シグマ 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary RFマウント|シグマとキヤノンの新たな化学反応
はじめに
シグマ初となるAPS-C専用ズームレンズ「18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary」のキヤノンRFマウント用が、2024年7月11日に発売されました。昨年のコシナのフォクトレンダーブランドに続き、キヤノンとライセンス契約を結んだ2社目のRFマウントレンズとなります。APS-C専用とはいえ、今回AFが搭載されたレンズメーカー製のRFレンズが登場したことは、キヤノンユーザーにとっては更にレンズの選択肢が増える嬉しい出来事となったのではないでしょうか。今回はそんなシグマとキヤノンの新たな化学反応を体感してみました。
仕様・デザイン
最大径×全長はφ69.2×74.5mm、重量は300g。35mm判換算で28.8-80mmの使いやすい焦点域にF2.8通しのAF搭載APS-C用レンズとしてはクラス最軽量を実現しており、携行性を重視するAPS-Cミラーレスカメラとの相性は抜群です。
RFマウント用にAF駆動等の最適化のための制御アルゴリズムを新たに開発し、高速AFの実現、サーボAF、ボディ内収差補正にも対応しています。(補正機能はカメラが対応している内容に限る)
テレ側にレンズを繰り出してもそこまで全長の長さは気になりませんでした。簡易防塵防滴性能も備えていることから、様々な撮影シーンで活躍してくれるでしょう。ただし手ぶれ補正機構は非搭載のため、カメラ内手ぶれ補正機構に頼りたい場合はEOS R7との組み合わせをお薦めします。
キリッとした描写が心地良い洋館散策
携行性の良さも魅力のひとつである「18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary」。せっかくなら色々撮り歩きたいと思いましたが、酷暑の折、長時間の屋外撮影は命に関わると思い、山の上の洋館へと足を向けました。
今回「18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary」と一緒に連れ出したのはキヤノンのAPS-Cカメラ「EOS R10」。カメラ本体とレンズを合わせても約730gと、とても軽いので首にかけた状態で歩き回っても重さを感じることはほとんどありませんでした。
開放F2.8が魅せる心地良い空気感
「18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary」の強みはなんと言ってもズーム全域で開放F2.8を実現していることでしょう。キヤノン純正のAPS-C用RF-Sレンズは全て可変式であり、ほぼ同等の焦点距離の「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」と比較すると重量は純正より重いとはいえ描写力に関しては「18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary」の持つアドバンテージは大きいと思います。とはいえ、前述した通り「18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary」には手ぶれ補正機構は搭載されていないので、自分の撮影スタイルや被写体によって使い分けるというのも良いかもしれません。
寄りも引きも楽しめるフットワークの軽さ
「18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary」はワイド端での撮影時、最短撮影距離12.1cm、最大撮影倍率1:2.8と、被写体に迫った迫力のある写真を撮るのにも最適です。テレ端撮影時は最短撮影距離30cmと、ワイド端に比べると少し長く感じるかもしれませんが、35mm判換算80mmの中望遠域が見せるすっきりとした描写と開放F2.8が描くやわらかく大きなボケの組み合わせは相性抜群です。ここでも全域F2.8の底力を感じました。
スナップにも大活躍
「18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary」とEOS R10の組み合わせは本当にコンパクトで、喫茶店などでカメラを出しても圧迫感はなく、(撮影の許可をお店に頂いた上で)雰囲気を壊すことなくさらりと撮影できるのも好感触でした。
さいごに
満を持して発売されたシグマの「18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary」は、最新の光学設計によって実現したシャープな描写と絞り全域F2.8によって得られる心地良いボケ味が見事に融合しており、APS-C機の携行性に寄り添う小型軽量なボディも大きな魅力のひとつです。キヤノンの持つやさしい色再現との相性も良く、目の前の感動をそのまま記録できるキヤノン+シグマの組み合わせは従来のキヤノンユーザーにも新しい感動を与えてくれるのではないかと思います。今後のキヤノンとシグマの新たな化学反応が今から楽しみです。
■写真家:金森玲奈
1979年東京生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。東京藝術大学美術学部附属写真センター勤務等を経て2011年からフリーランスとして活動を開始。雑誌やwebマガジンなどでの撮影・執筆のほか、フォトレッスン「ケの日、ハレの日」を主宰。祖師谷大蔵のアトリエにてプリントや額装のワークショップなども行っている。個展・企画展多数。