ソニー α7C × 夏らしい景色|大村祐里子
はじめに
2020年10月23日に発売となったソニー α7C。コンパクトなボディと高性能を両立させた素晴らしい一台です。私も発売当初から気に入っていて、ずっと使い続けています。今回は、α7Cで夏らしい景色を撮ってまいりましたので、それをご紹介しながら、α7Cの良さについて語らせて頂きたいと思います。
超小型ボディがもたらす撮れ高
α7Cの「C」は「Compact」の略です。その名の通り、α7Cの最大の特徴はそのコンパクトさと言っても過言ではありません。カメラのサイズ感は、ユーザーにとって大変重要なものです。特にスナップを撮り歩くような人にとっては、大きくて重たいカメラだとどうしても疲れてしまい、最終的に撮影意欲を削がれてしまうことが多々あります。
APS-C機と同じくらいのサイズ感であるα7Cは、ボディだけで約509g (バッテリーとメモリカードを含む)と非常に軽量です。他のフルサイズのαシリーズもそこまで重いわけではありませんが、その中でもα7Cは特にコンパクトで、持ってみると想像以上の軽さに驚きます。
そのため、鞄に入れても、肩にかけても、手に持っても、撮影者を疲れさせません。私は今回、α7Cを持って海に行ってみたり、船に乗ってみたり……と、一日中動き回りましたが、カメラの重さのせいで疲れることはまったくありませんでした。そのため、暑い日でしたが元気を保ったまま、いろいろなところでスチールと動画、両方の撮影ができました。
スナップの撮れ高は、自分の足でどれだけの場所へ行けたかに大きく左右されます。撮影者の足取りを軽くしてくれるα7Cは、スナップ撮影の最高の相棒です。アクティブに動き回りたい方や、重たいカメラは絶対に嫌だ!という方には、α7Cを特におすすめいたします。
フルサイズの画質を十分に楽しめる
α7Cの良いところを挙げるとしたら、外せないのはその描写性能です。コンパクトなボディですが、センサーはフルサイズ。サイズ感から「お散歩用」のカメラと思われてしまいそうですが、とんでもない。仕事でも十分使えると感じられる描写性能を備えています。暗所でも使えますし、階調は豊かで、色の再現性もとても良いです。大口径レンズを装着すれば、フルサイズならではの大きなボケ感も楽しめます。写真を生業にしている方にα7Cを見せると「いいな……」という反応をいただくことが多いです。
正直、どのくらいの絵であれば綺麗なのか、というのは、その人の感覚によるところが大きいと思うのですが、仕事でたくさんのカメラを使ってきた自分からすると、α7Cの絵は「十分に綺麗」と思えるレベルです。
高いAF性能
α7Cを使いたいと思える理由のひとつに「高いAF性能」があります。α9をはじめとしたプロフェッショナル機にも搭載されている“4Dフォーカス”に対応しているため、実際にα9を使用している私からしてみても「α7CのAFすごい!」と感じます。
正直、AFに関してはほぼノーストレスの域に達しているのではないかと思います。風になびいて激しく動く風鈴も、ピンポイントですぐにピントを合わせられます。今回は人物撮影をしておりませんが、人物の瞳AFも相当な精度です。
AFの合焦方法が豊富なのも魅力的です。自動で合わせることもできますし、細かくスポットで合わせることもできますし、直感的に液晶をタッチで合わせることもできます。初心者の方でも、ベテランの方でも、自分の使いやすい方法を選べるところが良いなと思います。
AFの精度は動画の仕上がりにも大きく関わってきます。動画の場合は、フォーカスの動き方まで含めてひとつの作品です。α7Cは動画撮影時「いまここで、こういう風にピントが合ってほしい」という願望をしっかり叶えてくれます。α7Cの高いAF性能は、スチールも動画も、両方撮りたいと思わせてくれます。
連写
個人的に好きなポイントとして「連写」があります。小さいカメラなのでそんなに連写できないだろう……と思いきや、Hi+時だと、最高約10コマ/秒撮れちゃうのです。……十分では?
船の上から、高速で飛び回るカモメを連写しましたが、最高約10コマ/秒のおかげで、カモメがちょうどいいところにきたタイミングで切り取れました。連写時の「カシャカシャ」という手ごたえのあるシャッター音も気に入っています。いま私、連写してる~!という高揚感を感じられます。
Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA
α7Cはレンズを交換できるので、豊富なEマウントレンズの様々な描写を楽しめます。私がα7Cとの組み合わせで最もよく使うのは「Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA」です。
35mmという汎用性の高い焦点距離でありながら、とにかくサイズがコンパクト!レンズフードも小型の鏡筒にマッチするよう設計されていて、α7Cに装着すると、とってもバランスが良いです。動画撮影時ジンバルに乗せても、フロントヘビーになることがありません。スチール、動画両方で重宝するレンズです。
コントラストがやや高めで、色がしっかりと出るところが気に入っています。広角ゆえに引き絵も撮れますし、最短撮影距離は0.35mなので、何かに寄りたいなと思ったときにも活躍します。α7Cに合うレンズを教えてほしいと言われたら、迷うことなくこのレンズをおすすめします。
Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
次に気に入っているのは、Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAです。さきほどの35mmと比べてやや鏡筒が長めにはなりますが、とても軽いので、α7Cとの相性は良いです。
このレンズの良いところは、描写です。高いコントラストと解像感が特徴です。そしてF1.8という大口径ゆえに、大きなボケを楽しみたいときにも大活躍します。55mmという焦点距離はスナップでも、人物撮影でも使いやすいです。
ショートムービー
今回は、スチールと同じ感覚で動画を撮りたいと思いました。4K30p、S-Log3(PP8)で撮影をし、編集ソフトで色調整をしています。すべて手持ちで撮影をしました。動画撮影時も、α7Cの光学式5軸ボディ内手ブレ補正が効くので、船の上など足元が不安定な場所からの撮影でも、激しく手ぶれすることはありませんでした。
α7CはS-Log3での撮影ができるのでありがたいです。αシリーズは、すべての機種でS-Log撮影ができるわけではありません。S-Log3で撮影をすると、あとで自分の好きな色味に調整できるので楽しいです。ハイライト・シャドウも、ある程度は調整できます。ただ、極端な調整をすると、バンディング(滑らかなはずのグラデーション部分が縞模様になってしまう現象)が出やすいので、撮影時に露出をしっかりと合わせましょう。
まとめ
コンパクトながらも高性能なα7C。スチールも動画もしっかり撮れてしまう、申し分のないカメラです。こんなにもバランスが良いカメラは、今までになかったのではないかな?と思います。
最近、写真を生業としていないお友達に「ちょっといいカメラが欲しいのだけど」と相談されたときには、必ずα7Cを紹介することにしています。そのくらい、どんな人にもおすすめしたい、素敵なカメラです。
■写真家:大村祐里子
写真家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒。クラシックカメラショップの店員を経て、写真の道へ。福島裕二氏に師事後、人物撮影をメインとし、雑誌・書籍・Webでの撮影・執筆など、さまざまなジャンルで活動中。
趣味はフィルムカメラを集めて、使うこと。 2020年3月に『フィルムカメラ・スタートブック』(玄光社)を出版。
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