ペンタックス smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR|旅にふさわしい高倍率ズームレンズ
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はじめに
様々な標準ズームレンズを取り揃えているペンタックスのレンズの中でも、「便利ズーム」として人気の高いsmc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WRは、2010年に発売され長きにわたり愛されているレンズのひとつです。
今まで高倍率ズームレンズを使用してこなかった私自身も、最新のイメージセンサーと画像処理エンジンを搭載したPENTAX K-3 Mark IIIでどんな写りをするのか気になり、実際に撮影してみることにしました。
smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WRの特徴
smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR は、35ミリ換算で広角27.5mmから望遠207mmの焦点距離に相当する7.5倍の高倍率ズームレンズです。常用レンズとしてとても使いやすい画角をカバーし、手に入れやすい価格帯も大きな魅力になっています。
K-3 Mark IIIとの組み合わせは、非常に重量バランスが取れていて安定しています。レンズの質量は約405g。レンズ鏡筒が伸縮する構造を採用し、高倍率と小型軽量化を両立。常用レンズとしての使いやすさと機動力を備えています。
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フードを収納すれば、旅でも携行しやすいサイズになる
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ピントリングはボディ側に配置されています
インナーフォーカスによるAFはスムーズ。簡易防滴構造を採用していて、急な雨天や霧の中、水滴がかかる場所などでの耐久性もあり、シーンを問わず撮影に臨めます。
ズーム全域で最短撮影距離40cmというのも魅力で、望遠端で被写体に近寄れば、花や昆虫などの小さなものを簡易マクロ的な撮影も可能です。
K-3 Mark IIIの機能と合わせて引き出される画質
これまでPENTAXのボディには、ほとんど単焦点レンズしか使用してこなかった私が、「ズームレンズを使ってみようか」と思えたのも、ボディが進化した今だからこそ。現行機種のK-3 Mark IIIでは、解像力を最大限に引き出す裏面照射型のイメージセンサー(有効画素数:約2573万画素)、画像処理エンジンはPRIME VとアクセラレーターユニットIIによる超高感度・高画質を実現しており、その描写力の高さに信頼を寄せているからです。
このレンズは、解像性能に優れているとはい難いものの、ボディ側の機能を活用し、ディストーション補正で広角側の歪曲収差を補正、明瞭度を「+」に調整、カスタムイメージの中ではファインシャープネスを効かせ画質にメリハリを加えることで画質の向上につなげることができます。
日常に寄り添う扱いやすい焦点距離
高倍率ズームレンズは、まず近所に散歩に出かけて自分がいつも撮影している被写体との距離感をつかむことからはじめます。撮影していく中で、ちょうど良い距離と画角がつかめると、旅先でもどのくらいの焦点距離で切り取ればいいか判断できるようになります。
私にとって欠かせないのは、狭い場所での撮影や、ダイナミックに表現したい時の広角端18mm。また、自ら近づくことのできない場所や、圧縮効果で狙う切り取り、ボケを活かした撮影では中望遠~望遠が大いに活躍してくれます。日常や旅でとても扱いやすい焦点距離です。
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■撮影環境:SS1/250秒 絞りF4.5 ISO800 -0.7EV WB日陰
■カスタムイメージ:里び
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■撮影環境:SS1/2000秒 絞りF13 ISO1600 -1.0EV WB太陽光
■カスタムイメージ:リバーサルフィルム
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■撮影環境:SS1/2000秒 絞りF13 ISO1600 ±0EV WB日陰
■カスタムイメージ:リバーサルフィルム
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■撮影環境:SS1/40秒 絞りF6.3 ISO400 -1.7EV WB曇天
■カスタムイメージ:人物
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■撮影環境:SS1/1600秒 絞りF8 ISO1600 -0.3EV WB太陽光
■カスタムイメージ:リバーサルフィルム
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■撮影環境:SS1/160秒 絞りF5.6 ISO640 -0.3EV WB太陽光
■カスタムイメージ:雅
K-3 Mark IIIで描かれる素直で優しいリアルな描写
カスタムイメージは様々なシーンに合わせて変更しています。高精細な中にも柔らかさを感じるペンタックスのカスタムイメージの描写は、発色も良く、優しい雰囲気の中にリアルさがあり、とても気に入っています。このレンズでの撮影は、解像しすぎないという点がかえってメリットになっている感じを受けました。
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■撮影環境:SS1/250秒 絞り5.6 ISO3200 +0.3EV WB曇天
■カスタムイメージ:里び
この白の階調と立体感。自然な美しさを感じ、私が評価している点です。質感の再現性がとても高く、お皿の白さにも、クリームの白さにもリアリティを感じられ、奥行を感じる写りが見事です。発色やコントラストも良好で、全体的に満足度の高い画に仕上げることができます。
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■撮影環境:SS1/500秒 絞りF4.0 ISO3200 +0.3EV WBマルチパターンオート
■カスタムイメージ:人物
旅気分で街歩き|神楽坂をスナップ
かつては東京屈指の繁華街であり、花街として栄えた神楽坂を旅気分で歩いてきました。車が通ることができず、人がすれ違うのもやっと。という路地が多い神楽坂を撮り歩いていると、目の前に様々な被写体が飛び込んできます。
焦点距離を都度変えながらの撮影になり、単焦点レンズであればレンズ交換するか、縦構図など別の切り取り方でしのぐということになりますが、しっかり見せたいところまで切り取れる広角端18mmに助けられます。あれこれと出合う被写体に合わせ、焦点距離を変更できるズームレンズならではの利点を活かした撮影は快適です。
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■撮影環境:SS1/200秒 絞りF4 ISO800 ±0EV WB曇天
■カスタムイメージ:里び
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■撮影環境:SS1/320秒 絞りF4.5 ISO8000 -0.7EV WB曇天
■カスタムイメージ:里び
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■撮影環境:SS1/50秒 絞りF5.6 ISO800 -0.7EV WB太陽光
■カスタムイメージ:里び
ビストロなどの「小レストラン」「小カフェ」「居酒屋」など隠れ家的な名店が多いのも神楽坂の特徴
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■撮影環境:SS1/100秒 絞りF5.0 ISO1250 -1.0EV WB曇天
■カスタムイメージ:ナチュラル
芸者屋の取締りなどをする事務所「見番」があった通り。神楽坂がかつて花街だったことを示します
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■撮影環境:SS1/60秒 絞りF5.0 ISO2000 -1.7EV WB曇天
■カスタムイメージ:人物
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■撮影環境:SS1/100秒 絞りF4.5 ISO3200 -1.3EV WB太陽光
■カスタムイメージ:里び
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■撮影環境:SS1/40秒 絞りF5.0 ISO1250 -1.0EV WB曇天
■カスタムイメージ:里び
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■撮影環境:SS1/40秒 絞りF5.0 ISO2500 -1.0EV WB曇天
■カスタムイメージ:人物
日が沈む頃から花街の面影を残す横丁には明かりが灯り、夜にはどこか秘めた大人の雰囲気が漂います。高感度ISO撮影でもノイズを感じることはなく、しっかりと雰囲気を捉えて写し出してくれました。
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■撮影環境:SS1/100秒 絞りF5.0 ISO320 -1.7EV WB曇天
■カスタムイメージ:人物
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■撮影環境:SS1/400秒 絞りF4.5 ISO1600 -1.0EV WBマルチパターンオート
■カスタムイメージ:人物
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■撮影環境:SS1/40秒 絞りF4.5 ISO1600 -1.0EV WB曇天
■カスタムイメージ:里び
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■撮影環境:SS1/15秒 絞りF4.5 ISO3200 -0.3EV WB太陽光
■カスタムイメージ:リバーサルフィルム
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■撮影環境:SS1/6秒 絞りF4.5 ISO1600 -1.0EV WB太陽光
■カスタムイメージ:里び
おわりに
「高倍率ズームレンズって使わないかも」と思っていた自分でも驚くほど、普段あまり出番のない望遠側も活かすことができ、撮影環境や被写体の変化によるズームの快適さ、高画質に撮れる嬉しさを改めて感じました。コンパクト・軽量であり、一本携帯しておくととても便利で、「旅に出かけたくなる」そんな気持ちにさせてくれます。このレンズと、お気に入りの単焦点レンズが1本あれば、旅写真も充実しそうです。
■写真家:こばやしかをる
デジタル写真の黎明期よりプリントデータを製作する現場で写真を学ぶ。スマホ~一眼レフまで幅広く指導。プロデューサー、ディレクター、アドバイザーとして企業とのコラボ企画・運営を手がけるなど写真を通じて活躍するクリエイターでもあり、ライターとしても活動中。