カメラとレンズ限定のPENTAXスペシャルカスタムイメージ「冬野(FUYUNO)」はいい感じ!
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はじめに
すっかりおなじみとなったPENTAXのカスタムイメージ Special Edition。四季に応じて4種類がリリースされることになっていますが、今までに夏バージョンの「夏天(KATEN)」、秋バージョンの「九秋(KYUSHU)」が登場しています。
そして先日、冬バージョンの「冬野(FUYUNO)」が公開されました。「冬の冷たい空気感を表現する色彩と、シャープでハイキーな画づくり」になっているということでさっそく試してみました。
「冬野(FUYUNO)」ってどんな感じ?
好評を博しているPENTAXのスペシャルカスタムイメージですが、対象となるカメラとレンズを限定しての機能となります。今回はこのようになっています。
「冬野(FUYUNO)」:対象カメラ・パートナーレンズ
PENTAX K-1 / K-1 Mark II
PENTAX K-3 Mark III
PENTAX KF
HD PENTAX-FA 31mmF1.8 Limited
HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited
上記のカメラとレンズを組み合わせた場合のみ、カスタムイメージ設定に「冬野(FUYUNO)」が現れて選択、撮影ができるようになります。うれしいのは最新のデジタル一眼レフカメラ「PENTAX KF」が含まれているところでしょう。ペンタックスのリリースによると、春~冬まですべてのカスタムイメージ Special EditionがPENTAX KFで使えるようです。
ちなみに夏と秋にリリースされた「夏天(KATEN)」と「九秋(KYUSHU)」については下記記事をご覧ください。どちらも素晴らしいイメージを提供してくれるカスタムイメージになっていますよ。
さて今回の「冬野(FUYUNO)」ですが、ペンタックスのカスタムイメージ解説ページによるとこのように書かれています。
「冬野(FUYUNO)」は「鮮やか」に比べ彩度を抑え、クリアな画作りを意識することで、冬の凍てつく空気感を表現しています。彩度を抑えつつも、赤みがかった茶色や、少し青みがかった白を意識した画作りで「ほのか」や「里び(SATOBI)」とも異なる色表現が得られます。
それでは絵作りを見てみましょう。寺社の屋根部分を撮ったカットですが、上から順に「冬野(FUYUNO)」、「鮮やか」、「ほのか」、「里び(SATOBI)」となっています。
▼冬野(FUYUNO)
冬らしいハイライトの冷たさが伝わってきます。低めのトーンで静謐かつ厳かな雰囲気さえ感じられます。
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▼鮮やか
豊かな発色とコントラストでまさに鮮やか、という感じ。爽快なイメージを演出できます。
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▼ほのか
フラットなトーンでやさしく明るい描写になっています。それでいてヌケ感も味わえる絵作りです。
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▼里び
くすんだちょっとノスタルジックな色合いです。色褪せてはいますが重厚感も残した独特の雰囲気ですね。
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このように「冬野(FUYUNO)」は文字どおり、寒いこの時期の空気感や凛とした光線状態を表現するのにピッタリなスペシャルカスタムイメージになっていると言えます。雪景色はもちろん、都会での朝のシーン、ひとけのない里山、凍てつく寒さの川べりなどさまざまなシチュエーションで活躍するスペシャルカスタムイメージになっていると感じました。PENTAXファンならばぜひ試したいモードではないでしょうか。
なおカスタムイメージについてはリコーイメージング公式サイトにも詳しく掲載されています。一度参考にしてみてください。
このカメラとレンズ限定のスペシャルカスタムイメージは素晴らしい試みなので、次回の春バージョンも今から楽しみになってきますね。
春バージョンの対象カメラ・パートナーレンズは下記のようになっています。今から準備したいものです。
春:対象カメラ・パートナーレンズ
PENTAX K-1 /K-1 Mark II
PENTAX K-3 Mark III
PENTAX KF
HD PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited
HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR
カスタムイメージSpecial Edition「冬野(FUYUNO)」を試す
今回はパートナーレンズ「HD PENTAX-FA 31mmF1.8 Limited」を「PENTAX K-3 Mark III」と「PENTAX KF」に装着して、冬の街をブラブラと撮影してきました。静かでヒンヤリとしたイメージをキャプチャーすることができました。
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■撮影環境:F2.8 1/160秒 ISO100
誰もいない都市公園。この日は薄曇りで風はないものの底冷えがする環境でした。その感じをスペシャルカスタムイメージ「冬野(FUYUNO)」はきちんと表現してくれました。落ち着いたトーンと寒々しいハイライト部の描写が気に入りました。
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■撮影環境:F2.8 1/160秒 ISO100
公園内のコースを一人のランナーが走っていきます。その後ろ姿を狙いました。クリアなヌケ感は両脇に積もった枯れ葉たちをしっかりと描き出し、孤独な走者を引き立たせてくれました。
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■撮影環境:F2.8 1/80秒 ISO200
とある祠にググッと寄って撮影しました。曇天プラス日陰というシチュエーションでしたが、クリアでハイライトが立った絵作りは冬の寒さを感じさせてくれます。里山の静けさが伝わってくるようです。
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■撮影環境:F2.8 1/500秒 ISO100
「きけん立入禁止」のテープ。ちょうど土の斜面が崩れかかっていて歩行者に注意を喚起するものでしたが、色褪せてはいたもののその毒々しい色合いを「冬野(FUYUNO)」は低いトーンで写しとりました。冷静な視線を表現するのにマッチしました。
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■撮影環境:F8 1/160秒 ISO100
東京都庁本庁舎をあおり気味に「PENTAX KF」のシャッターを切りました。低いカラーとトーンは冬の気温と冷え込む世相をこの建物に投影するかのように描き出しました。底冷えする風が2つそびえる展望台の間を音を立てて吹き抜けていきます。
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■撮影環境:F4.5 1/250秒 ISO100
日射しが差し込む美術館内です。外は震えるほどの気温ですが、大きなガラスエリアの館内はまるで温室のように暖かでした。「冬野(FUYUNO)」はそんなシーンでも差し込む光を寒々しく演出してくれます。ハイライト部の立った様子がとても魅力的な描写ですね。ステキな冬の光景になりました。
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■撮影環境:F5 1/250秒 ISO100
立ち枯れた木が林立する野池です。池の水は凍ってこそいませんでしたが、相当な冷たさのように見えました。そんな風景も「冬野(FUYUNO)」は彩度を抑えつつ絶妙なバランスで緑を表現してくれます。クリアなハイライト部が冷えた空気を感じさせてくれますね。
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■撮影環境:F8 1/500秒 ISO200
多摩川の堰を「PENTAX K-3 Mark III」で撮りました。冷たい川の水が飛沫をあげながら落下していきます。渋めのハイライト部がキラリと光り、鈍い色合いのシャドウ部との対比とで落ち着いたトーンの写真になりました。日常的な一瞬でも「冬野(FUYUNO)」はドラマティックな光景に変えてくれます。対象のカメラとレンズを持っている人にはぜひ試していただきたいスペシャルカスタムイメージになっていると思います。
まとめ
第3弾となるカメラとレンズ限定のスペシャルカスタムイメージ「冬野(FUYUNO)」ですが、今の寒い季節の撮影を楽しくしてくれるモードだと感じました。今回は雪のシーンが撮影できませんでしたが、きっと白い雪をさらに美しく冷たいものに表現してくれることでしょう。もちろん日常的なシーンでも冬ならではの撮影が楽しめることはいうまでもありません。パートナーカメラとレンズがあれば春バージョン登場まで、ステキな冬のシーンを数多く撮影できそうですね。
■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなどで活躍中。さまざまな企業のイメージ撮影や、ポートレート撮影、公式インスタグラムの撮影などを多く手がける。スマートフォン撮影のパイオニアとしても活動中。