およそ半世紀という時を超え、いま手に入れる満足感|オリンパス OM-2 フィルム一眼レフカメラ
はじめに OM-2というカメラについて
カメラという存在を考えるとき、もちろんそれは写真を撮るための道具であることが大前提だが、そこに筆者は光学機器ならではの精密感と、それを守るための堅牢な構造を纏った機械としての存在感に心を奪われる。今回取り上げるフィルム一眼レフカメラ「オリンパス OM-2」は、金属製のボディに大きなダイヤルやレバーがシンプルかつ無駄なく配置された、凝縮感の高い造形とエッジの際立ったデザインが印象的なカメラである。すでに発売から半世紀近くを経ているが、その印象は今でも薄れることがない。
OM-2というカメラが誕生した時代背景として、まずは当時の日本における一眼レフカメラの動向について簡単にお話をしておこう。1960年代後半から70年代初頭にかけて、各カメラメーカーは一眼レフカメラの性能を向上させることに日々情熱を注ぎ、さまざまなカメラを世に送り出していた。その成果によりカメラとしての精度が高まり、また新しい機能も日々開発されていたのだが、その一方、性能を重視した製品開発を続けたことでカメラのサイズはより大きく、より重くなってしまっていたのだ。当然それはカメラを使用するユーザーの負担が増えることにつながる。
しかし、1972年にその状況を大きく一変させる製品が登場する。その製品は、あるカメラ設計者の独創的な設計思想のもと、より高い性能を引き出しつつも、それまでのカメラでは考えられないほどの小型軽量化を実現してしまったのだ。これこそが、後に多くのカメラメーカーが競って進めることとなる小型軽量化への牽引役となった、オリンパスの一眼レフカメラシステム「OMシリーズ」の誕生の瞬間である。
OMシリーズでは、まず一機種目としてマニュアル露出撮影専用機であるOM-1(発売開始直後にM-1より改称)を発売。この画期的なカメラは、その驚くほど小さなサイズと軽量さが話題となり、その後にマイナーチェンジされたOM-1Nと合わせると通算でおよそ14~15年間ほどの長期にわたり販売がなされたほど人気を博した。
一方、今回取り上げるOM-2はOMシリーズの二機種目として1975年に登場した一眼レフカメラだ。カメラの基本デザイン、サイズや重さ、操作系は先行発売されたOM-1とほぼ同じに作られた兄弟機であったが、OM-1がマニュアル露出モード専用機であったのに対して、OM-2はマニュアル露出モードに加えて絞り優先オートモードも搭載した、オリンパス初のオート露出モード搭載一眼レフカメラとして開発された。このカメラではシャッター機構が機械式であったOM-1とは異なり、当時としては最新の電子シャッター式が採用されている。さらに絞り優先モードでの露出制御に世界初のダイレクト測光方式を採用するなど、最先端の電子制御回路を組み込んだカメラとして大きな話題を呼んだ。
『オリンパスOM-2の主なスペック』
■オリンパスOMマウント(バヨネット交換式)
■ファインダー ペンタプリズム式 視野率97%
■ファインダー倍率 0.92倍(50mmレンズ・無限遠)
■シャッター 電子式フォーカルプレーンシャッター
■シャッタースピード マニュアルモード:B・1~1/1000秒 オートモード:数十秒~1/1000秒 X同調1/60
■フォーカシング機構 マニュアルフォーカス
■ミラー クイックリターン式 ミラーアップは不可
■測光方式 マニュアルモード: TTL中央重点平均測光
絞り優先モード:TTLダイレクト測光式
平均測光(60~1/15秒)/中央重点平均測光(1/60〜1/1000秒)
■フィルム感度設定 ASA(ISO)12~1600
■フィルム巻き上げ レバー式 小刻み巻き上げ可能
■大きさ 幅136mm 高さ83mm 奥行き50mm(ボディのみ)
■質量 約520g (ボディのみ)
■電源 1.5V SR44 x2個使用
*メーカー発売時のデータを元にしています
OM-2にG.ZUIKO AUTO-W 28mm F3.5レンズを装着。このOM-2はシルバーモデルであることから金属外装のソリッドな印象をより強く感じる。コンパクトなボディサイズなうえ、ファインダーが設けられているペンタプリズム部がボディの箱型に半ば沈み込むようなレイアウト設計となっているなど、凝縮感が高いデザインであることもOMシリーズの特徴だ。
OM-2を上面から見る。カメラ本体の箱型はとてもスリムな印象。そこに大きなペンタプリズムとファインダーが備えられている。この中に収められている大きなプリズムにより高い倍率のファインダーを実現している。ペンタプリズム部中央のネジ穴はストロボ接点用。OM-1/OM-2ではデザイン優先の理由からアクセサリーシューは取り外し式となっているため、クリップオンストロボの使用時には対応したアクセサリーシューを装着しなければならない。
カメラ上面右手側には複数回の小刻み巻き上げが可能なフィルム巻き上げレバーとシャッターレリーズボタン、フィルム感度設定と露出補正を兼ねたダイヤルが配されている。露出補正ダイヤルは絞り優先オートモード時にカメラが導き出したシャッタースピードに対してプラス補正/マイナス補正を行うためのもの。フィルム感度規格は当時一般的であったASA表示とされているが、実質的にISOと同じ値なので使用するフィルムのISO感度数値に合わせれば良い。なおフィルム感度はダイヤルを摘んで持ち上げることで12~1600の間の任意の数値に設定する。
カメラ上面左手側には電源スイッチと露出モード切り替えを兼ねた大型のモードレバー、撮影済みフィルムをパトローネ内に巻き戻すための回転式Lクランクノブが配されている。モードレバーを「OFF」の位置から「MANUAL」に合わせるとマニュアル露出モードに、「AUTO」に合わせると絞り優先オートモードに切り替わる。また「AUTO」位置からさらにレバーを回して「CHECK」に合わせる(レバーは自動復元式)ことでファインダーの左横に設けられた赤いランプが点灯しバッテリーチェックを行うことができる。
カメラ前面マウント部の左側にはフィルム巻き戻しロックレバーとセルフタイマーレバーが配置。撮影し終わったフィルムを巻き戻す際にはロックレバーを反時計回り方向に1/4回転させてロックを解除したうえで、上面のフィルム巻き戻用Lクランクノブを左回転して巻き戻す。フィルムをすべてパトローネ内に巻き取った後、ノブを垂直に引き上げるとカメラの裏蓋が開放される。セルフタイマーは機械式で、セルフタイマーレバーをカメラ正面から向かって反時計回りに180°回した状態でおよそ12秒に設定される。レバーを回す角度に合わせてタイマーの秒数を4~12秒の間で設定することも可能。セルフタイマーのスタート/キャンセルはセルフタイマーレバーの下に隠れている小さなレバーをスライドすることで行う。
カメラ前面マウント部の右側には外部ストロボとシンクロコードで接続するシンクロソケットがある。OM-2のシンクロは現在でも一般的なX接点と、当時撮影に使用されていたFP級バルブフラッシュとの切り替えが可能。ストロボとの同調シャッタースピードは1~1/60秒。なおここの接点を使用してのシンクロストロボ発光ではTTL調光は使用できない。
OMシリーズ最大の特徴でもある、マウント周辺部に設けられたシャッターダイヤル。これは先行して発売されたOM-1ならびに、後に発売されるOM-3、OM-4の各シリーズモデル、中級機に位置するOM-20、OM-30、OM-40でも共通して採用された、まさにOMシリーズのアイデンティティーとも呼べるものだ。この位置にシャッターダイヤルを設けたことで、撮影時に右手はレリーズボタンと巻き上げレバーに添えたまま、左手のみでレンズのピントリング、絞りリングと同様にシャッタースピードの設定がレンズの軸に沿った回転動作で可能となる。この操作系に慣れてしまうと、一般的なカメラの上部に設けられている、シャッターダイヤルの操作がとても煩わしく感じられてしまうほどだ。
OM-2のシャッターは全速において電子式シャッターによって制御される。ただしレリーズボタンを押し続ける間はシャッターが開放されるB(バルブ)のみは機械式シャッターとなっている。B(バルブ)への切り替えは、まずモードレバーでマニュアル撮影モードに切り替えたうえで、シャッターダイヤルをBの位置まで回転させる。ただし1秒の位置からBに回すには、マウント下部にあるリセットボタンを押しながらロックを解除する必要がある。ちなみに絞り優先オートモード時はシャッターダイヤルがB以外のどの数値に設定されていても無効となる。
マウント下部に設けられたB(バルブ)ロックリセットボタン。この小さなボタンを指で押さえながらシャッターダイヤルをBまで回してバルブ撮影モードに切り替える。通常のシャッタースピードに戻す際はリセットボタンを押す必要はなく、そのままシャッターダイヤルを回して任意のスピードに合わせればよい。
電池室はカメラ底面にあり、コインで蓋を回し開けて電池を入れる。電池は1.5VのSR44を2個使用する。互換性のあるLR44電池でも駆動させることは可能だが、電池の消耗が早いので継続して使用するのであれば、やはりSR44をお勧めしたい。なおOM-2シリーズおよびOM-4シリーズでは電池が消耗してしまうと、レリーズボタンを押してもマウント内のミラーが上がった状態で固定される仕様となっている。その場合は新しい電池に交換したうえで、バルブロックボタンを押しながらシャッターダイヤルをBに合わせると、ミラーが下りリセットがなされ、再び撮影が可能となる(OM-2Nではモード切り替えレバーをバッテリーチェックの位置にスライドすることでもリセットが可能)。このバルブロックとリセットの方法はあまり知られていないため、ミラーアップしたまま動かなくなると故障してしまっていると勘違いしてしまうことも少なくない。
OM-2のマウント部とミラーボックス。カメラ本体のサイズからするととても大きい。それによりミラーボックス内のミラーも大きなものが採用されており、ファインダーの明るさに寄与するとともに、望遠レンズ使用時のミラー切れが発生しにくい構造とされている。さらにミラーが駆動する際に発生するショックを吸収するエアダンパーを採用するなど、当時の他の一眼レフカメラとは比較にならないほど徹底的に振動と動作音を低減しているのもOMシリーズの特徴のひとつだ。
ファインダー内部の様子を撮影。OM-2のファインダー視野率は97%、倍率は0.92倍(50mmレンズ・無限遠)と当時の他社ハイエンド機と比べても遜色がない。実際にカメラを構えファインダーを覗くとその広さと像の大きさに驚くほどだ。個人的にはこのファインダーの素晴らしさだけでも、OM-1/OM-2をオススメしたいくらいだ。ファインダー左端には露出情報が表示される。マニュアルモードでは内蔵露出計と連動してプラス/マイナスのスケールと指針が、オートモードでは設定した絞り値から導き出したシャッタースピードを指針で指し示してくれる露出表示に切り替わる。
ファインダー内に像を写し出すフォーカシングスクリーンはユーザー自身で交換可能。フォーカシングスクリーンは撮影する被写体に合わせてさまざまな種類が用意されており、交換はマウントから直接行える(OM-1,OM-3,OM-4と共通)。フォーカシングスクリーンを交換するだけで、ファインダーの見え方が大きく変わりピント合わせも効率良く行えるなど実用性は極めて高い。筆者は標準のスプリットプリズム(中央部優先位相差式)ではない全面マットのスクリーンに交換することで中央部以外でもピント合わせを行いやすくしている。しかしすでに販売終了から長い年月が経っているだけに、もうこれらを個別に手に入れるのは難しいだろう。
OM-2の背面。裏蓋の中央にはメモホルダーが用意されている。ここには使用中のフィルムの種類を忘れないように、紙箱の蓋などを差し込んでおく。デジタルカメラと違い、基本的にはいちど装填したフィルムは撮影終了後に取り出すまでは確認できないことから考え出された工夫である。
OMシリーズの一眼レフカメラで使用するレンズは、ごく一部の製品を除いてマニュアルフォーカス専用のレンズである。金属製の鏡筒にラバー製ダイヤパターンの滑り止めが設けられたフォーカスリング、手動で操作する絞りリングは1絞りごとのクリック感もしっかりしている。これらリング類はいずれも適度なトルクと指の自然な可動範囲に沿って配置されており操作感は極めてよい。さらに見た目的にもクラシカルでデザイン的に魅力が高い。OMシリーズ用のズイコーレンズには希少価値の高い特殊なレンズもあるが、実は一般的なレンズであっても優秀な性能のものが多い。そしてその割には比較的手に入れやすい価格で中古市場に存在していたりもする。
リアルタイムに露出を決定する、世界初のTTLダイレクト測光を搭載
OM-2の絞り優先オートには、世界初となった画期的な露光制御方式が採用された。「TTLダイレクト測光」と呼ばれる方式だ。通常一般的なカメラでは、カメラに内蔵もしくは外付けされた露出計で、事前に計測した明るさの記憶を元に、絞り値とシャッタースピードを組み合わせて露光を行う。ほとんどの被写体においてはこの方式でも大きな明るさのズレとはならないが、これがシャッターを開けてカメラが露光を行なっている最中に急激に明るさの変化が起こってしまうと、それに対処することはできず適切な露光状態とはならない原因となる。
そこで考え出されたのが、露光中にフィルムに届いた光の量をリアルタイムに計測して最適な露光時間となるように調整する仕組みだ。具体的にはレンズを通ってカメラ内のフィルムにあたり反射した光を、ミラーボックス内のセンサーで拾いリアルタイムに計測。それを元にフィルムの露光状況を推察してシャッターのスピードを調整するというものだ。この方法であれば露光中に急激に明るさが変化したとしても、即対応が可能となり適切な露光量とすることができるという訳だ。
OM-2のダイレクト測光では、レンズを通ってきた光が開いたシャッターの先にあるフィルム面にあたり、そこから反射された光の量をミラーボックス内のセンサーで拾い計測する方法を取っている。ただしシャッタースピードが高速な場合、実際にはフィルム面はシャッター幕の先幕と後幕の隙間でしか現れずほとんど光を反射する間もない。そこで高速シャッター時にはフィルムの代わりにシャッター幕による光の反射を利用する必要がある。しかし実際にはフィルムとシャッター幕では光の反射率が異なるため、正確に光の量を測ることができないという問題がある。そこでシャッター幕自体に独自に編み出した黒白のドットパターンを印刷し反射させることで、フィルム面と同等の反射率としているとのことだ。その開発過程ではオリンパスの設計者は世界中で発売されていたフィルムを取り寄せて、すべての反射率を測ったうえでドットパターンを作成したという逸話があるほどだ。なんともはや、地道な努力の賜物だろうか。なお、この説明用写真ではドットパターンを撮影するためにBロック状態にしたミラーボックス内を撮影している。したがって通常使用の範囲では、ユーザーがドットパターンを目にすることはない。
シャッタースピードをBに設定しシャッターを開放した状態でフィルム室側からミラーボックス内を見たところ。下部の左右に大きな光センサーがあることがわかる。このセンサーでフィルム表面から反射してきた光を測定し、ここで得られた情報を基に実際の露光時間を決定する。
ダイレクト測光の効果を説明するために夜景撮影でテストを行った。街から離れた岬の突端に建つ展望台。周囲には遠く離れた位置にある街灯から流れてくる光しかなく、肉眼ではほとんど展望台の建物が見えないほどの暗い状況下だ。これをOM-2の絞り優先オートモードで撮影した。
左は周囲の明るさのみで撮影した写真。絞り優先オートで102秒まで露光がなされた状態。真っ暗な状況だが102秒の長秒露光によって、展望台の姿が浮かび上がっている。一方、右は同じカメラ設定のままで撮影を開始したものの、撮影を開始してからおよそ30秒後に車のヘッドライトを点灯して展望台を照らしたもの。一般的なオート露出での撮影では、撮影開始後は被写体の明るさが変化しても、いちど設定された露光時間は変わることがないため、結果的にはヘッドライトの強い明るさで被写体が露出オーバーとなってしまう。だがOM-2のダイレクト測光では露光中の明るさの変化に露光調整機能が追随することで、結果的に被写体が適正露出となったと判断された42秒で露光が中断された。このことからも、ダイレクト測光では露光中もリアルタイムにフィルムに届く光の量を測定し、その情報を基に露光時間を調整していることがわかるだろう。
OM-2に搭載されたダイレクト測光は、ストロボ撮影での調光でも威力を発揮していた。オリンパス純正の対応ストロボと組み合わせることで「TTL調光システム」とも呼ばれるオート撮影が可能となった。それまでストロボ撮影においてはマニュアル設定で光量と絞りを調整するか、ストロボに搭載された外部オート機能を使用してのオート撮影が一般的だったのだが、OM-2に搭載されたダイレクト測光の機能を活かすことで、ストロボの瞬間光であっても撮影時にレンズを通過してきた光の明るさを直接測光することで、リアルタイムに調光がなされ簡単に適正露出を導くことができるようになった。このTTL調光システムの登場によって、それまでは非常に難しかったストロボでのマクロ撮影などの分野に技術革新をもたらしたという。現在ではこのストロボのTTL調光方式は多くのメーカーのカメラが採用しており一般的な方式となっているが、当時このダイレクト測光という測光方法を初めて実用化したOM-2は、まさにエポックメイキングなカメラとなったのだ。
OM-2での作例写真
OM-2に実際にフィルムを詰めてスナップ撮影を行った。事前にカメラの露出精度などを確認することができていなかったため、全ての撮影は絞り優先オートモードでの撮影に、筆者の経験則から露出補正を加えて撮影している。また使用したフィルムは新品の製品(Kodak Color Plus 200)に加え、筆者が長年ストックしていた古い高感度フィルム(FUJICOLOR SUPER HG 1600)も使用して撮影した。そのためカラーバランスが偏っていたり、粒子が荒いものも含まれているが、それらもフィルム撮影における意外性と捉えて作品作成をおこなっているので、これらはあくまでも参考として捉えていただきたい。
*OM-2で撮影したネガフィルムを現像後にデジタル化(カメラのキタムラ フィルム現像&スマホ転送サービスを利用https://www.kitamura-print.com/column/special/film/utsurundesu/#tokupripack)
50年前の最先端を現代に楽しむオトナのための名機
今回紹介したオリンパスOM-2は、発売からすでに50年近くという月日が過ぎているカメラだが、開発時に掲げられた明確なコンセプトとユーザーターゲットの選別により、とても個性的なカメラとして仕上がっている製品だ。もちろんそれは現在においても十分に通用する魅力といえる。何より、男性はもちろんのこと、女性の手にも無理なく収まるほどのコンパクトさと、複数のレンズと一緒に持ち歩いても苦にならない軽さは、何ものにも代えられない自由さに繋がる。同時に金属外装のカメラが持つメカニカルかつソリッドなデザインは、人間工学に基づき配置されたという各部の操作感と合わさることで、クラシカルなカメラを所有するという満足感にも繋がるはずだ。
なおOM-2は1979年にマイナーチェンジ版のOM-2Nとなったのち、1984年に発売された新たなモデル「OM-2SP」に置き換えられるまで、9年ほどの長期間で販売されたことから、年数が経ってはいるがそれなりの個体数がまだ中古市場には出回っているものと考えられる。さすがに完動品は少なくなっているだろうが、シャッタースピードや露出計のバラつき程度であれば、シビアな撮影でさえなければまだまだ楽しめるはずだ。
実は今回のレビューで使用しているOM-2自体も、筆者自身がカメラのキタムラの中古販売店頭にてたまたま見つけたものだ。実はその際、OM-2はミラーアップしたままの状態であったのだが、試しにBロックを解除したところミラーが下りそれ以外はほぼ良好なであったので購入して自宅に持ち帰ったのだ。その上で電池を入れてみたところ問題なくシャッターも作動させることができた。もちろんそれなりに整備は必要であったが、みなさんも時々店頭で掘り出しものがないかを探してみたり、常にネット上での販売情報などに注目してさえいれば、まだまだ程度の良い個体に出会える可能性はあるだろう。これまでOMシリーズに興味がなかった方も、まずは見た目の格好よさから手にしてみてはいかがだろうか。その上でたまたまうまく動いてくれそうなOM-2に出会えたならば、ぜひ撮影にもトライしてみてほしい。そして時には酒でも飲みながら各部を弄んでいただきたい。そんな楽しみ方もオトナならではのカメラの嗜み方だと私は思う。
■写真家:礒村浩一
広告写真撮影を中心に製品・ファッションフォト等幅広く撮影。著名人/女性ポートレート撮影も多数行う。デジタルカメラ黎明期よりカメラ・レンズレビューや撮影テクニックに関する記事をカメラ専門誌に寄稿/カメラ・レンズメーカーへ作品を提供。国境離島をはじめ日本各地を取材し写真&ルポを発表。全国にて撮影セミナーも開催。カメラグランプリ2016,2017外部選考委員・EIZO公認ColorEdge Ambassador・(公社)日本写真家協会正会員