はじめないともったいない!今年の夏は水中写真に挑戦しよう|むらいさち
はじめに
こんにちは。ゆるふわ写真家の むらいさち です。
水中からオーロラまで、明るくふんわり、ファンタジックな自然写真を中心に撮影をおこなっています。
夏といえば海! 読者の方の中には今年こそ水中写真に挑戦したいと思っている方もいると思います(と、信じています)。
今回は、水中写真とはどんな世界なのか? それをお見せしようと思います。
僕は水中を撮影するようになって20年経ちますが、全く飽きることがなく今が一番楽しいです! それほど魅力のあるフィールド。これをきっかけに、水中の世界を覗いてもらえると嬉しいです。
水中の世界ってどんな世界?
地球の7割は海です。ということは、その世界を覗かないということは、地球の3割しか見ないで人生を終わるということですよね。 それはもったいないと思いませんか?
水の中の世界は、陸上とは全く違う異世界。僕らの住む地上とは全く違う景色、生物に会うことができます。日本は海に囲まれていますから、そんな世界を気軽に見ることができるのです。異世界を覗くことは、冒険心を煽ってくれたり、癒しを与えてくれたりします。ぜひ、身近にある非日常を皆さんにも味わってほしいなと思います。
沖縄県のケラマ諸島で出会ったウミガメ。色とりどりの珊瑚に囲まれて、まるで竜宮城のようでした。海の中では僕の想像を上回ることがよく起きるのです。それが最高に楽しいです。
こちらも僕の心の故郷、ケラマ諸島で撮影したものです。水中の魅力は、異世界にいるリフレッシュ感と、大きな癒しがもらえることだと思います。
どんな機材で撮影するの?
今回はスキューバダイビングで、海の中に潜る前提でお話をさせていただこうと思います。
撮影に使用するカメラは、OM SYSTEMのOM-1です。現在僕が水中で愛用しているカメラでもあります。水中にはいくら、水に強いOM SYSTEMのカメラでもそのままでは持っていけません(笑)。水中機材メーカーから出ている、防水ケースに入れて水中に持っていきます。
そして水中ではレンズを交換することができません。
ですので、僕の場合は水中の風景を撮る広角系のレンズと、お魚などを撮影するマクロレンズをセットして2台のカメラを持って水中に入ります(プロ以外で2台持って入る人はほとんどいませんのでご安心を)。防水ケースをダイビング用語では「ハウジング」と呼びます。このハウジングは水中機材メーカーから何種類か出ています。今回は、「AOI」というメーカーのものをご紹介します。
8mmFisheyeレンズをを入れた、ワイドセットです。水中は暗くて色が水の青に染まってしまうため、水中専用のストロボが必須アイテムになります。
60mmマクロレンズを入れた、マクロセットです。こちらもストロボ2灯仕様です。光をきれいに回すには、2灯がおすすめです。
楽しいワイドの世界
水中写真は水中でレンズを変えられないため、使用するレンズが固定しているのも特徴です。海中の風景や、イルカやクジラなどの大きな生物を撮影するときに使うのが、広角系のレンズです。僕がよく使うのは、8mm Fisheyeか、7-14mm F2.8のレンズです。ワイドレンズの役割は、ただ広く撮るだけではありません。陸と違いカメラと被写体の間に水の層があります。時に、1m先しか見えない・・・なんてこともあります。そんなときにワイドレンズを使うことによって、被写体に寄れて広く写せるという利点が生きてきます。そもそも異世界の水中、陸の撮影とは考えが違うこともたくさんあります。でもそこが楽しいのですけどね。
「水中って暗くて怖い」なんてイメージありませんか? 実はこんな色鮮やかな珊瑚もあるのです。水中で見るとここまで華やかではありませんが、ストロボで光を当ててあげると、本来持っている色が再現します。「撮るまで分からない」そんなところも水中写真の楽しさです。
沖縄のケラマ諸島で撮影した、これぞ沖縄という水中写真です。
僕は珊瑚がとても好きです、珊瑚は海の元気のバロメーターだと思っています。最近では多くの場所で珊瑚が復活してきています。
これは半水面という水中写真独特の撮り方です。陸上も水中も見せたいというときに使います。撮影はサイパンで行いました。海のブルーの綺麗さはもちろんですが、陸の南国風景も写しこみたく、半水面で撮影しました。
ハマるマクロの世界
今度は、マクロレンズで撮影した世界をお見せしたいと思います。海の中には1000万種類以上の生物がいると予想されています。ちなみに陸上の生物はおよそ150万種類と言われているので、海の広さが伝わりますよね。海の中では、「これはどういう生き物?」と思うこともしばしば。30年潜っている僕でも、毎回のように新しい生物に出会ってわくわくしています。そしてその色は、陸上で生活している僕らには想像もできないものも多く、そういった「?」が多いのも海を潜って写真を撮る楽しみなのです。
では、ほんのさわりですが、水中の可愛いかったり、面白い生物をご紹介します。
まるで笑っているようなお魚、イシガキカエルウオと言います。撮っている僕は必死ですが、この顔を見ていると、自然と笑顔になっています。出会うと可愛くて思わず撮影してしまうお魚です。
この子は、ナンヨウハギというお魚です。近くに寄って撮るだけがマクロレンズではありません。臆病なお魚は近くに寄ると逃げてしまうので、ちょっと離れた場所から撮影します。そんな時に、このレンズはとても便利です。
このなんとも不思議でかわいい生き物は、ウミウシと言います。簡単に言えば、貝殻を持ってない貝の仲間です。同じウミウシでも、その色や形は様々で、海の宝石と呼ばれることもあります。発見されているだけで5000種類にのぼるそうで、このウミウシが大好きで世界中に会いに行っているダイバーも多くいます。
さいごに
水中の世界はどうでした? 今回は初めてということで、水中の世界を見たことのない方向けに、紹介させていただきました。僕らの住む陸上とは全く違う世界。この世界を覗かないなんて、とてももったいない! そしてその世界を形に残すには、カメラが必要になります。陸上に比べると用意するものは多いですが、お持ちのカメラに対応したハウジングが各メーカーより販売されています。ぜひ、興味をもったら調べてみてくださいね。
まずは始めてみたいという方に、僕の勧めは、OM SYSTEMのカメラです。軽くてコンパクト、カメラの中には水中モードが入っていて、水中での青カブリを補正してくれます。強い手振れ補正や防塵防滴に強いのも魅力です。
今年の夏はカメラを持って海に行きませんか? きっと新しい写真の世界が待っていますよ。
■写真家:むらいさち
ゆるふわ写真家。20歳のころ沖縄の座間味島に移住しダイビングガイドとして過ごす。その後写真を始めダイビングの雑誌社に入社、日本を始め世界の海へ撮影に訪れる。その後フリーランスに。現在は水中に限らず、地球全体をフィールドに、独特のゆるふわな色彩で作品を発表し続けている。2023年より沖縄県座間味村観光大使に就任。写真の勉強のためのオンラインサロン「ふんわりフォトサロン」を主宰。
2024年5月に新写真集「FantaSea」(MarineCreative)を出版。同写真展を札幌7/12-17,大阪8/30-9/5の富士フイルムフォトサロンにて開催予定。