シグマ 90mm F2.8 DG DN Contemporary × 旅|山口規子
はじめに
このシグマ 90mm F2.8 DG DN | Contemporaryを初めて見た時、とても小さくてびっくり!そしてこの小ささなら旅のお供にいいかもしれないと思い、早速、SIGMA fp Lのカメラにつけて旅に出てみました。90mmという焦点距離のレンズは、風景や人物ポートレート、町歩きスナップにも最適。そして、このレンズの特徴は最短撮影距離が50cmという点です。そう、マクロレンズとしても使えたのです。
シャープな切れ味
シグマのレンズは、どのレンズもシャープで、きれっきれな画像を作り出すことで有名ですが、今回は、シャープな中にも、しっとり感があるバランスのいいレンズ。この写真は長崎県上五島の頭が島教会の写真ですが、この十字架の部分の金属の質感が手に取るように表現されています。
またこの長崎県小値賀島の猫の写真は、ピントを合わせた猫の瞳はシャープなのに、周辺部の柔らかい光の空気感はそのまま活かさされています。
長野県の南木曽で囲炉裏の炎を撮ってみると、炎の柔らかな曲線はシャープですが、炎の中がきれいなグラデーションでびっくりしました。基本的に私は水滴や炎を撮ると、そのレンズの善し悪しがわかると思っていますが、この炎は合格ですね。(笑)
90mmって難しい?と感じるか、楽しい?と感じるか、それはあなた次第。
90mmという焦点距離は、風景のように広くは撮れないし、かといって、望遠レンズのようでもなく、難しいと感じる人も多いと思いますが、実は、スナップの切り撮り撮影に最適なのです。この写真のように、路地裏の一部を切り取り、赤の自転車にピントを置き、画面の中に他の赤色のもの(赤い壁、赤いビール箱、赤いほうき)などを入れ込み、画面のバランスを整えます。
また、この朝顔の写真のように、朝顔だけをアップで撮るのではなく、朝顔の花弁の柔らかさと対照的に、錆びたトタンの壁を入れ込み、手で感じるような硬さと柔らかさの触感を表現するのも楽しいです。
最短撮影距離50cmを活かして、テーブルフォト
最短撮影距離が50cmというので、自分が食べたかき氷を撮ってみました。氷の上にかけられたいちごミルクの質感がリアルに表現されています。
もちろん!風景も人物ポートレートも。
また、人物ポートレートにもちょうどいい距離感でした。そして風景も中望遠として活躍してくれます。開放値でのポートレートのボケも綺麗です。風景では雲のグラデーションもきちんとでています。
まとめとおまけ情報
このレンズは オール金属でできており、ある暑い日、うちの愛猫ナミイちゃんは、金属の冷たさが気持ちよかったのか、ちょっと目を離したすきに、冷え冷え枕として使っていました!(シグマさん、ごめんなさい。汗)
そして、マグネット式メタルレンズキャップと、プラスチック製レンズキャップの2つが梱包されているので、別売のレンズキャップホルダーCH-11を買うと、キャップがマグネットにくっつき、撮影中に失くすことがありません。これは便利ですね。
最後に、描写力はもちろんこと、機動性もいいので、この1本があれば何でも楽しめちゃうということです。295gという軽さも魅力ですが、オール金属のため、安っぽさがないから見た目もかっこいい!ぜひお勧めしたい1本ですね。
■写真家:山口規子
栃木県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。文藝春秋写真部を経て独立。女性誌や旅行誌を中心に活動。透明感のある独特な画面構成に定評がある。「イスタンブールの男」で第2回東京国際写真ビエンナーレ入選、「路上の芸人たち」で第16回日本雑誌写真記者会賞受賞。近著に旅と写真の楽しみ方を綴った「トルタビ~旅して撮って恋をして♫~」や柳行李職人を撮り続けた写真集「柳行李」など。料理本や暮らしに関する撮影書籍も多数。旅好き、ネコ好き、チョコレート好き。公益社団法人日本写真家協会理事。
シグマ 90mm F2.8 DG DN | Contemporaryのレビューはこちらの記事でもご覧頂けます。
■シグマ 90mm F2.8 DG DN Contemporary|新焦点距離90mmがIシリーズに誕生
三井公一
https://www.kitamura.jp/shasha/sigma/90mm-f2-8-dg-dn-contemporary-3-20210924/