ソニー αシリーズを自分好みに仕上げる|プロが教えるカスタムメニュー設定
はじめに
最近のカメラは非常にたくさんのメニューがあり、使いたい機能がなかなか呼び出せない事があったりしませんか?特に撮影するシーンが大きく変わったりすると、撮影時に設定に手こずったりして大切なシャッターチャンスを逃す事になってしまいます。そこで自分にあったカメラの設定を分かりやすく登録して、使いやすくカスタムしてみませんか。今回はソニー αシリーズのメニューカスタムのコツをご紹介します。
よく使う機能をボタンに登録しよう(カスタムキー設定)
αには、C1・C2・C3・C4のカスタムボタンがあり、それぞれに最初からボタンに機能が割り当てられています。もちろんそのまま割り当てられた機能を使っても良いのですが、使っていない機能であれば、自分がよく使う機能を入れ換えて割り当てる事も可能です。
※機種によってカスタムボタンの数が違います。
例えばα7R IIIでは、C1キーのデフォルトに「ホワイトバランス」の切換呼び出しが設定されています。オートホワイトバランス設定を多用している人にとっては、もったいないポジション設定です。「ホワイトバランス」切換呼び出しを使う頻度が少ない場合は、普段の撮影で良く使う機能を割り当ててみましょう。
例えば筆者の場合、高画素機のα7R IIIやα7R IVのC1ボタンには、「APS-C S35 / フルサイズ切換」を設定しています。特に望遠レンズ系を使用している時で焦点距離が少し足りない場合などに、フルサイズからAPS-Cサイズへとボタン一つで瞬時に焦点距離を1.5倍にすることができスムーズに撮影することができます。
α7R IV+FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSで撮影する場合、フルサイズ6100万画素で最大焦点距離が600mmですが、APS-Cモードに切り替える事によって、2600万画素で最大焦点距離が900mmで撮影できるカメラに一瞬で変わります。
その他の設定例として「人物」や「ペット」を「瞳AF」を使用してよく撮影する人は、ここに「検出対象」を設定しておくと、「人物」と「動物」の瞳AFの検出対応を素早く切り替える事ができます。特にシャッターボタン近くにあるC1・C2ボタンには使用頻度の高い機能を割り当てるのがベストです。
また、このボタン1つに3つの機能を割り当てる事ができるのをご存知でしょうか?3つの機能と言うのは、静止画撮影モード時・動画撮影モード時・画像再生モード時のそれぞれに1つの機能を割り当てることができるんです。
撮影設定2ー操作カスタム1のページに該当する項目(静止画・動画・再生)があります。
動画カスタムキーや再生カスタムキーは、特に設定変更していない場合は静止画のカスタムキーに従う設定になっています。これを動画撮影時だけ使用するカスタムキーに変更する事ができます。
瞬時に撮影設定を大きく変更するとっておきの方法
撮影している時に、大幅に設定を変えたくなるシーンがある場合に皆さんはどうしていますか?例えばスポーツやモータースポーツなどの撮影の際、被写体を止めて撮影するシーンからスローシャッターで流し撮りをする際には、シャッター優先モードで、シャッター速度を大きく落としていけば撮影が可能になるわけですが、実際にはシャッター速度の変更だけでなくISO感度の設定や絞りの値もコントロールする場合も多いですよね。
そこで使用するとっておきの機能が、「メニュー」から「カスタムキー」を選んで出てくる「押し間カスタム設定呼出」です。この機能は、自分で設定したカスタム設定を割り当てたボタンを押している時だけ呼び出して使う機能です。この「押しているだけ」がキーポイントです。
例えば、筆者の場合はこんな設定をレンズについている「フォーカスホールドボタン」に割り当ています。これでファインダーを覗きながら右手はシャッターボタンに集中し、左手でレンズを支えながら「フォーカスホールドボタン」を押したり、離したりして高速シャッター撮影とスローシャッター撮影を切替えて撮影しています。
実際に撮影したのがこの写真になります。1枚目の写真は高速シャッター(1/5000秒)で撮影し、2枚目の写真では、すぐ後ろから来た次のライダーをスローシャッター(1/60秒)で流し撮りしています。
この設定を使うことで、ボタンを押している時だけスローシャッターになるので、通常設定でスローシャッターにしたままでブレブレの写真を量産する事も無くなりとても助かっています。筆者がスポーツ撮影をするときに愛用している機能です。
Fn(ファンクション)メニューの入れ替えしよう
普段の撮影で一番よく設定変更に使用するのが、このFn(ファンクション)メニューではないでしょうか?ここには普段の撮影によく使われるだろう設定変更項目が12個登録されています。
撮影スタイルにもよりますが、まったく使用しない項目もあったりします。例えば上段の左から4つ目の露出補正はカメラ上部にある露出補正ダイヤルがあり、そちらを使用している人にはここのスペースは無駄なスペースです。またフラッシュを使用しない人は、下段の一番左のフラッシュの切換、その横の調光補正はまったく使用する事は無いでしょう。そういった使わないスペースがあれば、自分が使う機能の入れ替えをします。
設定を変更する際は、メニューボタンから撮影設定2ー操作カスタム1ーファンクションメニュー設定を選択します。
変更したい項目を選んで、他の項目に入れ替える事ができます。
下の場合、
・「露出補正」に項目を「サイレント撮影」の切替に変更
・「フラッシュモード」の項目を「DRO/オートHDR」の切替に変更
・「調光補正」の項目を「フリッカーレス撮影」の切替に変更
・「優先記録メディア」の項目を「ピーキング表示」の切替に変更
といったように、自分が使わない項目をよく使う項目に入れ替える事によって、撮影時の設定変更をスムーズに行うことが可能になります。
マイメニューを登録しよう
メニューボタンから選択するメニュー項目は非常にたくさんありますが、少し整理する方法があります。よく使うメインの設定項目は、ここまでに簡単に呼び出せるC1・C2ボタン、およびFnキーの項目にまとめましたが、それ以外で撮影時の切換などには使わないがそこそこ使う項目をまとめたい場合などに便利な機能がマイメニューになります。
マイメニューは、メニュー項目の最後の項目の★マークの部分になります。この★マークのマイメニューに自分だけのメニュー項目をまとめることができます。デフォルトでは何も設定されていませんが、「項目の追加」から自分の必要なメニュー項目を選択して自分だけのメニューページを作成していきます。もちろん、いつでも追加・削除・入れ替えが可能です。
それほど使用頻度は高くない機能の項目ですが、たくさんあるメニューページの中から都度探していると面倒なので、マイメニューにまとめています。こうする事によって、メニューボタンを押してから必要な項目に素早くたどり着くことができます。
よく使う設定をまるごと登録「登録呼び出し(MR)」
よく使うモードやカメラの設定を、カメラ本体上部にあるモードダイヤルに2~3つ(機種によって違います)まで、メモリーカードには4つ(M1-M4)まで登録でき、モードダイヤルで簡単に呼び出す事ができます。
例えば筆者の場合、自宅で猫を撮影する事が一番多いので、猫の撮影設定をモードダイヤルの1に登録しています。
設定方法は簡単です。最初に登録したい撮影設定にカメラを設定していきます。撮影モードやホワイトバランス、ISO、AFエリア、瞳AFの設定などなど。一通りに設定したら、メニューキーから「MR 撮影設定 1/ MR 撮影設定 2の登録」を選択します。
すると先ほど設定したカメラの設定が表示されます。登録した番号を選んで決定ボタンを押せば設定登録が完了します。
こちらの猫の写真はダイヤルモード1に登録してある設定で撮影しながら、C1ボタンに設定してあるAPS-Cモードに切り替えて撮影しています。
まとめ
買ったばかりのαでそのままの設定でも問題なく使用する事はできますが、使いこなしていく内に、よく使うメニューに対して使わないメニューが多く、メニューから選択する際に煩わしさが出てきます。自分なりにメニューをカスタムする事によって撮影チャンスを逃す事なく撮影に集中できる環境を整える事ができます。最初からあれもこれも設定しようとすると、結局は無駄なカスタム設定も増えてしまうので、よく使うものから少しづつ設定して使い勝手を試していくのが設定のベストな方法です。
写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・日本風景写真家協会 会員
・NPO法人 フォトカルチャー倶楽部 参事
・一般社団法人 日本フォトコンテスト協会 理事
・一般社団法人 日本写真講師協会 理事
・ソニーαアカデミー講師
・クラブツーリズム写真撮影の旅・ツアー講師