PENTAXカスタムイメージSpecial Editon九秋(KYUSHU)で切り取る吉祥寺の街
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はじめに
季節ごとに色を楽しめるPENTAXカスタムイメージSpecial Editionに秋の色「九秋(KYUSHU)」が登場しました。鮮やかな夏の色「夏天(KATEN)」から一転、郷愁感と日本情緒ある色気の「九秋(KYUSHU)」は、彩度を抑えながらもコントラストの効いたメリハリのある描写が特徴です。
日常的に目にする様々な色を撮影しながら「九秋(KYUSHU)」の魅力をとらえてみました。
九秋(KYUSHU)とは?
私自身も、このカスタムイメージSpecial Editionの発表によってはじめて知りましたが、九秋(きゅうしゅう)は、九旬(90日間)の秋という意味で、秋の九十日間を指し、画題では、秋にちなむ9種の風物なのだそう。
日本に古くからなじみのある秋の情景や花などがそれにあたり、美意識の高い画人たちが好んで描いていた題材でしょうか。屏風や掛け軸、器などに描かれているように思います。
カスタムイメージSpecial Edition九秋(KYUSHU)の色味
九秋(KYUSHU)という色は、彩度の高い鮮やかなマゼンタ色が現れないというのが大きな特徴です。赤色に至っては、黄みがかった朱赤となり、緑色はビリジアングリーン(くすんだ青みの緑)。小学校で使った絵の具セットの中に、緑の代わりにビリジアンが入っていたことを覚えている方もいるかもしれません。その色に深みと渋みを加えた色が九秋(KYUSHU)になります。
青空の表現に欠かせないマゼンタ色の彩度は低く、インパクトのあるイメージが強いコスモスも、鮮やかに発色せず渋めに仕上がりました。
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■撮影環境:SS1/2000秒 絞りF2.8 ISO100 +0.3EV WB太陽光
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右上)風景
左下)雅(MIYABI)
右下)ポップチューン
鮮やかな紅葉は彩度が低いためあっさりした印象です。緑色はビリジアングリーンらしく青味の効いた深い色になっています。好みでカスタムイメージのパラメーターの調整を行い、少し彩度を加えてみても良い感じ。私自身は、常に彩度+2で使用しています。
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右上)左上)九秋(KYUSHU)彩度+2/キー-1
左下)人物
右下)リバーサル
日陰で撮影したシュウメイギクは、立体的な緑のグラデーションの中にひんやりとした空気感が感じられ、誇張しすぎない自然な枯葉色はとても好ましく、緑色の深みも加わって秋の情景にピタリとはまりました。
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■撮影環境:SS1/1000秒 絞りF2.8 ISO800 ±0EV WB太陽光
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露出補正とホワイトバランスの組み合わせで色の傾向が大きく変化するので、いつもオートホワイトバランスの方は、ホワイトバランスを変えながら撮影してみることをおすすめします。また、九秋(KYUSHU)に合わせて被写体を選んで撮影するというのも良いでしょう。和の趣ある場所での撮影には最適な色合いです。
ここでは色を比較してみましたが、基本的には比較対象とせず、どのように表現したいかという自分自身の意思表現としてカスタムイメージを選ぶのが適切と言えます。
スナップ撮影に相応しいコンパクトなLimitedレンズ
すでにご存知の方も多いと思いますが、ファームウェアアップデートを行ったPENTAX K-1 / K-1 Mark IIとK-3 Mark IIIいずれかのボディに、以下の4本のパートナーレンズレンズを用いてカスタムイメージ九秋(KYUSHU)を楽しむことができます。
<パートナーレンズ>
HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited
HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited
HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited
HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited
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今回は、秋色に染まりつつある井の頭公園と吉祥寺の街を歩こうと決め、K-3 Mark IIIのお供に、小型軽量で持ち歩きしやすい薄型軽量な2本の単焦点レンズ、HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL LimitedとHD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limitedを連れて出かけました。
九秋(KYUSHU)× HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limitedで公園スナップ
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■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited(焦点距離61mm)
■撮影環境:SS1/125秒 絞りF2.8 ISO100 -0.3EV WB曇り
数年ぶりに行動制限のない穏やかな秋の休日。私自身も3年ぶりに訪れた井の頭自然文化園、井の頭恩賜公園は多くの人でにぎわい、人々の楽しそうな姿に出合いました。元気な子どもたちの姿にこちらも気持ちが穏やかになります。園内では、徐々に色づく秋の色に季節の移り変わりを感じられました。
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■撮影環境:SS1/60秒 絞りF3.5 ISO100 +0.7EV WB 曇り
HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limitedの焦点距離(35mm換算61mm)は、子どもたちに人気の小動物たちとの撮影にも遠すぎず、近づいてもサッと下がればスナップ撮影が可能になるちょうどよい距離感です。
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■撮影環境:SS1/125秒 絞りF2.8 ISO100 +0.7EV WB曇り
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■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited(焦点距離61mm)
■撮影環境:SS1/500秒 絞りF2.8 ISO400 +0.3EV WB曇り
園内で目にする木々はまだ青葉でしたが、その中に一部色づき始めた紅葉の赤色がひと際目立ち引き寄せられます。緑から赤への対比色の難しいグラデーションも渋みのある深い色合いは、九秋ならではの描写です。
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■撮影環境:SS1/125秒 絞りF2.8 ISO200 +1.0EV WB曇り
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■撮影環境:SS1/400秒 絞りF2.8 ISO200 -0.3EV WB曇り
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■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited(焦点距離61mm)
■撮影環境:SS1/100秒 絞りF2.8 ISO200 -0.3V WB曇り
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■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited(焦点距離61mm)
■撮影環境:SS1/80秒 絞りF3.5 ISO1000 +0.3V WB曇り
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■撮影環境:SS1/80秒 絞りF4.0 ISO800 -0.3V WB曇り
吉祥寺の街を九秋(KYUSHU)× HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limitedでスナップ
公園内の休日らしい光景を後にし、HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limitedにレンズを付け替えて街中に移動。街中をスナップして歩きました。
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■撮影環境:SS1/320秒 絞りF3.2 ISO200 +0.7EV WB マルチパターンオート
優れない天候を味方に、九秋の色はどこかネガフィルムのようなノスタルジックな雰囲気をかもしだします。古びた被写体は趣があり、リアリティさえ感じられ、スナップ撮影に相応しい画角と、解像感ある描写のHD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limitedがパートナーレンズとして活かされていることを実感できます。
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■撮影環境:SS1/125秒 絞りF3.2 ISO200 ±0EV WB マルチパターンオート
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■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited(焦点距離32mm)
■撮影環境:SS1/500秒 絞りF3.2 ISO100 -0.3EV WB マルチパターンオート
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■撮影環境:SS1/30秒 絞りF3.2 ISO100 -0.3EV WB マルチパターンオート
鮮やかな色は安定した光の中で発色がよく、曇りの日のフラットな光のときには、派手過ぎない自然な色合いに仕上がります。色飽和を起こさないところも柔らかさを強調している点です。
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■撮影環境:SS1/30秒 絞りF4.5 ISO800 +0.7EV WB太陽光
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■撮影環境:SS1/40秒 絞りF4.5 ISO800 +0.7EV WB 太陽光
いち早く点灯していたクリスマスイルミネーションもギラギラとした印象はなく、寒くなる季節に相応しいぬくもりのある色の輝きとなりました。
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■撮影環境:SS1/20秒 絞りF9.0 ISO3200 ±0EV WB太陽光
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■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited(焦点距離61mm)
■撮影環境:SS1/30秒 絞りF3.2 ISO3200 -0.3EV WB太陽光
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■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited(焦点距離61mm)
■撮影環境:SS1/50秒 絞りF3.5 ISO3200 -0.3V WB太陽光
おわりに
色彩豊かな秋の風景や情景、儚さを表現できるような色彩表現を目指したのが、カスタムイメージSpecial Edition「九秋(KYUSHU)」です。九秋ならではの被写体選びや撮影地があってもいいでしょう。しかも、街中のスナップや人工光でWBなどを変えながら撮影することで、フィルムのような雰囲気を楽しめます。カスタムイメージのパラメーターの調整も加え、幅広くアレンジを聞かせながら表現につなげていけそうです。
秋に限定せず使いこなしたいと思えたカスタムイメージです。
■写真家:こばやしかをる
写ルンです、スマホカメラ~一眼レフまで幅広く指導。デジタル写真の黎明期よりプリントデータを製作する現場で写真を学んだ経験を活かした、「プリントを通じた講評会がわかりやすく勉強になる」と好評。メーカー講師も勤める。色彩表現に富んだ独特な作風にファンが多い。
写真・カメラ雑誌、WEB等にも執筆・寄稿するなど。デザイン制作・企画、プロデュース、ディレクションまでをフィールドとするクリエイターでもあり、ライターとしても活動中。