モノクロのススメ vol.7「ソフトなセピアでノスタルジック散歩」|佐々木啓太

佐々木啓太
モノクロのススメ vol.7「ソフトなセピアでノスタルジック散歩」|佐々木啓太

はじめに

モノクロのススメ vol.7はセピアの話です。フィルム時代は銀粒子の変質を防ぐために調色をすることがありました。その中でよく使われたのがセピア調色で、今回はそんなセピア調色のような世界を楽しみました。

使用するカメラとレンズ

カメラ:PENTAX K-3 Mark III Monochrome
レンズ:HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited

プラス BlackMist No.1でソフトに

今回はレンズの前につけるソフトフォーカスフィルター(光学フィルター)を使って撮影しています。これはセピアの色合いから感じるノスタルジックな雰囲気を強調するためです。レンズの前にソフトフォーカスフィルターをつけると光のにじみが強くなるので、優しい感じでノスタルジックな雰囲気が上がります。

■絞り優先オート F2.8 露出補正 -0.3EV ISO感度 AUTO カスタムイメージ:ソフト
光がにじんだ感じになっているのがBlackMist No.1の効果です。カスタムイメージもソフトで全体的に優しい雰囲気を意識しました。
■絞り優先オート F2.8 露出補正 +0.3EV ISO感度 AUTO カスタムイメージ:ソフト
今回は雰囲気重視なので、構図の傾きもご愛嬌としてください。と、いいつつ、奥の人物のタイミングは意識しています。画面の中に強い光がなければにじみは弱くなります。
■絞り優先オート F2.8 露出補正 +0.3EV ISO感度 AUTO カスタムイメージ:ソフト
この組み合わせは趣を感じる街角で使うと一段と効果的です。ボケの印象が強くなっているのは、近くの被写体にピントを合わせて、ボカしている背景との距離の差を大きくしているからで、光のにじみが入るとボケの印象はさらに強くなります。

この雰囲気を楽しむためには、今回使った光学のソフトフォーカスフィルターが効果的です。BlackMist No.1は暗部の締まりを残したまま光のにじみが出るので、モノクロにも向いているソフトフォーカスフィルターです。

ちょっとアンダー気味や夜景でも活躍

ソフトフォーカスフィルターにあった光のにじみを使うときは、それがよりフワッとなるオーバー気味の露出がオススメですが、たまに少しアンダー気味にすると変化がつきます。アンダーにすると暗部の締まりが良いBlackMist No.1の特徴も活きます。

■絞り優先オート F2.8 露出補正 -1.0EV ISO感度 AUTO カスタムイメージ:ソフト
引き締まった中に優しさを感じるのがアンダー気味で使う良さで、フィルターの効果でデジタル的な強さは弱まります。
■絞り優先オート F2.8 露出補正 -0.3EV ISO感度 AUTO カスタムイメージ:ソフト
アンダー気味にするとさらに落ち着いたしっとりさが出るので、懐かしい時代を感じさせてくれる雰囲気が上がります。撮影したのはつい先日です。
■絞り優先オート F2.8 露出補正 -1.0EV ISO感度 AUTO カスタムイメージ:ソフト
夕暮れ時の風景もしっとりさが出ます。このしっとり感を出すためには、撮影時は真っ黒に感じるぐらいの空と街の明かりの差が少ない条件があっています。
■絞り優先オート F2.8 露出補正 -1.0EV ISO感度 AUTO カスタムイメージ:ソフト
すっかり日が暮れてから街灯と道路の様子を撮影しました。道路に車が走っている方が雰囲気的にも良いのでそんなタイミングを狙いました。撮影はあくまで歩道から、車が近づいたら少し後ろに下がるぐらいの余裕で撮影してください。

夜景の撮影では街灯の光のにじみが少し強いですが、昼間の街中ではこの強さが効果を発揮します。光のにじみの強さが気になるときは、今回使ったBlackMist No.1より少し効果が弱いBlackMist No.05もありますが、私は昼間の雰囲気を優先してBlackMist No.1を愛用しています。

曇天でも活躍

趣のある街や懐かしいものだけでなく、いつもの街でも活躍してくれるのがこのイメージの良いところです。特に光が弱い曇天のときに試してください。光の弱い曇天は光と影の印象が弱くなるので、雰囲気で表現するのにあっています。

■絞り優先オート F2.8 露出補正 -0.3EV ISO感度 AUTO カスタムイメージ:ソフト
曇天の雲はその表情が狙い目なので少しアンダー露出にしました。アンダー露出にすると目で見ているときより雲の印象は格段に上がります。
■絞り優先オート F2.8 露出補正 -0.3EV ISO感度 AUTO カスタムイメージ:ソフト
ビルの入り口にあったオブジェ。光が弱く特別な印象はありませんでしたが、そんなところを撮ることが次の気づきにつながります。
■絞り優先オート F2.8 露出補正 +0.3EV ISO感度 AUTO カスタムイメージ:ソフト
曇天でも影を組み合わせるとメリハリがでます。暗い場所と明るい場所が混在する条件では露出補正に悩むことが多いと思いますが、露出を決める基準はどこを狙うかです。このときは雲間の薄い光を強調したかったので、少しだけオーバー露出にしました。

まとめ

この連載はちょっと小難しい話が続いていますが、大切なのはたくさん撮ることです。たくさん撮るうちに光も感じやすくなります。今回のような雰囲気重視も試しながら、モノクロ写真を楽しんでください。

モノクロ撮影でのフォトウォーク開催のお知らせ

カメラのキタムラ写真教室で「モノクロ街角写真グループ」がはじまります。まずはフォトウォークを通じて佐々木啓太と一緒に実践でモノクロ写真に必要な光を得るためのアングルを体験してください。


12月7日(土)モノクロ街角写真グループ 代官山
https://www.npopcc.jp/classroom/detail/?id=7298&category_id=15

 

 

■写真家:佐々木啓太
1969年兵庫県生まれ。写真専門学校を卒業後、貸スタジオ勤務、写真家のアシスタント生活を経て独立。街角・森角(モリカド)・故郷(ふるさと)というテーマを元に作品制作を続けながら、「写真はモノクロ・オリジナルはプリント」というフィルム時代からの持論を貫いている。八乃塾とweb八乃塾を主宰しフォトウォークなども行い写真の学びを広めている。

 

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