ソニー α7 IV ~見る人の想像力を掻き立てる写真を求めて~|wacamera
はじめに
こんにちは。フリーランスフォトグラファー12年目になりましたwacameraです。
SONYのミラーレス一眼を6年間、α7S II・α7R・α7R II・α7 III・そしてα7 IVと使ってきた私。今回はα7 IVのレビューといたしまして数々の作例と共にα7 IVが「コストパフォーマンスに最も優れている」と思う理由をお話したいと思います。
α7 IIIユーザーを筆頭にたくさんの方が待ちのぞんでいたα7 IVの発売。私はご縁をいただき発売前にSONYさんよりお借りして撮影に行っていました。そしてこのカメラが気に入り、予約開始日にパソコンに張り付き予約購入しました。
ファーストインプレッションは「ついに来たバリアングル」「握りやすさ過去一番」「嬉しすぎるクリエイティブルック」の3つ。もちろんその他にも進化を感じられるポイントはたくさんありました。
バリアングルモニターの搭載
私が使用してきた機材の全てがチルトシフト式のモニターでした。α7Cに搭載されたバリアングルが羨ましく、まだかまだかと待ちわびていた進化の一つであったので、搭載されたと知った時は非常に嬉しかったのを覚えています。なぜなら私の撮影スタイルにおいて縦写真が多いからに他なりません。
身長165cmと決して低くはありませんがハイアングルから撮ろうと思うとどうしても手を伸ばして撮影するしかなく、モニターが見えづらいことが作用し何度も撮り直しを繰り返していました。また地面スレスレのアングルで縦写真を撮る時も同じように、ほふく前進のように這いつくばって撮影することで服の汚れなどを気にしなければなりませんでした。
このバリアングルモニターがそれらのストレスを全て解消してくれたのは言うまでもありません。またこのモニターはタッチ操作も可能です。即座にピントを変更したい場合や、再生時においてのタッチ操作が可能なため、スマホに物足りなくなり綺麗な写真が撮りたいと新しくカメラを買われる方にも違和感なく入りやすいポイントなのではないかと思います。
作品の幅を広げるクリエイティブルック
今までの機種にもクリエイティブスタイルの名前でニュートラルやポートレート、ビビッドなどの画像スタイルがあり、夕日などを撮るときはビビッドにしたりと撮影に合わせて楽しんでいました。
今回α7 IVに搭載されたのはそれらが進化したクリエイティブルック。今までのスタイルに加え【FL】【IN】と名付けられたスタイルは今までのソニーにはなかった色合いを持っており、その中での私のお気に入りは【FL】。正直FLをあてたJPEG画像はレタッチいらずでした。懐かしいようなそれでいてクリアな色合いは撮って出しで十分楽しめてしまう。もちろんLightroomでRAWレタッチすればカメラプロファイルでFLが選べるようになったためRAWで撮影しても問題はありません。1日で何ヶ所も移動して撮影している私の場合、シーンごとにクリエイティブルックを入れ替えて撮影すれば作品の彩りを豊かにしてくれます。
受け継がれ進化してゆく動画性能
α7 IIIからα7 IVへ移行して進化した点のひとつに動画撮影における性能のアップデートがあります。
まず4Kの解像度で2.5倍のスムーズでなめらかなスローモーション撮影が可能になりました。また同じ4K動画でもSuper 35mmを選択すると4K 60pの動画記録が可能。妥協のないこだわりの撮影を可能にしてくれたこのカメラは用途に合わせて美しくかつ緩やかで表現豊かに映像を残せるようになり、私のように「スチール撮影もしたいし動画撮影もやりたい」という欲張りフォトグラファーにおすすめできるポイントです。
また動画撮影時にいつも手持ちで頑張る私には、非常にありがたい高性能手ぶれ補正アクティブモードが搭載されました。
通常の光学式5軸ボディ内手ブレ補正機能に加え、高精度な手ブレ補正ユニットが機能するアクティブモードは、新しい画像処理エンジンが手ブレの幅や量をしっかりと細かく検出して光学的に補正してくれるため、ブレの少ない安定した動画撮影が可能になる機能です。
しかしメリットばかりではありません。アクティブモードを使用する際のデメリットは撮影画角が少し狭くなること。しかしそれを計算し、使用レンズにFE24mm F1.4GMなどの広角レンズを選べばクオリティに妥協することなく手振れの少ない動画が撮影可能になり、美しい動画を撮りたいと望む私には非常に嬉しい限りです。ジンバルには手が出せない…と思われている動画撮影ビギナーにとってもとてもありがたいポイントなのではないでしょうか。
私の眼に代わり大活躍のオートフォーカス性能
歴代のαシリーズを使ってきた私はαシリーズの成長と反比例して視力が低下する年齢にさしかかり、丸1日撮影しているとピントがあっているかどうかをマニュアルでは確かめづらくなってくるため、オートフォーカスの進化に人一倍敏感になっていました。
α7 IVはオートフォーカスのシステムに、位相差オートフォーカスとコントラストオートフォーカスを併用。その名もファストハイブリッドオートフォーカスを採用しています。像面位相差オートフォーカスのカバーエリアと測距点数がα7 IIIでは約93%・693点だったのに対し、約94%・759点に向上しました。この測距点数は、ソニーのフラッグシップモデル機、α1と同じです。「7」の無印シリーズはベーシックモデルであるのにも関わらずこのシステムを搭載してくるとはなんともありがたく、ますますα7 IVを推さない理由が見当たらなくなってきます。お陰で、陽が沈みかける夕暮れの時刻でも戸惑うことなく安心して撮影ができるように。
撮りたい絵を忠実に、純正レンズとの相性
進化したボディには当然ながら対になるレンズも大切であるのは言うまでもありませんが、表現豊かに映し出す純正レンズとの相性は抜群です。私は単焦点レンズが非常に好きでそれだけでもFE 24mm F1.4 GM・Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA・FE 35mm F1.8・FE 50mm F1.2 GM・Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA・FE 135mm F1.8 GMと所持していますが、これらの秘めた力を引き出すボディとしてα7 IVは十二分に相応しいと思います。特に上でも述べましたが動画を撮影する際のアクティブモードは純正と組み合わせることで十分に発揮する機能ですので正に相性抜群であると言えます。
GMレンズの持つ抜群の解像感、四隅まで抜けるような描写力、そのレンズたちの力を引き出し魅せてくれるα7 IVは、私の眼に代わり切り取りたい世界を私の意のままに正確に捉えてくれています。
まとめ
ベーシックモデルと言われながらそのベーシックを超えたパワーを持つ、まさにBeyond Basic(次代の、新基準へ)と謳われるα7 IV。これらの理由からコストパフォーマンスに最も優れた機種であると私は思います。アマチュアからプロフェッショナルまで、幅広い方々の「撮りたい」の気持ちに応えられるα7 IV。
これからも私の眼となり右腕となり、国内だけでなく世界を共に渡り歩いてくれる相棒になることは間違いないでしょう。
■写真家:wacamera
広告業界で7年半勤務後、写真スタジオ、ウェディング撮影を経てフリーランスフォトグラファーになり12年目。初めて仕事で行ったフィンランドで英語が話せなかったことに涙し、英語を再勉強。二度の短期母子留学を経て世界各国の企業とのコラボレーション企画を受けながら国内だけでなく世界中を旅しながら撮影を行っている。得意とするのは童話のようなメルヘンで幻想的な色使いと世界観の創造、叙情的スナップ。プライベートでは1児の母。