Nikon Z50IIでポートレート・レビュー|1台目のニコンにオススメ!

水咲奈々
Nikon Z50IIでポートレート・レビュー|1台目のニコンにオススメ!

はじめに

2024年12月13日に発売されたNikon Z50IIは、DXフォーマット(APS-Cサイズ)のエントリークラスのミラーレス機で、前機種のZ50から、5年振りのモデルチェンジとなります。今回はこのNikon Z50IIのレビューを、ポートレート作品と共にお送りします。

エントリー機だからこそ大事なAF性能

■使用機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z 85mm f/1.2 S
■撮影環境:f/1.2 1/250秒 ISO1250 AWB
ピクチャーコントロール:ポートレート

本機は、上位モデルから引き継いだ画像処理エンジンEXPEED 7を搭載しており、被写体検出は人物(顔、瞳、頭部、胴体)、犬、猫、鳥、飛行機、車、バイク、自転車、列車と、こちらも上位モデルと同等の9種類を網羅しています。

今回のようなポートレート撮影では、オートエリアAFと人物検出を組み合わせておけば、ほぼすべての撮影でAFが働いて、カメラに近い方の瞳にピントを合わせてくれます。

筆者のポートレートは、撮影者が眩しく感じるほど強い逆光での撮影も多いのですが、初代のZ50では迷子になっていたようなシチュエーションでも、2代目の本機は上位クラス並みのAFの素早さで、ポートレート機としてのポテンシャルがぐっと上がりました。

上級機を使いこなすユーザーであれば、AFが迷子になっても手動で調整ができますが、スマホからステップアップするユーザーは、AF性能の高さがカメラを持ち出す機会に比例することでしょう。

ピントはカメラ任せにして、光の状況や構図、被写体とのコミュニケーションに集中できる性能であることは、エントリー機のほうがシビアな目で見られ、求められるような気がします。

やっぱりニコン!見やすい高性能ファインダー

■使用機材:Nikon Z50II +NIKKOR Z 85mm f/1.2 S
■撮影環境:f/1.2 1/250秒 ISO320 AWB
ピクチャーコントロール:ポートレート

暗い室内の鏡越しの撮影でも、様々な反射の光に惑わされることなく、鏡のなかの瞳に綺麗にピントを合わせてくれました。

本機はエントリークラスのモデルですが、ファインダーが付いているのが特筆すべき素晴らしい点です。真夏の屋外の撮影で背面液晶が見えにくい状況でも、ファインダーがあればストレスなく撮影できます。

ニコンのファインダーの見え方は本当に素晴らしくて、写真を撮っているすべての方に一度は覗いて見ていただきたいくらい、まさに写真を撮るためのファインダーはこうでなくちゃ!という高レベルのファインダーを搭載しています。

本機も例外ではなく、被写体のディティールを精細に見せてくれる高性能のファインダーを搭載しており、明るい撮影状況だけでなく、撮影に集中したいときに大いに役立ってくれました。

アクティブな撮影を可能にしてくれるコンパクトサイズ

■使用機材:Nikon Z50II +NIKKOR Z 35mm f/1.4
■撮影環境:f/1.4 1/250秒 ISO800 AWB
ピクチャーコントロール:ポートレート

本機のサイズは約127×96.8×66.5mm(幅×高さ×奥行き)、重さ約495g(本体のみ)で、まさに手のひらサイズのコンパクトさです。旅行やスナップにも最適なサイズですが、この写真のように、家具とオブジェ(鳥カゴのような置物)の隙間から撮影するような場合も、そのコンパクトさが活躍してくれます。

また、Z8ともう一台持って行きたいシーンなどで、カメラバッグに収まりの良いサイズのため、サブ機としても出番が増えそうです。

独立したピクチャーコントロールボタン

■使用機材:Nikon Z50II +NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
■撮影環境:f/1.2 1/200秒 ISO400 WB:自然光オート
ピクチャーコントロール:ポートレート
■使用機材:Nikon Z50II +NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
■撮影環境:f/1.2 1/200秒 ISO400 AWB
ピクチャーコントロール:リッチトーンポートレート
■使用機材:Nikon Z50II +NIKKOR Z 85mm f/1.2 S
■撮影環境:f/1.2 1/250秒 ISO320 AWB
ピクチャーコントロール:リッチトーンポートレート

筆者がポートレートでメイン機能として使っているピクチャーコントロールは、人物の肌色を透明感高く、優しい質感で描いてくれる「ポートレート」ですが、構図内に寒色が多い場合や、コントラストを高めたい場合は「リッチトーンポートレート」も使用しています。

本機はZマウントで初めて、ピクチャーコントロールボタンが独立して搭載されています。今までiメニューか、Fnボタンに割り当てるかしていたピクチャーコントロールに、より簡単に、ダイレクトにアクセスできるようになっているのがポイントです。

オート以外の31種類のピクチャーコントロールとクリエイティブピクチャーコントロールを搭載しており、イメージングレシピにも対応しているので、ワンアクションで写真のムードを変えられる便利で楽しいこの機能は、ぜひ積極的に活用して欲しいです。

本機の公式サイトでも、製品特徴の最初の紹介がイメージングレシピとピクチャーコントロールとなっており、メーカー側の推し機能だと感じられます。

「半押し拡大解除」が初期搭載されているメリット

■使用機材:Nikon Z50II +SG-image 50mm F1.8
■撮影環境:f/1.4 1/200秒 ISO200 AWB
ピクチャーコントロール:ポートレート※MFレンズ使用

マニュアルフォーカスを使用した撮影で、ピントを正確に合わせるために、撮影時に画像を拡大表示することがあります。拡大表示はそれに相当したボタンを押すだけというのは、どのZマウント機でも同じなのですが、その後、シャッターボタンを半押しすると拡大表示が解除される、「半押し拡大解除(MF)」という機能を搭載している機種があります。

これがとても便利な機能で、マニュアルフォーカスのレンズを使用することの多い筆者は、この機能が採用されている自分のNikon Z8で多用しているのですが、搭載されていない機種もあります。例えば、Z8よりも後に発売されたZ6IIIは、この機能が初期搭載されていません(2025年1月執筆時現在)。

ですが、本機は初期搭載されているので、メニューからこの機能をONにするだけで、マニュアルフォーカスでの撮影がぐんと楽になります。

搭載されていない機種は、Fnボタンにピント拡大機能を割り当てて、押して拡大、押して解除することになるのですが、この押すという作業が増えると、F1.4などの被写界深度の浅いF値でフォーカスを合わせているときなどは、微妙なズレが生じやすいのです。

初期搭載されていない機種は、ぜひファームアップで対応していただけるよう、切に願うほど垂涎の機能なので、本機に搭載されていると知ったときは、そのためにだけに使ってみたくなったほどです。

完成度の高いニコンの入門機!

■使用機材:Nikon Z50II +NIKKOR Z 35mm f/1.4
■撮影環境:f/1.4 1/250秒 ISO400 AWB
ピクチャーコントロール:ポートレート

今回の撮影では、85mm、50mm、35mm、MFレンズと、多種多様なレンズと組み合わせて撮影してみましたが、ボディがコンパクトなことが幸いして、長時間の撮影でも疲れを感じずにアクティブに撮影できました。

自然光と室内の照明のミックス光という難しいシーンでも、AWBや自然光オートの機能が正しく作動して、その場の色味にあった自然な肌色を描き出してくれたのが好印象です。

ポートレート撮影に役立ってくれる「美肌効果」も初期搭載されており、全体をのっぺりとさせることなく、肌を滑らかにしてくれます。特に、鼻の頭や頬の高いところなど、日が当たっている部分を美しく整えてくれるので、自分もこの機能で撮ってもらいたい!と思えるほど、自然な美肌に仕上げてくれます。

今回はポートレートでのレビューとなりましたが、このAFの速さとコンパクトさは、日常使いのスナップや、荷物を多くしたくない海外旅行などでも活躍してくれそうです。ファインダー搭載の良さも相まって、今後、ニコンZマウントの購入を検討している方に、一番にお勧めできる機種になりそうです。

 

 

■モデル:成沢紫音
Instagram

■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。

 

 

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