ペンタックス HD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AW レビュー|超広角をカバーする新世代スターレンズ
はじめに
ペンタックスの11mm~18mm(35ミリ判換算焦点距離17mm~27.5mm相当)という超広角ズームレンズ「HD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AW」。過酷な環境下での動作保証や、画面隅々まで高い描写力を誇るこの1本を「PENTAX K-3 Mark III」に装着して試しました。「新世代のスターレンズ」の名に相応しい極上の写りを堪能できましたよ。
HD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AWの特徴
「新世代のスターレンズ」を標榜するこのレンズは、ズーム全域でF2.8という明るさを達成しながら、ずば抜けた解像力と高いコントラスト、そして周辺の像が流れにくいという高い描写性能を誇ります。その光学系は、特殊低分散(ED)ガラス使用レンズを2枚、非球面レンズ2枚に加え、特殊低分散(ED)ガラス非球面レンズを1枚採用しています。さまざまな収差を効果的に抑制しながらも、最小のレンズ枚数構成で携行しやすい軽量コンパクトさを実現しているのです。
明るい超広角ズームレンズということで、この1本は星景撮影に使われることが想像できます。暗く冷え込むその現場で威力を発揮するさまざまな機能を「HD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AW」は備えています。まずは防塵・防滴構造「AW(All Weather)」仕様でしょう。レンズ内に水滴やホコリなどが入りにくい構造にすることによって安心して撮影に臨めるようになっています。さらに、-10℃~40℃での動作保証や堅牢性の高いレンズ鏡筒によって、撮影フィールドを選ぶことなく過酷な現場へ赴くことができるでしょう。
そして「フォーカスクランプ機構」をオンにすれば不意にピントリングに触れてもフォーカスが移動しないので、暗闇でせっかく合わせたピントを台無しにしなくて済みます。また、結露防止のためレンズヒーターを装着しやすい形状の鏡筒になっているのもうれしいですね。このレンズは高い描写力と優れた使い勝手を両立した「新世代のスターレンズ」になっていると言えます。
ブラブラ実写スナップ!
このレンズ「HD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AW」はその広大な画角を活かしたスナップや風景撮影にも向いています。F2.8という明るさと、画面の周辺部までしっかりと像を描ききってくれる魅力的なレンズになっています。今回は「PENTAX K-3 Mark III」に装着してその写りを味わいました。
ワイド端の11mm(35ミリ判換算17mm相当)でのカットです。広大なダム湖をスッポリと飲み込むワイドな画角は魅力的ですね。風景だけでなく建築撮影でも役に立つことでしょう。周辺部に写る木々の解像感が高いですね。
上と同じ場所からテレ端の18mm(35ミリ判換算27.5mm相当)でのカットです。ズームレンズはフォトグラファーの立ち位置を変えられない現場でとても重宝しますね。星景撮影や山岳撮影など場所がピンポイントの場合に威力バツグンです。
古民家でのカットです。このレンズはその佇まいを克明に写しだしてくれました。急須や畳のディテール、そして微妙な色合いをワイド感とあわせてキャプチャーできました。
ワイド端11mm(35ミリ判換算17mm相当)は痛快です。ダムの上から足元はおろか、遠くの山まで丸々とフレームに飲み込むことができました。川面で渦巻く泡までしっかりと解像しているのがスゴいですね。
優れた光学設計によって、画面の四隅まで像が流れず確実にキャプチャーできるのが「新世代のスターレンズ」の証しですね。湖上でバス釣りをする人が乗っているボートの表示までしっかりと判別できます。ヌケ感もいいですね。
湖に架かる橋を撮りましたが、ワイド端でも直線をしっかりと真っ直ぐに描いています。建築物や室内の撮影でも正確な描写が期待できるレンズになっています。
湖を見下ろす展望台でのカットですが、超広角かつ優れた描写とで自然な写りになっています。湖面のきらめきから木々の葉、カーテンのひだまで安定の写りはさすがだと言えるでしょう。
11mmという画角は実に楽しいですね。大きな対象物と小さなワンポイントを対比させて絵作りするとダイナミックな写真になります。工事中の勝鬨橋と道行く自転車をフレームに閉じ込めて「PENTAX K-3 Mark III」のシャッターを切りました。
このカットも同様です。手前に橋げたを入れて遠景にビル群を入れてみました。アイディア次第で迫力ある写真が楽しめるのが「HD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AW」ですね。
ズーム全域でF2.8と明るいのもこのレンズの特徴です。光量が乏しい環境での撮影はもちろん、ググッと被写体に接近して絞りを開いて、ボケを演出した撮影も楽しめます。このカットでは中央にあるメーターにフォーカスして、F2.8絞り開放で手前を大きくぼかしてみました。意図に沿った多彩な表現ができるレンズなので頼もしいですね。
HD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AWの主要諸元
焦点距離:11-18mm 35ミリ判換算値 17-27.5mm相当
(ペンタックス APS-Cサイズ一眼レフカメラ装着時)
開放絞り:F2.8
最小絞り:F22
レンズ構成:11群16枚
画角(対角):104-76°
(ペンタックス APS-Cサイズ一眼レフカメラ装着時)
マウントタイプ:KAF3
最短撮影距離:0.3m
最大撮影倍率:0.10倍
フィルター径:82mm
光量調節方式:完全自動絞り
絞り羽根枚数:9枚 円形絞り (11mm:F2.8-4.5 18mm:F2.8-5.0)
レンズフード:PH-RBF82 (付属)
レンズキャップ:O-LC82 (付属)
レンズケース:S120-150 (付属)
最大径x長さ:約90mm x 約100mm
質量(重さ):約 704g (フード付:約739g)
使用温度:-10~40℃
使用湿度:85%以下(結露しないこと)
同梱アクセサリー:レンズフード PH-RBF82、レンズキャップ O-LC82、レンズマウントキャップK、レンズケース S120-150
その他:HDコーティング
SP(Super Protect)コーティング
AW(防塵・防滴構造)
クイックシフト・フォーカス・システム (QFS/M)
DC(DCモーター)
フォーカスクランプ機能
まとめ
このレンズはズーム全域で明るく、画面中心部はもちろんのこと周辺部まで像が流れず、過酷な環境下での撮影もこなす素晴らしい超広角ズームレンズだと言えるでしょう。使いやすいサイズ感といい、撮影者目線のさまざまな使い勝手の良さは、あらゆるシーンで活躍するに違いありません。星景はもちろん、風景からスナップ、建築物の撮影まで大いに役立つレンズになっていました。
■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなどで活躍中。さまざまな企業のイメージ撮影や、ポートレート撮影、公式インスタグラムの撮影などを多く手がける。スマートフォン撮影のパイオニアとしても活動中。