最上級のボケ味と明るさが魅力!シグマ 50mm F1.2 DG DN | Art を試す
「SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art」とは
数々の素晴らしいレンズをリリースしているシグマから大変魅力的な50mm標準レンズが登場しました。この「SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art」は開放F値が1.2と明るく、その絞り開放で撮影しても大変シャープかつ美しいボケ味が楽しめる素晴らしいレンズになっています。それでいて小型軽量なので常に携行できるサイズ感も特徴です。オートフォーカスも高速かつ正確なので、積極的に絞りを開けて撮影できるレンズに仕上がっています。それではこのレンズをチェックしてみましょう。
「SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art」の特徴
この「SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art」は昨年登場した「SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art」とほぼ同じ大きさです。それなのに明るく描写性能もボケ味も向上しています。その理由はレンズ構成にあります。12群17枚(非球面レンズ4枚)とレンズ枚数を増やしているのですが、構成するレンズを極限まで薄く設計および加工して、素晴らしい画質とサイズ感を高次元で達成しているそうです。この背景にはシグマが世界に誇る会津工場の技術力と生産能力の高さにあることは想像に難くないですね。そのおかげで最大径 × 長さ(Lマウント)は φ81.0mm x 108.8mm、質量は(Lマウント)で745gと日常使いできるサイズに仕上がっています。オートフォーカス対応の35mmフルサイズミラーレス用50mm F1.2レンズとして最軽量になっているとのこと。(2024年3月現在)
オートフォーカスも素早く正確です。リニアモーターHLAを採用し、レスポンスもとても良好で激薄F1.2でのピント合わせも楽チンです。シグマ初となる13枚の絞り羽根にも注目です。これによって滑らかで美しい玉ボケを味わえるようになっています。ポートレートでもスナップ撮影でも極上の”Bokeh”を表現可能です。
使い勝手も他の「Art」レンズ同様によく、任意の機能が割り当てられる「AFLボタン」、クリックのオンオフ切り換えとロック機構がある絞りリング、防塵防滴構造、レンズ前玉の防汚コートも施され、プロフェッショナルが仕事の現場で使える新世代の50mm標準レンズになっています。
ブラブラ実写スナップ!
今回は「SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art」をLマウント機の「SIGMA fp」、「SIGMA fp L」、パナソニック「LUMIX S5 II」に装着してブラブラ撮影を楽しみました。F1.2の雰囲気あるボケ味は一度堪能すると病みつきになってしまいそうです!全カット絞り開放での撮影ですよ。
夜のカーディーラーで雨に濡れるボンネットをF1.2で撮りました。立体感あふれる水玉が一粒一粒浮かび上がって捉えられています。前後のボケも自然でとてもスムーズに感じます。
神社の鳥居を狙いました。外国からの観光客で賑わうスポットですが、開放でぼかしてしまえば静かな雰囲気を演出できます。シルキーで滑らかな後ボケは本当に魅力的ですね。
露店で飾られていたグッズを撮りましたが、夕方のニュアンスを的確に反映した色再現性と、ピント面のキリリとした描写、そしてリッチなボケ味が何とも言えないですね。ポートレート撮影でもきっと大活躍することでしょう。
渋谷のスクランブル交差点を撮影している外国人観光客を前ボケにして交差点を撮りました。この明るい50mmレンズは大きく豊かに、スマートフォンを構える人物を融かしてくれました。
「SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art」は前後ともボケが美しいです。古民家の瓦を撮ってみましたが、ムーディーかつ整った描写なのがよく分かります。ついつい絞り開放ばかりを使いたくなってしまうレンズだと言えます。
このレンズがスゴいのはピント面の描写力です。ガチガチに硬すぎず、ボアボアの柔らかさは皆無で、画面全体をシャープでフラットな印象を作り出してくれます。とてもシグマらしい現代的な写りだと感じます。
ハイライト部の粘りも見事ですし、シャドウ部の描写もお見事です。それでいてこのシャープさとボケ感の同居なのですから、F1.2で撮りたくなってしまうのもお分かりいただけるでしょう。
この「SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art」があれば、「他の50mmレンズは不要なのではないか?」とシャッターを切るたびに思わせる写りを見せてくれます。描写ももちろんながら使っていてちょうどいいサイズ感、操作性の高さがそう感じさせてくれるのです。
竹垣を撮ってみました。いやはや実にいい写りです。「SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art」は欠点がないのではないか?と感じさせてくれる絵ですね。今回はスナップ撮影ですが人物も撮ってみたくなりました。
明るいレンズ、ということは絞りを開くことによって背景をぼかすことができますが、低照度のシーンでは速いシャッタースピードを使うことができますし、ISO感度を上げなくても撮影ができるということです。それはクリーンかつクリアな写真を撮れることを意味します。
「SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art」は絞り開放での豊かで美しいボケが素晴らしいです。この竹林のカットでも気になる収差も感じさせずいい雰囲気の仕上がりとなりました。スナップ、風景、ポートレート、静物など幅広いジャンルの撮影をより楽しくしてくれるレンズですね。
「SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art」」のスペック
レンズ構成枚数:12群17枚(非球面レンズ4枚)
画角:46.8°
絞り羽根枚数:13枚(円形絞り)
最小絞り:F16
最短撮影距離:40cm
最大撮影倍率:1:6.2
フィルターサイズ:φ72mm
最大径 × 長さ:L マウント:φ81.0mm x 108.8mm ソニー E マウント:φ81.0mm x 110.8mm
質量:L マウント:745g ソニー E マウント:740g
エディションナンバー:A024
付属品:
・ケース
・レンズフード(LH782-03)
・フロントキャップ(LCF-72mm Ⅲ)
・リアキャップ(LCR II)
まとめ
この「SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art」は既存の明るい50mmに対する価値観を見事に変えてくれました。大口径で明るいのに軽量コンパクトで、絞り開放で整った豊かで美しいボケ味を楽しめ、極薄のピントでもキビキビと何の苦もなく合焦するオートフォーカス、それでいて過酷な環境下でも臆することなく使用できる防塵防滴性能と前玉の防汚コート、使いやすい各種スイッチやボタンと、至高の一本に仕上がっています。フルサイズミラーレスに特化した最新の設計と、匠の工作技術と精度が新時代の「50mm F1.2」を生み出したと言えるでしょう。このレンズの絞り開放を多くの人に味わっていただきたいと思っています。
■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなどで活躍中。さまざまな企業のイメージ撮影や、ポートレート撮影、公式インスタグラムの撮影などを多く手がける。スマートフォン撮影のパイオニアとしても活動中。