PENTAX 春のスペシャルカスタムイメージ「春紅(HARUBENI)」ついに登場
はじめに
PENTAXのカメラとレンズ限定カスタムイメージ Special Editionの第4弾・春バージョンが登場しました。これによって四季をカバーする4つのカラーが出揃ったことになります。夏バージョンの「夏天(KATEN)」、秋バージョンの「九秋(KYUSHU)」、冬バージョンの「冬野(FUYUNO)」、そして今回の春バージョン「春紅(HARUBENI)」です。撮影がますます楽しくなりそうですね。
さっそく「PENTAX K-3 Mark III」とパートナーレンズの「HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR」とで試してみましたよ。
「春紅(HARUBENI)」はどんな感じ?
まずこのスペシャルカスタムイメージは、以前の3種類(夏・秋・冬)と同様にカメラとレンズを限定しての機能となります。
「春紅(HARUBENI)」:対象カメラ・パートナーレンズ
PENTAX K-1 / K-1 Mark II
PENTAX K-3 Mark III
PENTAX KF
HD PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited
HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR
上記の組み合わせに限り、カスタムイメージ設定に「春紅(HARUBENI)」が表示されて選択、撮影が可能になります。先日発売された最新デジタル一眼レフカメラ「PENTAX KF」も対応しているのがうれしいですね。以前のバージョンについては過去記事を参照してください。
さて今回の「春紅(HARUBENI)」はどのような特徴があるのでしょうか。
ペンタックスのカスタムイメージ解説ページによるとこのように紹介されています。
春の訪れを感じさせてくれる桜のピンクや、春霞で少しくすんだ青空などを意識し、やわらかい描写のレンズに合わせて、画づくりをコントラスト高めの設定とし、さらに春らしい紅色を表現できる画づくりになっています。
「春紅(HARUBENI)」では画作りの要素の一つに調色を採用し、調色を赤寄りにすることによって、「鮮やか」に比べで赤がかるような画づくりとなっています
それでは写りを確認してみましょう。小田原で桜の花を撮ったカットです。
順に「春紅(HARUBENI)」、「ナチュラル」、「雅(MIYABI)」、「里び(SATOBI)」となっています。
▼春紅(HARUBENI)
桜の花びらが美しい色合いですね。春の暖かさを感じさせてくれる発色になっています。
▼ナチュラル
ナチュラルでは見た目に近いバランスの取れた自然なカラーとコントラストに感じます。
▼雅(MIYABI)
雅ではその名のとおり艶やかで主張を感じさせてくれる色合いです。豪華絢爛といったイメージですね。
▼里び(SATOBI)
こちらは落ち着いたトーンでわびさび感を醸しだすトーンと色合いに感じられます。
「春紅(HARUBENI)」は梅や桜の花が見せてくれる華やかさと、暖かな空気感を演出してくれる色合い、コントラストそしてトーンになっていると言えるでしょう。春の少し呆けた感じのぬくもりをうまく出してくれるので、街角スナップなどにも良さそうなカスタムイメージですね。
なおカスタムイメージについてはリコーイメージング公式サイトにも詳しく掲載されています。ぜひ参考にしてみてください。
「春紅(HARUBENI)」を試す
今回は「PENTAX K-3 Mark III」にパートナーレンズ「HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR」を装着して、暖かくなってきた公園と河川敷をブラブラと撮影してきました。Limited唯一のズームレンズはスナップ撮影しやすいですね。
梅の花を見つけました。可憐な造りと素朴な色合いを「春紅(HARUBENI)」はうまく表現してくれました。やや高められたコントラストが魅力的ですね。
巨大な石垣の前をランナーが歩いて行きます。春のうららかで暖かな空気感を「春紅(HARUBENI)」は醸しだしてくれました。スナップ撮影でもこのカスタムイメージは役立ちますね。
早咲きの桜を透過光で狙いました。透けた花びらの色合い、花の造りの様子までしっかりと克明にキャプチャーできました。午後の日射しが眠気を誘いそうな感じまで写しとられているようですね。
ようやく開花した桜をそれぞれの人が思い思いのスタイルで取り囲んでいます。その様子をちょっと離れて傍観者の視線でシャッターを切りました。何とも言えない色合いが気に入りました。
開花しつつある桜を狙いました。コントラストが高くやや赤みを増した色再現性が春への期待感を増幅してくれました。「春紅(HARUBENI)」は梅や桜との相性が抜群ですね。
太陽光を強烈に反射するオフィスビルを撮りました。ヌケ感の高い描写はさすがLimitedレンズですね。春らしく赤みを感じられるカラーは「春紅(HARUBENI)」ならでは写りでしょうか。
スカッと晴れ渡った空に道路標識を入れて「PENTAX K-3 Mark III」のシャッターを切りました。やや落ち気味の空とほんのりと色が乗った橋脚とのバランスがいい感じです。コントラストの高さが季節の切り替わりを知らせてくれるようです。
橋げたのグラフィティもご覧のとおり。クッキリとしっかりとペインティングを浮かび上がらせ、河川敷の雰囲気を強調してくれました。「紅」がうっすらと乗った色合いが艶めかしさを出していますね。「春紅(HARUBENI)」は花やスナップだけでなく人物撮影で使っても面白いかもしれませんね。
桜は「春紅(HARUBENI)」がよく似合います。桜もさまざまな種類がありますが、この春のスペシャルカスタムイメーシが似合う種を探してみるのも面白いかもしれません。ひょっとしたら春の花以外でもマッチするものもあるかも。
カスタムイメージ Special Edition「春紅(HARUBENI)」まとめ
今回の「春紅(HARUBENI)」でカスタムイメージ Special Editionは四季が揃った形になり、ようやく春から冬まで撮影を楽しめるようになりました。いずれもカメラとレンズを限定する機能とはなりますが、PENTAXは写真の楽しみ方の一つの方向性を示してくれたと思います。レンズの焦点距離に合わせて季節を選び、色合いや描写特性をメーカーが提案するという斬新な試みだという印象を受けました。ひょっとしたら今後もこのような実験的なカスタムイメージが提供されるかもしれませんね。
それにしてもカメラとレンズの組み合わせによって四季を楽しめたことは新鮮な体験でした。ぜひペンタキシアンの皆さんには4つの描写を体感して撮影してもらいたいと思います!
■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなどで活躍中。さまざまな企業のイメージ撮影や、ポートレート撮影、公式インスタグラムの撮影などを多く手がける。スマートフォン撮影のパイオニアとしても活動中。