OM SYSTEM OM-1 レビュー|高画質を引き出す二本の最適解標準ズームレンズ

礒村浩一
OM SYSTEM OM-1 レビュー|高画質を引き出す二本の最適解標準ズームレンズ

はじめに

OMデジタルソリューションズより2022年3月に発売された「OM SYSTEM OM-1」は同社のラインナップにおいてハイエンドクラスに位置する製品である。マイクロフォーサーズ規格に準拠しており、高いカメラ性能と優れた画質を両立しながらもコンパクトな筐体サイズであるなど、個性的なカメラとして根強い人気を誇る製品だ。

組み合わせられるレンズも魚眼・超広角レンズから、35mm判換算にして1000mm相当にもなる超望遠レンズまで用意されており、さらに高性能なマクロレンズや大口径で明るい単焦点レンズなどユーザーの幅広いニーズに応えている。

もちろん日常的に使用頻度が高くなる標準域のレンズにおいても、高画質・高性能なものから軽量・コンパクトで扱いやすさを重視した製品まで取り揃えられており、ユーザーの望みに合わせたレンズを自在に選ぶことができる。そのなかでも同社の高品位レンズシリーズ「PROレンズ」に属している「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」および「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」は、OM-1と組み合わせることでそのポテンシャルを最大限に引き出してくれるレンズである。

これら2本のレンズはOM-1のキットレンズとしてセット販売されていることからも、OM-1に最適なレンズであるといって構わないだろう。そこで今回はこれら2本のレンズの特徴と特性に注目することで、それぞれの選びどころを考えてみよう。

12-40mm F2.8 PRO IIと12-100mm F4.0 IS PROの主なスペック

ED 12-40mm F2.8 PRO II ED 12-100mm F4.0 IS PRO
焦点距離(35mm判換算) 12-40mm(24-80mm相当) 12-100mm(24-200mm相当)
レンズ構成 9群14枚(EDAレンズ1枚、非球面レンズ2枚、DSAレンズ1枚、EDレンズ2枚、HDレンズ1枚、HRレンズ2枚) 11群17枚(DSAレンズ 1枚、非球面レンズ 3枚、EDレンズ 5枚、スーパーHRレンズ 2枚、HRレンズ 1枚)
防滴性能/防塵機構 あり IP53 -10℃耐低温性能 あり IP53相当 耐低温性能
フォーカシング方式 ハイスピードイメージャAF (MSC) ハイスピードイメージャAF (MSC)
マニュアルフォーカスクラッチ機構 あり あり
画角 84°(Wide) – 30°(Tele) 84°(Wide) – 12°(Tele)
最短撮影距離 0.2m 0.15m(Wide) / 0.45m(Tele)
最大撮影倍率 Wide:0.11倍/Tele:0.3倍(35mm判換算Wide:0.21倍相当/Tele:0.6倍相当) Wide:0.3倍/Tele:0.21倍(35mm判換算Wide:0.6倍相当/Tele:0.42倍相当)
ワーキングディスタンス Wide:9.4cm/Tele:6.6cm Wide:1.5cm/Tele:27cm
最近接撮影範囲 Wide:161.7×121.5mm/Tele:58×44mm Wide:57.7 x 43.3mm / Tele:82.4 x 61.9mm
深度合成機能 対応 対応
絞り羽枚数 7枚(円形絞り) 7枚(円形絞り)
最大口径比/最小口径比 F2.8/F22 F4.0/F22
L-Fnボタン あり あり
フィルターサイズ Ø62mm Ø72mm
大きさ 最大径×全長 Ø69.9×84mm Ø77.5 x 116.5mm
質量 382g(レンズキャップ、レンズリアキャップ、レンズフードを除く) 561g(レンズキャップ、レンズリアキャップ、レンズフードを除く)
OM-1との組み合わせ質量(実測) 986g(レンズキャップ、レンズリアキャップ、レンズフードを除く)986g(レンズキャップ、レンズリアキャップ、レンズフードを除く) 1170g(レンズキャップ、レンズリアキャップ、レンズフードを除く)
レンズ内手ぶれ補正機構 なし あり(VCM機構) IS切り替えスイッチあり
OM-1との組み合わせ時の手ぶれ最大補正値 7段(焦点距離:40mm・ボディ内手ぶれ補正時) 7.5段超(焦点距離:100mm・シンクロ手ぶれ補正時 )
レンズ単体税込み価格※ 88,980円 160,900円
OM-1レンズキット税込み価格※ 295,020円 358,380円
※2023年7月5日現在のキタムラネットショップ税込み価格

ED 12-40mm F2.8 PRO IIとED 12-100mm F4.0 IS PROの仕様を表にした。この表から特徴を読み解くと、焦点距離はどちらも広角端においては12mm(35mm判換算24mm相当)だが、望遠端はED 12-40mm F2.8 PRO IIが40mm(35mm判換算80mm相当)と中望遠域までとなっているのに対して、ED 12-100mm F4.0 IS PROは100mm(35mm判換算200mm相当)の望遠域までカバーしているのが大きな特徴だ。このようにED 12-100mm F4.0 IS PROでは、このレンズ一本のみで広角から望遠まで、より幅広い画角を選択できる。

一方、ED 12-40mm F2.8 PRO IIの大きな特徴として挙げられるのが、レンズの開放絞り値がF2.8であることだ。開放絞り値がF4であるED 12-100mm F4.0 IS PROと比べると、ひと絞り分明るいレンズであることにより、限られた明るさの下において、より光を多く取り入れる為の大きなアドバンテージとなる。

さらに、ひと絞りの違いではあるが、被写界深度もより浅くなることからアウトフォーカスとなった箇所を大きくぼかしやすい。また鏡筒の長さ・太さはED 12-100mm F4.0 IS PROより短く細いので、OM-1と組み合わせた状態でもとてもコンパクトとなる。ズーム倍率は約3.3倍と控えめだが35mm判換算で24-80mm相当と扱いやすい焦点域の標準ズームレンズである。

レンズ外観


OM-1にED 12-40mm F2.8 PRO II(手前)とED 12-100mm F4.0 IS PRO(奥)を装着。外観はいずれもPROレンズシリーズ共通の金属外装により、高級感のあるデザインイメージとなる。


広角端12mmの状態。ズームを縮めた状態でもED 12-100mm F4.0 IS PRO(右)はED 12-40mm F2.8 PRO II(左)と比べるとかなり長くなる。


ズームを望遠端の状態まで伸ばした。ED 12-100mm F4.0 IS PRO(奥)は100mm、ED 12-40mm F2.8 PRO II(手前)は40mmと焦点距離に違いがあるが、やはり高倍率ズームレンズのED 12-100mm F4.0 IS PROの繰り出し量は大きい。


両レンズの鏡筒先端部にはフォーカス用リングが配置されている。リングを手前に引くようにスライドさせることで「マニュアルフォーカスクラッチ機構」によりオートフォーカスからマニュアルフォーカスへの切り替えが可能だ。


「L-Fnボタン」も両レンズ共に設けられている。これはカメラに用意されているFnボタンと同様に「ボタンの設定」メニューから好みの機能切り替えを割り当てることができるものだ。


ED 12-100mm F4.0 IS PROにはレンズ内手ぶれ補正機構が内蔵されている。これはレンズ単体ではシャッタースピードにして最大5段、OM-1のボディ内手ぶれ補正機構との5軸シンクロ手ぶれ補正を有効にすることで、7.5段を超えるほどの補正を可能とする。機能のON/OFFは鏡筒に設けられたIS切り替えスイッチで行う。


レンズ前玉のフィルター径はED 12-40mm F2.8 PRO II(右)が62mm、ED 12-100mm F4.0 IS PRO(左)が72mmとなっている。より細身で小径であることによりED 12-40mm F2.8 PRO IIはコンパクトとなる利点がある。一方、ED 12-100mm F4.0 IS PRO の72mm径はOM SYSTEMの複数のレンズが採用していることから、同じ72mm径のフィルターを流用できるメリットがある。フィルターの使用頻度の高いユーザーであれば同じフィルター径のレンズで揃えることも選択肢のひとつだ。

焦点距離の違いによる画角比較


ED 12-40mm F2.8 PRO IIとED 12-100mm F4.0 IS PROのもっとも大きな違いは、言うまでもなく望遠側の焦点距離幅の違いだ。広角端はどちらのレンズも12mm(35mm判換算24mm相当)と同じだが、望遠端はED 12-40mm F2.8 PRO IIが40mm(35mm判換算80mm相当)と中望遠域までとなっているのに対して、ED 12-100mm F4.0 IS PROは100mm(35mm判換算200mm相当)の望遠域までカバーしている。ズーム比約8.3倍のとても便利な高倍率ズームレンズだ。

PROレンズお墨付きの高い解像力

ED 12-40mm F2.8 PRO IIとED 12-100mm F4.0 IS PROはどちらもOM SYSTEMの高品位レンズシリーズ「PROレンズ」に属するレンズだ。PROレンズシリーズはその名の示す通り、プロ写真家が求める高い性能基準を満たすため、高い解像力を持つレンズとして設計・製造されている製品である。


海岸の岩場をED 12-40mm F2.8 PRO IIとED 12-100mm F4.0 IS PROそれぞれの広角端12mmで撮影した。撮影条件を揃えるためOM-1を三脚に固定しレンズの絞り値はいずれもF4.0に設定。撮影画像の中央部と周辺部を等倍で切り抜き、レンズの解像力を比較した。

一般的に焦点距離幅の広い高倍率ズームレンズは解像力が劣ってしまうことが多いと言われているのだが、このテスト画像を見る限りED 12-100mm F4.0 IS PROの撮影画像は、ED 12-40mm F2.8 PRO IIにも引けを取らない高画質であることが判る。したがってどちらのズームレンズを選ぶとしても画質を妥協する必要はない。

開放F値の違いによるぼけ味の比較


ED 12-40mm F2.8 PRO IIの大きな特徴として挙げられるのが、レンズの開放絞り値がF2.8であることだ。開放絞り値がF4であるED 12-100mm F4.0 IS PRO(中央)と比べると、ひと絞り分明るいレンズであることで限られた明るさの下においては、より光を多く取り入れる為の大きなアドバンテージとなる。

また、ひと絞り分の違いではあるが、同じ焦点距離(ここでは40mm)であってもED 12-40mm F2.8 PRO IIでの撮影(左・開放絞り値F2.8)では、被写界深度はより浅くなることから、被写体とした花の前後のぼけがより大きく柔らかく描写されていることがわかる。

なおED 12-100mm F4.0 IS PROを望遠端100mmに設定しカメラ位置を被写体から離して花の大きさをほぼ同じにして撮影したもの(右)は、背景の写る範囲が狭まると同時に、前後のぼけが大きく表現される。これはレンズ交換を行うことなく、望遠撮影までもが可能であるED 12-100mm F4.0 IS PROの特徴ともいえる。

最短撮影距離とワーキングディスタンス、最大撮影倍率の違いと比較

マイクロフォーサーズのレンズは最短撮影距離が短めであるものが多い。ED 12-40mm F2.8 PRO IIおよびED 12-100mm F4.0 IS PROの最短撮影距離もやはり短く設定されているので、被写体に近づいてのクローズアップ撮影に向いている。

ここでいう最短撮影距離とは、被写体にフォーカスを合わせることができるもっとも近い位置での、カメラの撮像センサー面から被写体までの距離を指すものである。一方、ワーキングディスタンスは最短撮影距離で撮影する際の、レンズ先端から被写体までの距離となる。


それぞれのレンズを使用して、広角端において被写体からの最短撮影距離で撮影を行った。ED 12-40mm F2.8 PRO IIの最短撮影距離は20cm、ワーキングディスタンスは9.4cm。一方、ED 12-100mm F4.0 IS PROでは最短撮影距離は15cm、ワーキングディスタンスは1.5cmと極めて短い。これによりレンズ先端が被写体に触れそうなほどまで近づいたワイドマクロ撮影が可能となる。

なお最大撮影倍率はED 12-40mm F2.8 PRO IIは0.11倍(35mm判換算0.22倍)、ED 12-100mm F4.0 IS PROで0.3倍(35mm判換算0.6倍)となることから、広角端での撮影ではED 12-100mm F4.0 IS PROの方がよりクローズアップした撮影を行うことができる。


こちらは望遠端での最短撮影距離で撮影したもの。ED 12-40mm F2.8 PRO IIの焦点距離40mmでの最短撮影距離は20cm、ワーキングディスタンスは6.6cm。一方、ED 12-100mm F4.0 IS PROの焦点距離100mmでは最短撮影距離は45cm、ワーキングディスタンスは27cmとなる。望遠端での撮影では被写界深度の特性から、被写体の前後がアウトフォーカス域となりやすく被写体が浮き立つ写真となる。

両レンズの望遠端での撮影では、最大撮影倍率がED 12-40mm F2.8 PRO IIは0.3倍(35mm判換算0.6倍)、ED 12-100mm F4.0 IS PROで0.21倍(35mm判換算0.42倍)となるので、ED 12-40mm F2.8 PRO IIの方がよりクローズアップした撮影を行うことができる。

このようにED 12-40mm F2.8 PRO IIとED 12-100mm F4.0 IS PROのいずれでも、手軽に本格的なクローズアップ撮影が可能だ。さすがにマクロレンズほどの接写とはいかないが、標準ズームのままでもレンズ交換することなく被写体に近づいて撮影できる便利さは嬉しい。ただしそれぞれのレンズでもっとも拡大できる焦点距離域が異なるので、その点は覚えておくとよいだろう。

OM-1 + ED 12-40mm F2.8 PRO II 実写作例

■使用機材::OM-1 + ED 12-40mm F2.8 PRO II
■撮影環境:F2.8 1/320秒 ISO400 絞り優先モード +0.7EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + ED 12-40mm F2.8 PRO II
■撮影環境:F4.0 1/200秒 ISO200 絞り優先モード -0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + ED 12-40mm F2.8 PRO II
■撮影環境:F4.0 10秒 ISO200 マニュアルモード WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + ED 12-40mm F2.8 PRO II
■撮影環境:F4.0 1/5000秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + ED 12-40mm F2.8 PRO II
■撮影環境:F4.0 1/800秒 ISO200 絞り優先モード +1EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + ED 12-40mm F2.8 PRO II
■撮影環境:F4.0 1/640秒 ISO200 絞り優先モード +1EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + ED 12-40mm F2.8 PRO II
■撮影環境:F11 15秒 ISO200 マニュアルモード WB晴天 仕上がりモードVivid MF 単写S-IS Auto H&Y DROP IN CPL/ND1000使用
■使用機材::OM-1 + ED 12-40mm F2.8 PRO II
■撮影環境:F2.8 30秒 ISO3200 マニュアルモード WB4200K 仕上がりモードVivid MF 単写S-IS Auto ライブコンポジット29コマ
■使用機材::OM-1 + ED 12-40mm F2.8 PRO II
■撮影環境:F2.8 20秒 ISO800 マニュアルモード WBオート 仕上がりモードVivid MF 単写S-IS Auto ライブコンポジット900コマ
■使用機材::OM-1 + ED 12-40mm F2.8 PRO II
■撮影環境:F8.0 1/5秒 ISO200 絞り優先モード WBオート 仕上がりモードVivid MF 単写S-IS Auto

OM-1 + ED 12-100mm F4.0 IS PRO 実写作例

■使用機材::OM-1 + ED 12-100mm F4.0 IS PRO
■撮影環境:F4.0 1/160秒 ISO200 絞り優先モード -0.3EV WBオート 仕上がりモードNatural S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + 12-100mm F4.0 IS PRO
■撮影環境:F4.0 1/160秒 ISO200 絞り優先モード -0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + 12-100mm F4.0 IS PRO
■撮影環境:F4.0 1/160秒 ISO200 絞り優先モード -0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + 12-100mm F4.0 IS PRO
■撮影環境:F4.0 1/250秒 ISO200 絞り優先モード -0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + 12-100mm F4.0 IS PRO
■撮影環境:F4.0 1/250秒 ISO200 絞り優先モード -0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + 12-100mm F4.0 IS PRO
■撮影環境:F4.0 1/400秒 ISO200 絞り優先モード WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + 12-100mm F4.0 IS PRO
■撮影環境:F4.0 1/100秒 ISO200 絞り優先モード -0.3EV WB晴天 仕上がりモードVivid S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + 12-100mm F4.0 IS PRO
■撮影環境:F11 1秒 ISO200 マニュアルモード WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF 静音単写S-IS Auto ライブND32
■使用機材::OM-1 + 12-100mm F4.0 IS PRO
■撮影環境:F11 2秒 ISO200 マニュアルモード WB晴天 仕上がりモードNatural S-AF+MF 単写S-IS Auto
■使用機材::OM-1 + 12-100mm F4.0 IS PRO
■撮影環境:F8.0 1/200秒 ISO200 絞り優先モード WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF 単写S-IS Auto KANI Vivid CP-L使用

マイクロフォーサーズシステムの中心を担う高品位標準ズームレンズ

OM SYSTEM OM-1は、OMデジタルソリューションズがカメラブランドを「OM SYSTEM」に変更した後に発売した最初のハイエンドフラグシップ機だ。それまでのフラグシップ機であったOM-D E-M1シリーズの精密かつ先進的なテクノロジーと高い耐久耐候性能を引き継ぐとともに、積極的に最新の技術を取り入れることでマイクロフォーサーズ規格のシステムを次世代のものへと推し進めた記念すべきカメラでもある。それだけに、組み合わせるレンズには高い性能を持った製品を選びたいと思うのは自明の理だ。

幸いにもOM SYSTEMにはOM-1の高画質を余すことなく引き出せるレンズが、PROレンズシリーズを筆頭に多数存在しており、ユーザーは用途に応じて最適なチョイスが可能だ。これは今回紹介した「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」および「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」にももちろん当てはまる。

それだけでなく、どちらのレンズも広角12mm(35mm判換算24mm相当)から標準域をカバーするレンズでありながら、望遠域までもカバーする幅広い焦点域を持ったレンズであったり、コンパクトなサイズでありながら開放絞り値F2.8を誇る明るいレンズであるなど、いずれも個性的な性格のレンズであることからも、ユーザーは自身の撮影に適したモデルを積極的に選ぶ楽しさを得ることができるはずだ。

実は筆者もOM-1ボディとM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIを、発売開始時から使用しているのだが、この組み合わせは常に基本形と意識しシステムの中心に存在している。多種多様な撮影を行うなかであっても、OM-1とM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIで表現できる世界を基本として定め、状況に応じてこれを拡張するために、他のレンズへ換装するという考え方である。

ここには自らがイメージする映像を写真という枠に落とし込む具象化の過程において、自分にとっての規範形を常に持ち続けるという意味合いもある。この「私が守り続ける基本スタイル」を保つ為にも、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIの存在は、すでに欠かせなくなっているのだ。

ところでOM-1の発売が開始された当初は、ボディ単体での販売以外では「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」とのレンズキットのみが用意されていたのだが、今年2月になり「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」とのレンズキットが追加されることとなった。これはおそらく昨年新型に刷新された、明るい高画質標準ズームレンズである「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」に対する、OM-1ユーザーからの強い支持と要望を反映したことによるものだろう。

これにより現在、これら2本のレンズはOM-1のキットレンズとしてセット販売がなされており、初めてマイクロフォーサーズ機を導入する人や、念願のハイエンドフラグシップ機を手に入れようとしている人にとっては、安心してOM-1の優れた画質を手に入れることができる商品となっている。

なにより、OM-1ボディと合わせてED 12-40mm F2.8 PRO II およびED 12-100mm F4.0 IS PROをそれぞれ個別に購入するよりも、かなりお得な価格で手に入れることができる点は見逃せない。OM-1とPROシリーズ標準ズームレンズの導入を検討されている方は、これを機に検討されてはいかがだろうか。きっとこれまで以上の高画質と、高品位なシステムを手にすることへの満足感を得ることができるはずだ。

 

 

■写真家:礒村浩一
女性ポートレートから風景、建築、舞台、製品広告など幅広く撮影。全国で作品展を開催するとともに撮影に関するセミナーの講師を担当する。デジタルカメラの解説や撮影テクニックに関する執筆も多数。写真編集を快適に行うためのパソコンのプロデュースも担当。

 

 

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