この時間帯のタイムラプス撮影は”ホーリーグレイル(Holy Grail)”と呼ばれ、長時間のマニュアル制御による撮影と撮影後の高度な画像処理を必要とする、とても難しい撮影として知られています。しかし、近年のニコンはこれをPCを必要としないフルオート、完全カメラ任せで撮影できるということで注目されているのです。

■ホーリーグレイルについてはこちらの動画をご覧ください

 Z 7IIやZ 5など、中上級者向けの機種でできるならまだしも、Z fcにも同じ機能が備わっているんですか!?こんな可愛いカメラなのに……。実はZ fcが発売されたとき、私のところへ「Z fcでもホーリーグレイルは撮影できますか?」という質問は数多く寄せられていました。

 そうなんです、Z fcでもホーリーグレイルが撮影できちゃうんです!

 で、実際にやってみました。こちらの動画は、私がZ fcで撮影したホーリーグレイルタイムラプス動画集です。すべて、カメラ内で動画生成した、言わば「撮って出し」の画像処理を施していない素材で動画化されています。動画をつなぐ編集作業はPCソフトで行っていますが、動画自体はなにも画像処理していないものになります。こんな可愛いカメラなのにすごい……。

新しい旅の記録にタイムラプスを

 Z fcは旅先の思い出を記録するにはもってこいの機種でしょう。小型・軽量ゆえに持ち運びが楽で、カメラを持つ姿がファッション性に優れていることもあります。いろいろな場所で、気軽なスナップ・ポートレート・風景を残す。昼間のうちに旅先での思い出を残したら、夜はゆっくりと体を休めるために心地よい眠りにつく。でも、その就寝時間を利用することで新しい旅先の思い出が追加できます。

 就寝前に、Z fcをベランダもしくは窓際に設置して朝までタイムラプス撮影をしてみましょう。すると起きた時には、旅先の宿泊施設から見える夜~朝焼けの美しいタイムラプスが記録されているはずです。寝ている間にこんな美しい変化が起こっていたのかと衝撃を受けるでしょう。もし、Vlogなどの動画を作っている人であれば、タイムラプスを1シーン追加するだけで作品のクオリティがアップすること間違いなし。目が覚めれば美しいホーリーグレイルタイムラプスが完成している……これがZ fcに限らずニコンでタイムラプス表現をすることの大きなメリットだと思います。

 窓越しの撮影は後ろからの光の反射を防止するため、「忍者レフ」などを使用すると効果的。その上からカーテンをすれば光が映り込むことはなくなります。就寝時間中の撮影で気をつけることは、忍者レフと窓にちょっと隙間をつくること。反射を恐れるがあまり、テープで固定して隙間をなくしたことがあるのですが、朝起きると忍者レフの内側のガラスだけが見事に曇ってました。がびーん。

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ガラスの反射を抑える忍者レフ

 画像は横浜にあるホテルニューグランドの「ガンダムコンセプトルーム」に宿泊した際の撮影風景。このときに撮影したタイムラプスは以下から見ることができます。こんな風に旅の記録のひとつにタイムラプスを追加できると素敵ですよね!

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旅の記録にタイムラプス動画を撮影してみよう

Z fcでホーリーグレイルを撮影するときの設定方法

 それではZ fcでホーリーグレイルタイムラプスを撮影するときのおすすめ設定を紹介します。ちょっと項目が多いですが、この通りに設定すれば完璧に撮影することができます!

①絞り優先「A」、ISO感度「100」、シャッタースピード「T」にする

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撮影モード切り換えレバーを「A」の位置にする
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ISO感度ダイヤルを回して「100」の位置にする
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シャッタースピードダイヤルを回して「T」の位置にする

 ここからメニュー画面での設定になります。

②静止画撮影メニュー→フォーカスモードを「MF」にして、外の景色(夜は街灯など)にピントを合わせておく

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③静止画撮影メニュー→測光モードを「中央部重点測光」に

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④セットアップメニュー→USB給電を「ON」に

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⑤静止画撮影メニュー→ISO感度設定
感度自動制御をON、制御上限感度を6400、低速限界設定を15

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⑥静止画撮影メニュー→インターバルタイマー撮影設定
撮影間隔を17、露出平滑化をON、サイレント撮影をON、撮影間隔優先ON

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 撮影枚数については、下に表示されている「終了日時」を確認し、何時まで撮影したいのか?で決めましょう。メモリーカードの空き容量(撮影可能枚数)にも注意。

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 このとき、「オプション」からカメラ内で動画を作ることができます。PCで動画化するのが苦手なひとには大変おすすめ。画像サイズは「1920×1080 30p」で撮影しておけば十分でしょう。

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 ここまで設定したら「撮影開始」を選択すれば撮影スタート。あとは朝までカメラを放置して、ゆっくりと眠りにつきましょう。

 この設定ですと、動画と一緒に撮影した静止画も残ります。それが必要ない場合は、静止画撮影メニュー→タイムラプス動画に進んで設定すると、静止画を残さずにタイムラプス動画のみを記録することができます。

撮影時の注意点

 何かしらカメラを固定するための三脚などは必須です。窓越しに撮影する場合は、窓に固定する吸盤雲台なども効果的です。撮影時は十分な容量のメモリーカードを準備しましょう。空き容量がないとその後の旅で撮影ができない!なんてことに……。バッテリーは予備を持っていきましょう。Z fcはUSB給電ができますので、モバイルバッテリーを接続してタイムラプス撮影をすれば、電池が切れる心配はありません。

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まとめ

 いかがでしょうか?ニコンのガチなタイムラプス撮影機能がそのままZ fcにも搭載されたことによって、キュートさとゴリゴリな感じが共存する不思議なカメラになったのではないかと思います。「私のかわいいZ fcちゃんにこんな機能があるの!?」と思ったら、ぜひお試しを。まずはご自宅の窓際・ベランダから撮影をしてみましょう。

 Z fcを使ったタイムラプス撮影方法について、より詳細な話を私のチャンネルで説明しています。内容がかぶる部分もありますが、興味のある方はぜひ見てみてください。

■写真家:成澤広幸
1980年5月31日生まれ。北海道留萌市出身。星空写真家・タイムラプスクリエイター。全国各地で星空撮影セミナーを多数開催。カメラ雑誌・webマガジンなどで執筆を担当。写真スタジオ、天体望遠鏡メーカーでの勤務の後、2020年4月に独立。動画撮影・編集技術を磨くべくYouTuberとしても活動している。
・著書「成澤広幸の星空撮影塾」「成澤広幸の星空撮影地105選」「プロが教えるタイムラプス撮影の教科書」「成澤広幸の星空撮影塾 決定版」「星空写真撮影ハンドブック」
・月刊「天文ガイド」にて「星空撮影QUCIKガイド」を連載中。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)正会員

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