ペンタックス HD PENTAX-D FA 70-210mm F4ED SDM WR レビュー|三井公一

三井公一
ペンタックス HD PENTAX-D FA 70-210mm F4ED SDM WR レビュー|三井公一

「HD PENTAX-D FA 70-210mmF4ED SDM WR」とは

小型軽量で防塵防滴の頼りになる望遠ズームレンズを試しました。そのレンズは「HD PENTAX-D FA 70-210mmF4ED SDM WR」です。ワイド端からテレ端までF4通しと使いやすく、「HDコーティング」採用なので優れた画質を得られ、なおかつテレマクロ的に使える優秀な一本でした。何よりも取り回しがバツグンなのがいいですね。

「HD PENTAX-D FA 70-210mmF4ED SDM WR」の特徴

何といってもこのレンズのウリは機動性が優れているところでしょう。全長175mm、本体質量819g(フード付:859g)とコンパクトな設計で長時間の撮影や持ち歩きでも苦にならないサイズ感です。ズーム全域で開放F値は4となりますが、同じ焦点距離のスターレンズ「HD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AW」が約2030g(フード、三脚座含む)なので比較すると断然ライトウェイトです。

 

写りも納得です。高性能マルチコーティング「HDコーティング」を採用して、さらにレンズコーティング全体を最適化を施し、ヌケがよく逆光時でもゴーストやフレアの発生を抑えた高い描写性能を有しています。レンズ構成は14群20枚となっており、特殊低分散(ED)ガラス3枚と異常低分散ガラス2枚を採用。色収差や歪曲収差、コマ収差を良好に補正しています。
オートフォーカスもキビキビと動作し快適です。レンズ内超音波モーター(SDM)を搭載しているので、高速かつ静かなピント合わせを実現しています。動体でもススッと合焦可能でした。

 

またワイド端とテレ端で最短撮影距離0.95mを達成しているので、テレマクロ的に使えるのもとても便利ですね。そして防塵防滴構造になっているので、雨やホコリに見舞われる過酷な環境下でも安心して被写体に向き合えるレンズに仕上がっています。

レンズ鏡筒側面には「AF/MF切替えスイッチ」と「フォーカスレンジリミッター」を装備。無限~2m、2m~0.95mで制限をかけることが可能です。

「HD PENTAX-D FA 70-210mmF4ED SDM WR」でブラブラ実写スナップ!

それでは軽量コンパクトなこのレンズを「PENTAX K-3 Mark III」に装着して撮影を楽しんでみました。このAPS-Cフォーマットのカメラに装着すると、107~322mm相当(35ミリ判換算)となるので、よりテレ側での撮影が有利になりますね。

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-D FA 70-210mm F4ED SDM WR
■撮影環境:1/640秒 f/5.6 ISO100

新年のどんど焼きでのカットです。ワイド端で撮ったものですが、ヌケ感がよく実にクリーンな印象です。

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-D FA 70-210mm F4ED SDM WR
■撮影環境:1/1250秒 f/5 ISO200

同じ位置からテレ端にズーミングして、さがっているダルマにフォーカスしました。このレンズはその質感と色合いをしっかりと捉えてくれました。笹の葉や穂先まで精細に描き出していますね。

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-D FA 70-210mm F4ED SDM WR
■撮影環境:1/1000秒 f/5 ISO200

土手に登って燃え尽きつつあるどんど焼きと遠くの富士山をフレームに入れ込みました。炎の色合い、集まった人々の様子、滲む富士山までイメージどおりの写りになっています。ズーミングも実にスムーズで使いやすい印象です。

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-D FA 70-210mm F4ED SDM WR
■撮影環境:1/640秒 f/5 ISO100

川面を泳ぐ水鳥を狙いました。「HD PENTAX-D FA 70-210mmF4ED SDM WR」はオートフォーカスがとても静かで高速です。スッと合焦してくれるのでシャッターチャンスを逃しませんね。

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-D FA 70-210mm F4ED SDM WR
■撮影環境:1/800秒 f/4.5 ISO200

このレンズは小型軽量なのでとても取り回しが良好です。望遠ズームレンズというと「重い」「長い」というイメージがありますが、このレンズはそれがありません。遠くの被写体を意のままに引き寄せて、望遠レンズ特有の描写を存分に楽しむことができるのがうれしいですね。

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-D FA 70-210mm F4ED SDM WR
■撮影環境:1/400秒 f/4 ISO100

河川敷にあった標識を撮りました。長い年月の間、風雨にさらされ、経年劣化していますが、「HD PENTAX-D FA 70-210mmF4ED SDM WR」は克明にその様子をキャプチャーしてくれました。文字のかすれ、ヒビ割れ、変色の様子がとてもリアルです。

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-D FA 70-210mm F4ED SDM WR
■撮影環境:1/1000秒 f/4 ISO200

走行中の電車を狙いました。オートフォーカスは確実にしっかりと合焦し続けてくれました。ボディのラッピングが鮮明に読み取れますね。「HD PENTAX-D FA 70-210mmF4ED SDM WR」は鉄道だけでなく、スポーツや生き物、ポートレートなど動きのある被写体でも活躍してくれそうです。

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-D FA 70-210mm F4ED SDM WR
■撮影環境:1/125秒 f/4 ISO250

寺社にあった龍と玉に迫りました。このレンズはワイド端とテレ端で最短撮影距離0.95mとなっており、APS-Cフォーマット機の「PENTAX K-3 Mark III」だと、よりテレマクロ的に被写体を大きく撮れます。しかもご覧のとおり、石材のざらつき感や玉のクリア感がとてもいい印象です。幅広いシチュエーションで使えるレンズと言えます。

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-D FA 70-210mm F4ED SDM WR
■撮影環境:1/800秒 f/4 ISO200

軽量でコンパクトなレンズなので、街中でカメラに装着していてもあまり目立ちません。ブラブラと歩いていて気になった被写体を発見しても、自然かつスムーズに撮影を楽しむことができました。レンズ鏡筒もスリムなので威圧感も少なく、人物撮影でも自然な表情を引き出せそうですね。

「HD PENTAX-D FA 70-210mmF4ED SDM WR」のスペック

焦点距離 70-210mm
35ミリ判換算値 107-322mm相当(ペンタックス APS-Cサイズ一眼レフカメラ装着時)
開放絞り F4
最小絞り F32
レンズ構成 14群20枚
画角(対角) 34.5°-11.8°
(ペンタックス 35ミリフルサイズ一眼レフカメラ装着時)
23.0°-7.7°
(ペンタックス APS-Cサイズ一眼レフカメラ装着時)
マウントタイプ KAF4
最短撮影距離 0.95m
最大撮影倍率 0.32倍
フィルター径 67mm
光量調節方式 電磁絞り
完全自動絞り
絞り羽根枚数 9枚
円形絞り (F4-F9.5 )
絞りリング なし
三脚座 なし
レンズフード PH-RBP67 (付属)
レンズキャップ O-LC67 (付属)
レンズケース S100-200 (別売)
最大径 x 長さ 約78.5mm x 約175mm
質量(重さ) 約 819g (フード付:約859g)
使用温度 -10~40℃
使用湿度 85%以下(結露しないこと)
同梱アクセサリー レンズフード PH-RBP67、レンズキャップ O-LC67、レンズマウントキャップK
その他 HDコーティング
SP(Super Protect)コーティング
WR(防滴構造)
クイックシフト・フォーカス・システム (QFS/M)
SDM (超音波モーター)
フォーカスレンジリミッター

「HD PENTAX-D FA 70-210mmF4ED SDM WR」のまとめ

このレンズはズバリ「機動性」が素晴らしいです。スリムで軽いので、常に携行しても苦にならないサイズ感が魅力ですね。ふだんは「Limited」レンズでの撮影がメインでも、やはりこの望遠ズームレンズがあると表現の幅がグンと広がることを実感しました。特に「PENTAX K-3 Mark III」に装着すると107~322mm相当(35ミリ判換算)になるので、肉眼を越えた領域での撮影が可能になってきます。それでいてヌケ感が高く、防塵防滴性能を有しているのですから、あらゆるフィールド、シチュエーションでの活躍が期待できるでしょう。テレマクロ的に活用できるのも見逃せません。スナップから風景、運動会、ペットの撮影まで、きっといい写真を手にすることができることでしょう。

 

 

■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなどで活躍中。さまざまな企業のイメージ撮影や、ポートレート撮影、公式インスタグラムの撮影などを多く手がける。スマートフォン撮影のパイオニアとしても活動中。

 

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