ペンタックスらしさ満載!手のひらサイズの2代目ナノ一眼「PENTAX Q10」
はじめに
2011年にHOYA株式会社PENTAXイメージング・システム事業部(現リコーイメージング株式会社のカメラブランド)から発売された、手のひらサイズのデジタル一眼「PENTAX Q」の後継機は「PENTAX Q10」という名称で、約1年後に登場しました。今回は、この2代目ナノ一眼「PENTAX Q10」のレビューをお送りします。
初代機より様々な性能がアップ
QからQ10への進化で一番大きいのが、Qよりも新型の、1/2.3型裏面照射型CMOSイメージセンサーを搭載したことでしょう。有効画素数は同じ約1240万画素ですが、アルゴリズムの改良により、高感度性能と解像感、描写性能がアップしました。
特にISO感度は、Qでは厳しかったISO1000前後の撮影も、Q10ではぎりぎり耐えられるようになりました。2011年でのデジタルカメラのISO感度状況を考えれば、ISO1000でギリギリノイズが乗らないのなら、必要十分だと言えます。
AF性能も新型センサーのお陰で、Qよりも実感的に速くなっていて、当時は感動しました。
脅威の100種類カラーラインナップ!
また、Qではホワイトとブラックの2カラーのラインナップでしたが、Q10はシルバー、ブラック、レッドのレギュラーカラーの他に、20色から選べるオーダーカラーと、本体購入後に5色のグリップラバーの交換が行える、100種類のカラーラインナップとなりました。
筆者は、Qのボディカラーが優しいイメージの白だったので、Q10はカラフルなイメージにしたくて、ボディカラーはイエロー、グリップカラーはブラックの組み合わせで、ミツバチっぽくしてみました。
樹脂製ボディなので、マグネシウム合金だったQと比べると、プラスチッキーでおもちゃっぽくはあるのですが、このカラバリを実現するためだと思えば、特に問題は感じません。そのお陰もあり、サイズは全体に数ミリほど大きくなったのですが、重さは約180g(本体のみ)でQと変わりません。
基本の画作り設定「カスタムイメージ」
本機の本体に内蔵されている画作り設定の機能は「カスタムイメージ」といい、通常のスナップで使用するのは「鮮やか」がお勧めです。それほど派手に彩度が上がる訳ではなく、くすみを取った綺麗な色味で仕上げてくれます。
個性あふれる写真になる「スマートエフェクト」搭載
さらに、個性あふれる写真に仕上がる「スマートエフェクト」機能が搭載されています。ボディ前面のクイックダイヤルに登録して、ワンアクションで使用できる、便利エフェクトです。
筆者のお勧めエフェクトは、シャッターを切るたびにカラーバランスが変わる「クロスプロセス」です。このモードは、彩度や露出、コントラスト、トーンカーブなどがランダムに変更された写真に仕上がるモードで、同じ被写体でも撮るたびに違う写真ができあがってくる、ギャンブル要素のある楽しいエフェクトです。
明暗差のある被写体と、ない被写体で、ガラリとムードの変わるスマートエフェクト「ハードモノクローム」もお勧めです。順光の場合は、コントラスト抑えめの優しい写真になり、逆光や光源が構図に入り込むようなシーンでは、高コントラストのドラマティックな写真に仕上げてくれます。
スナップでぜひ使っていただきたいスマートエフェクトは、「ソリッドモノカラー(赤)」です。モノクロのようでモノクロではない、抽出された赤色はレトロなくすみ具合で、赤錆とか剥がれた金属、昭和感あふれる建物などがお好きな方は、何を撮っても”らしく”なるので、いつも歩き慣れている道でのスナップが、さらに新鮮に、楽しくなること間違いなしです!
Kマウントレンズ用アダプターでさらに広がる世界
本機は、KマウントのレンズをQマウントに変換する、「Kマウントレンズ用アダプターQ」が存在しています。これを使用することで、市場に多数あるKマウントレンズを使用して撮影できるので、ぜひ手に入れていただきたい逸品です。
レンズを取り付けて電源を入れると、レンズの焦点距離を入力する画面が出てきます。ここで入力した数字をもとに、レンズに応じて最適化された、手ぶれ補正の恩恵を受けることができます。
このアダプターには絞りリングが付いています。開放値ではなく、OPEN=0からCLOSE=8の数字で表記されており、絞りリングをOPEN側に回すと開放になり、CLOSE側に回すと絞ることができます。
今回は、水族館撮影で常用している「HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited」を本機に付けて、雨上がりの境内を撮影しました。35mmのレンズですが、本機に付けると35mm判換算で約5.5倍の193mm相当と、いきなりの超望遠画角になります。
ピント合わせはマニュアルになりますが、アシスト機能が充実しているので、実はそれほど苦ではありません。ボディ背面の十字キーの中央「OK」ボタンを押すと、MFアシスト機能で拡大表示が可能です。シャッターボタンを半押しすることで、拡大表示が解除されるのも嬉しいポイント!ピントを合わせたら、全画面で構図調整したいですもんね。
手のひらサイズの超コンパクトボディの本機なので、アダプターを付けてKマウントレンズを使用すると、ボディが見えなくなるバランスになりますが、本体が軽くて小さいのはいいこと。いつもは重すぎて防湿庫でお留守番しているようなレンズを、ここぞと持ち出してみたくなるでしょう。
特に、望遠画角が好きな方は、手のひらサイズで約5.5倍の超望遠画角を楽しめるセットになりますので、強くお勧めします!
■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。