【MC-20レビュー】オリンパスMC-20なら1200mmが手持ちで撮れる!?テレコンで “もっと遠くを撮りたい“が叶う!
【この記事の目次】
はじめに
オリンパスといえば“機動力”をテーマに、マイクロフォーサーズセンサーの強みを活かし、レンズシステムを小型軽量にできることが自慢のメーカーです。筆者はオリンパスに対し、機動力はもちろん、強い防塵・防滴性能を持つことから頑丈で、強力な手振れ補正と高い連写性能から動体撮影にすごく強い。というイメージを抱いています。
そんなオリンパスから新製品”MC-20”が発売されました。詳細な製品名は「M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20」で、どんな製品かを簡潔にいうと、焦点距離を2倍に延長する“テレコンバーター”です。「オリンパスの機材を取り上げた最初の記事が、テレコンバーター…?」と思ってらっしゃるそこのあなた!このテレコンバーター、凄いんですよ。
今回は超望遠域の撮影ということで、羽田空港国際線ターミナルデッキで作例撮影をしました。ボディは位相差AFを搭載した動体撮影にピッタリのカメラ、OM-D E-M1Xを使用。レンズはマスターレンズである望遠単焦点レンズ”M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO”と、同じくマスターレンズの望遠ズーム”M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO”の2本を使用しました。
筆者は飛行機撮影をあまりしたことがないため、お見苦しい作例ばかりですが、ぜひ最後まで見てもらえると嬉しいです。
そもそもテレコンバーターって?
(オリンパス公式HPより引用)
https://olympus-imaging.jp/product/dslr/mlens/mc20/feature.html
「そもそもテレコンバーターってなによ?」と疑問を感じている方へご説明します。テレコンバーターとはレンズとボディの間に取り付けることで、レンズの焦点距離を延長する構造の製品です。
撮影するデータを引き延ばす“デジタルテレコン機能”と比べ、光学的に焦点距離を補正するため画質が落ちにくい特徴を持っています。「いやいや、焦点距離が長いレンズをつければいいじゃん」と思う方。お気持ちは分かりますが、このMC-20の最長焦点距離を見たら驚きますよ!
驚愕の1200mm!しかも手持ちで撮れちゃうんです!
35mmフルサイズ換算80mmで撮影
機動力が売りのオリンパスは、パナソニックと共同の規格であるマイクロフォーサーズマウントを採用しています。
入門機の一眼レフに多く採用されているAPS-Cサイズのセンサーよりも小さいため、レンズも小型化に成功。もちろん望遠レンズもその恩恵を受けており、300mm F4のレンズが小ぶりになって、35mmフルサイズ換算で600mmに化けます!
そこに2倍テレコンを入れると驚愕の1200mm!しかも強力な手振れ補正のおかげで手持ち撮影だってできるんです。上の作例は、お借りした中で一番広角の40mm(35mmフルサイズ換算80mm)の焦点距離で撮影したものです。レンズはMC-20で使用可能レンズに選ばれている“M ZUIKO DIGITAL ED 40mm-150mm F2.8 PRO”でテレコンなしで撮りました。
場所は羽田空港国際線ターミナル5階の展望エリアです。これを1200mmにすると…
35mmフルサイズ換算1200mmで撮影
凄いです。東京スカイツリーがこんなに大きく撮れました。撮影時に小雨が降っていたため抜けの少ないモヤっとした写りになってしまいました。しかし、中央展望台上の部分や左下のビルを見ると鉄柱一本一本までしっかりと描写しており、圧巻です。
小さく、軽いけど頑丈
35mmフルサイズ換算360mmで撮影
MC-20の本体重量はわずか150gと野球で使用する硬式用ボールとほぼ同じで非常に軽量。また、本体にはシーリング加工が施されており、オリンパスの強みでもある防塵・防滴性能はもちろん、耐低温性能でもあります。
撮影日は雨が降ったり止んだりの天気でしたが、安心して撮影に臨めました。屋外のスポーツ撮影や野鳥の撮影では、急な雨はもちろん、朝方や夕方、夜になると外気温が低くなる環境がありますが、そんなシーンでも撮影ができるのはとても心強いですね。
最大撮影倍率が向上。とてつもない超望遠マクロ
35mmフルサイズ換算600mmで撮影
MC-20はただ焦点距離を伸ばすだけではありません。対応しているマスターレンズの最大撮影倍率を飛躍的に向上させてくれるんです。
上の作例はM ZUIKO DIGITAL ED300mm F4 IS PROレンズ(コンバーター未装着)で撮影したものです。外で撮影をしていましたが雨が強くなり、急遽空港室内にあった造花のアジサイを撮影したものですが、ここでMC-20を装着し撮影すると…
35mmフルサイズ換算1200mmで撮影
こんなに大きく撮影ができます。驚いたのはMC-20を装着しても最短撮影距離は変わらず、未装着の位置とほぼ同じ部分から撮影ができました。今回は造花を撮影しましたが、描写の良さと超望遠マクロが手軽に撮れたことから、本物の花を撮影したら美しいんだろうな…撮りたいな。と思ってしまいました。
画質や手振れ補正はどうなの?
フルサイズ換算388mmで撮影
ここまで1200mmの凄さをお伝えしましたが、「テレコンを装着して焦点距離が延びるのなんて当然だ!」と声が聞こえたような気がしました(笑)
画質の部分ですが、MC-20のレンズ構成を見てみるとHR(高屈折率)レンズを採用しており、光学性能をできるだけ落とさないように補正しているとのことです。
作例は40-150mm F2.8で撮影したものですが、まず機体上部の光が当たっている部分のツヤ感がしっかり表現され、のっぺりとしたものではなく立体的に写してくれました。また、タイヤのシャドー部は潰れておらず良い描写だと思います。手振れ補正ですが、35mmフルサイズ換算約400mmと望遠域で1/20秒で撮影しましたが、ブレずに撮影できました。
撮影後記
また、撮影していて“機動力”の凄さを感じました。というのも、お借りした2本のレンズは、オリンパスの中では重い方の部類に入ると思います。しかし、レンズ性能を考えると35mmフルサイズ換算で600mm F4のレンズが、他社フルサイズセンサー用70-300mmのような感覚で、苦も無く手持ちで撮影できると思うと機動力の凄さを感じます。
さらに、もう一つ”機動力”を感じたことは、テレコンバーターを付けていながらも、AFのスピードが速いことです。今回は動きが予測しやすい飛行機の撮影でしたが、慣れていないこともありスピード自体はとても速いと感じました。しかし、E-M1Xとの組み合わせで使用した際はAFの食いつきが良く、楽に撮影することができました。
ここ最近、三脚や一脚禁止の場所が増えており、超望遠域レンズでも手持ちで撮影できるマイクロフォーサーズの需要が増えています。MC-20に対応する発売済みのマスターレンズは2本(2019年7月9日現在)と決して多くありませんが、これから増えると思うとワクワクします!