パナソニック LUMIX S5 で気軽にムービー撮影を楽しもう|【第3回】ムービー撮影設定と iPhone でのカンタン編集!
はじめに
昨年登場したパナソニックのフルサイズミラーレス一眼カメラ「LUMIX S5」。シリーズ中もっとも小さくて軽いサイズながら、上位機種「LUMIX S1H」顔負けのムービー撮影機能を盛り込んで話題になりました。スチル撮影はもちろん、高解像度の4Kムービーから、魅惑的なスローモーションとクイックモーションなど、このカメラがあれば誰にでも楽しむことができるようになっています。その素晴らしいムービー機能に親しむビギナー向け短期連載の第3回目です。
美しいムービーを LUMIX S5 で撮影するには
フルサイズ機なのに小さくて軽く、豊富なライカLマウントレンズが使える「LUMIX S5」。スチルだけでなくムービーも美しくカンタンに撮影できます。一番ベーシックなのはモードダイヤルを「iA(インテリジェントオートモード)」にセットして「動画記録ボタン」を押して撮影する方法です。一度押すと撮影が始まり、もう一度押すと記録が止まります。このモードではカメラが自動的にシーンを判別して「人物」や「風景」など被写体に合った最適な仕上がりになります。とても楽チンなのですが、だんだんと撮り慣れてくるともっと自分なりに撮影したくなってくるはずです。そうなったらモードダイヤルを「ムービーカメラのアイコンとM」で構成された「クリエイティブ動画モード」にセットしてみましょう。
そしてメニューに入って「動画メニュー」を見てください。その中にある「動画露出設定」内に、写真撮影で慣れ親しんだ「P(プログラム)」「A(絞り優先オート)」「S(シャッター優先オート)」「M(マニュアル)」の文字を発見できるでしょう。例えば「A(絞り優先オート)」を選べば自分なりに絞りを設定して、ボケをコントロールしたムービー撮影が可能になります。
オススメは「M(マニュアル)」です。ムービーは基本的に30コマ/秒なのでシャッタースピードを1/30秒~1/60秒に設定することが一般的。ですのでシャッタースピードを1/60秒、絞りを好きな値にセットし、「露出自動制御」を設定して撮影するのです。いわゆる「ISO感度オート」撮影というイメージですね。こちらはデフォルトで「ON」になっているので、「もう少し明るく」とか「もっと暗く」という場合は「露出補正」を適用して好みの明るさになるようにしましょう。
「LUMIX S5」を使うのなら、やはり高精細でリッチな描写の「4Kムービー」を撮影したいですよね。そこで再びメニューから「動画画質」→「4K/10bit/72Mbps/30P」を選択してみましょう。このモードを選べば「3840 x 2160」ピクセルで10bitというリッチな4Kムービーが撮影できます。メディアカードスロットには高速で大容量なSDカードを挿入しておくといいでしょう。撮影データはかなり大きなものになるからです。また記録ファイルは編集しやすい「MOV」形式推奨です。ホワイトバランスはオートの「AWB」にセットします。数多くの「フォトスタイル」を備えるこのカメラですが、オススメは「シネライク V2」です。シネマチックな色合いが魅力ですよ。
次はオートフォーカスです。「LUMIX S5」は大変優秀なオートフォーカスシステムを備えています。今回撮影したスナップ的なムービーの場合、カメラ任せで問題ないと言えます。設定としては連続的にピントを合わせる「AF連続動作」、オートフォーカスエリアは被写体によって「AFモード」で「自動認識(顔・瞳・人体・動物)」や「225点」、「1点」などをチョイスしましょう。
あとはバッテリーです。ムービー撮影はかなり電力を消費しますので、予備バッテリーを用意したり、モバイルバッテリーで充電できるように準備することが大切です。スマートフォンとも共用できるので、大容量のものを携行したいものですね。
脱着できるストラップが便利
ムービーを撮影する場合、「befree live カーボンT三脚ビデオ雲台キット」などのビデオ三脚や、「Zhiyun Weebill S」など電動ジンバルに「LUMIX S5」を搭載するケースが増えてきます。撮影にパンやティルトなどの動きをする場合や、ジンバルの動作時にカメラのストラップが障害になるケースがあります。そこでカンタンに脱着できるストラップを「LUMIX S5」に装着することをオススメします。今回のようなブラブラ手持ち撮影時には肩や首から提げることも可能ですし、上記のような撮影ケースの場合にパッと瞬時にストラップを外してスムーズに臨戦態勢に入ることが可能です。代表的な製品は「ピークデザイン LEASH」などがあります。とても便利なのでオススメです。
撮影のコツ
今回は「LUMIX S5」に「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」を装着して、神奈川県の横浜港周辺をブラブラと撮影しました。カメラの設定は上記のとおりで、手持ち撮影を敢行。撮影したムービーを編集して使用するので、ひとつひとつのムービーは最低でも10秒間記録するようにしました。また横にカメラを振る「パン」動作などの場合に、動かす前と後に約3秒ほど静止した場面を撮影しました。編集して繋げた場合に画面遷移の効果をかけるのですが「のりしろ」的な部分が必要なためです。
あとはレンズのワイド端とテレ端をまんべんなく使用して、変化のあるムービーを揃えることを心がけました。また交換レンズを共用できるLマウントアライアンスに参加している「シグマ」のレンズも使用して、ムービーにバリエーションがでるように配慮し、楽しんでいろいろなものにレンズを向けるようにしています。いろいろと撮影してみましょう!
iPhone で撮影したムービーを編集してみよう
さてはじめての4Kムービー撮影はいかがでしたでしょうか?ここからはスマートフォンを使っての編集作業になります。使用する端末はアップルの「iPhone 12 Pro Max」です。詳細は過去記事をご参照ください。またキタムラのiPhone取扱い店舗では実機を試すことが可能なので、気になることがあったらお店のスタッフに尋ねてみるといいでしょう。
「Panasonic LUMIX Sync」はとっても便利
まずは「LUMIX S5」から撮影したムービーデータを「iPhone 12 Pro Max」にコピーする必要があります。カードリーダーを使うこともできますが、パナソニックが無料で配布しているアプリ「Panasonic LUMIX Sync」を使うと、ワイヤレスで手軽にデータを端末に移すことができます。iPhoneからリモート撮影などもでき、とても便利なアプリなので是非ダウンロードしてみて下さい。
さて指示に従って「Panasonic LUMIX Sync」と「iPhone 12 Pro Max」をワイヤレスで接続したら撮影したムービーデータを選択してコピーしましょう。
「画像取り込み」から使いたいムービーを選択して、画面下部にあるスマホアイコンをタップすれば「iPhone」にコピーが始まります。4Kムービーはとてもデータサイズが大きいので少しの間待つ必要があるかもしれません。
「iMovie」でラクラク編集
無事に撮影したムービーデータをコピーできたら「iMovie」をタップしましょう。これはアップル純正のムービー編集アプリで、パソコンの「Mac」版も存在します。どちらも無料です。もしアプリを削除してしまった場合は「App Store」からダウンロードしましょう。
「iMovie」を立ち上げると「プロジェクト」を作る画面になります。「+」をタップして次に進みましょう。そして「新規プロジェクト」→「ムービー」を選びます。
すると制作に必要なムービーを選択する画面になるので、使用したいものをタップして選びます。
編集画面に切り替わり、選択したムービーが編集画面の「タイムライン」並んでいる状態になります。
この状態でのムービーを確認してみましょう。「LUMIX S5」とiPhoneだけでこんな風にカンタンにムービーが作れてしまうのです。すごいと思いませんか?
さてここからは上で確認したムービーをもっとよくするために手を入れていきます。「iMovie」は横画面でも使うことができるので、もしタイムラインを横長に見たい場合は「画面縦向きのロック」を解除して横位置にしてみましょう。
タイムラインには選んだ順にムービーが並んでいます。その長さを調節するにはムービーを指先でタップして選択し、ムービーの左右端部分をドラッグすることで好きな長さに変えることが可能です。またプレスしたままドラッグすると、ムービーの順序を入れ替えることができます。自分の好きなように構成を変えてみるのがオススメです。始まりから終わりまでチェックして、ムービーの長さと順序を納得いくまで編集します。
ムービーを選択した状態で画面下部にあるスピーカーアイコンをタップすると、音量を調整できるスライダーが現れます。これを左右に動かすことにより、選択したムービーの音量をコントロールできます。
選択したまま一番右側にある円が3つ重なったアイコンをタップするとフィルター効果のメニューが登場します。サムネイルを選ぶことによって好きなフィルターをかけることができるのです。実にカンタンに劇的な変化をムービーにつけられます。これには驚きです。スライダーを動かすことによって効果の強弱をつけられますよ。
先ほど確認したムービーですが少しスローにしたい部分があったので、時計アイコンをクリックして、スライダーを「カメ」方向に動かし、ややゆっくりとした動きに変更しました。もし速度を速めたい場合は「ウサギ」方向に動かすとクイックモーションになります。このように動きのテンポも「iMovie」は瞬時に変更可能です。
ムービーとムービーの間の画面切り替えの効果を「トランジション」と呼びますが、この効果も変更することができます。境界を選択してから下から望みの効果を選ぶだけです。効果の持続する時間も4種類から選べます。雰囲気にあったものを当ててみましょう。
次に文字要素です。文字を入れ込みたい部分で画面下の「T」をクリックしてテキスト入力をします。文字の出現方法もアニメーションで確認できるので、好みのものを選んでタイトルを入力します。フォントやカラーもチョイス可能です。「END」の文字も入れてみましょう。
最後に音楽です。BGMをつける場合はタイムラインで「+」アイコンをタップしましょう。するとメニューが出るので「オーディオ」を選択。「サウンドトラック」と進み、ムービーにあった音楽を選びましょう。BGMが入ればこれで完成です!
全てが終了したら「完了」をクリックします。いよいよ仕上げの書き出しです。下部中央のアイコンをタップして「ビデオを保存」を選ぶと書き出しが始まります。終了すると「カメラロール」内にムービーがあるはずです。タップしてじっくりと鑑賞してみましょう。もしここで気にならない部分があれば「iMovie」に戻って編集しなおせばOKです。満足のいく出来でしたらYouTubeなどにアップして世界中の人に見てもらうことも可能ですよ。
まとめ
このように「LUMIX S5」とiPhoneがあればカンタン且つ楽しく4Kムービーの撮影と編集が可能です。軽量コンパクトな「LUMIX S5」で撮影を楽しみ、帰りの電車内でiPhoneを使ってサクサク編集し、5G回線を使ってすぐさま4Kムービーを世界の人たちに発信することができるのです。パナソニック「LUMIX S5」のことはもちろん、「iPhone」シリーズについてもカメラのキタムラは精通したスタッフが揃っています。どちらも購入することができるので、気になることがあったら問合せることができるのが心強いですね。
さて次回は「LUMIX S5」を使ったシネマチックRAWムービーの撮影と編集方法をお届けしたいと思います。お楽しみに!
~ 「パナソニック LUMIX S5 で気軽にムービー撮影を楽しもう」の連載はこちらからご覧頂けます ~
【第1回】スチルだけでなくムービーも簡単!
【第2回】ムービー三脚と電動ジンバルを使ってムービー撮影
【第4回】シネマティックムービーに挑戦しよう!
■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナーなどで活躍中。有限会社サスラウ 代表。