ソニー α7CR|高画素と「AI」によるオートフォーカスの進化を得たコンパクトフルサイズ機
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はじめに
今回はコンパクトなフルサイズ機でソニー「α7C II」と同時に発売になった、高画素機「α7CR」を体験してみました。被写体認識が強化された次世代のAIAFシステムが搭載されたコンパクトな高画素機は、あらゆるシーンに対応できるスペックを持っています。ほぼ同じボディサイズ・ボディデザインの「α7C II」と多くの部分で共通仕様の「α7CR」ですが、高画素機を選ぶメリットはどういったところにあるのかも含めて紹介したいと思います。
ソニー α7CRの特徴と魅力
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「α7CR」は、「α7C II」と同時に発表された画素数約6100万画素の高画素機のカメラです。外観やボディサイズは共通で、画素数と測距点数以外は同じ仕様になっています。コンパクトなフルサイズ機で、より高画素のカメラを求めるユーザーにマッチしています。
また同じ高画素の「α7R V」とも非常に似た仕様になっています。「α7R V」との大きな違いは外観・ファインダー倍率・メディアスロット数などが挙げられます。
「α7CR」と「α7C II」、「α7R V」との簡単な仕様の比較を一覧にしてみました。
α7CR | α7R V | α7C II | |
発売日 | 2023年10月13日 | 2022年11月25日 | 2023年10月13日 |
センサーサイズ | フルサイズ | フルサイズ | フルサイズ |
センサー | Exmor R CMOSセンサー | Exmor R CMOSセンサー | Exmor R CMOSセンサー |
有効画素数 | 約6100万画素 | 約6100万画素 | 約3300万画素 |
画像処理エンジン | BIONZ XR | BIONZ XR | BIONZ XR |
手ブレ補正 | 光学式5軸ボディ内手ブレ補正7.0段 | 光学式5軸ボディ内手ブレ補正8.0段 | 光学式5軸ボディ内手ブレ補正7.0段 |
瞳AF / 被写体認識AF | [静止画] 人物/ 動物/鳥/昆虫/車・列車/飛行機 [動画] 人物/ 動物/鳥/昆虫/車・列車/飛行機 |
[静止画] 人物/ 動物/鳥/昆虫/車・列車/飛行機 [動画] 人物/ 動物/鳥/昆虫/車・列車/飛行機 |
[静止画] 人物/ 動物/鳥/昆虫/車・列車/飛行機 [動画] 人物/ 動物/鳥/昆虫/車・列車/飛行機 |
フォーカス検出方式 | ファストハイブリッドAF (位相差検出方式 / コントラスト検出方式) | ファストハイブリッドAF (位相差検出方式 / コントラスト検出方式) | ファストハイブリッドAF (位相差検出方式 / コントラスト検出方式) |
測距点数 | 静止画時: 最大693点 (位相差検出方式) 静止画時 |
フルサイズ時: 693点 (位相差検出方式) APS-Cレンズ装着時 567点 (位相差検出方式) |
静止画時: 最大759点 (位相差検出方式) |
検出輝度範囲 | EV-4 – EV20 (ISO100相当、F2.0レンズ使用) | EV-3 – EV20 (ISO100相当、F2.0レンズ使用) | EV-4 – EV20 (ISO100相当、F2.0レンズ使用) |
ファインダー | 1.0 cm (0.39型)電子式ビューファインダー (XGA OLED) | 1.6 cm (0.64型)電子式ビューファインダー(Quad-XGA OLED) | 1.0 cm (0.39型)電子式ビューファインダー (XGA OLED) |
ファインダー総ドット数 | 2 359 296 ドット | 9 437 184 ドット | 2 359 296 ドット |
最大ファインダー倍率 | 約0.70倍 | 約0.90倍 | 約0.70倍 |
モニターサイズ | 7.5 cm (3.0型) TFT駆動 | 8.0 cm (3.2型) TFT駆動 | 7.5 cm (3.0型) TFT駆動 |
モニタードット数 | 1 036 800 ドット | 2 095 104 ドット | 1 036 800 ドット |
RAW出力形式 | ロスレス圧縮・圧縮 | ロスレス圧縮・圧縮 | ロスレス圧縮・圧縮 |
記録メディア | SLOT1:SD (UHS-I/II対応)カード | SLOT1・SLOT2: SD (UHS-I/II対応)カード、CFexpress Type Aカード用マルチスロット | SLOT1:SD (UHS-I/II対応)カード |
連続撮影 | Hi+: 最高約8コマ/秒 | Hi+: 最高約10コマ/秒 | Hi+: 最高約10コマ/秒 |
バッテリー | NP-FZ100 | NP-FZ100 | NP-FZ100 |
静止画撮影可能枚数 (CIPA規格準拠) |
ファインダー使用時:約530枚 液晶モニター使用時:約560枚 |
ファインダー使用時:約440枚 液晶モニター使用時:約530枚 |
ファインダー使用時:約530枚 液晶モニター使用時:約560枚 |
質量(g)(バッテリーとメモリカードを含む) | 514g | 723g | 514g |
ボディサイズ | 124.0(W)x71.1(H)x63.4(D) | 131.3(W)x96.9(H)x82.4(D) | 124.0(W)x71.1(H)x63.4(D) |
USB端子 | USB Type-C | USB Type-C | USB Type-C |
画作りのプリセット | クリエイティブルック | クリエイティブルック | クリエイティブルック |
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カメラ上部では、「静止画/動画/S&Q切り換えダイヤル」が独立したスイッチになり、「α7 IV」や「α7R V」と同様な操作方法になっているのですが、なぜか切り替えパターンが「α7 IV」や「α7R V」とは逆になっているので、残念ながら同時に使用するユーザーは少し戸惑ってしまうポイントです。
「α7CR」に搭載されたメディアスロットは、他のα7Cシリーズ同様のシングルスロットです。SD (UHS-I/II対応)カード用スロットで、UHS-IIにも対応していますが、6000万画素を超える高画素カメラですので、より高速な読み書きができるCFexpress Type Aカードが使える、SD (UHS-I/II対応)カード+CFexpress Type Aカード用マルチスロットを搭載してほしかったところです。
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「α7CR」はイメージセンサーのアンチダストに対応しています。カメラの電源OFF時にシャッターを閉じることもでき([電源OFF時のシャッター][入]設定)、レンズ交換の際にゴミやほこりがイメージセンサーに付着しにくくなりました。レンズ交換を頻繁にするユーザーにはありがたい機能です。
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AIによるオートフォーカス性能
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「α7CR」は「新開発AIプロセッシングユニット」を搭載しており高精度な被写体認識が可能です。画像処理エンジン「BIONZ XR」の高速処理とあわせてオートフォーカスの精度が大きく向上しています。実際に使ってみると、従来からある人物・動物の瞳AFに関して、AIプロセッシングユニットを搭載していない機種と比べると、明らかにAFの食いつきが良くなっている事を実感できました。
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これだけ認識対象が増えると切り替えるのも面倒ですが、使わない対象は選択切替から非表示にする事も可能なので、普段撮影しない撮影対象を非表示にしておくと撮影の際にスムーズに切り替える事ができます。
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横浜みなとみらいスナップ撮影
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■撮影環境:シャッター速度1/2000秒 絞りF4 ISO1000
焦点距離52mm
小型高画素フルサイズの「α7CR」を持って横浜みなとみらいをスナップ撮影してみました。昼間の撮影は、標準ズーム域のGレンズ「FE 24-105mm F4 G OSS」を装着して撮影。小柄な「α7CR」のボディには、フィルター径77mmの「FE 24-105mm F4 G OSS」はやや大きめに感じます。標準レンズとして使用するにはバランス的に、もう少し小型の「FE 20-70mm F4 G」のレンズの方がマッチすると思われます。
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■撮影環境:シャッター速度1/200秒 絞りF5 ISO200
焦点距離92mm
撮影をしていた日には、ちょうどハンマーヘッドの脇に「海王丸」と「日本丸」の二隻が係留していました。帆船を二隻まとめて撮影できるとはラッキーな一日でした。さすが高画素の「α7CR」とGレンズの描写力は見事です。帆船のマストやロープの描写を拡大してみると非常にシャープに描写されており、高い解像感で表示されています。
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■撮影環境:シャッター速度1/320秒 絞りF11 ISO200
焦点距離69mm
その後夕方までぶらぶらと撮影しながら過ごしていましたが、日没になり暗くなってきたので軽くて明るい単焦点レンズにチェンジして撮影。最初にチョイスしたのはGレンズの「FE 20mm F1.8 G」です。このレンズは「α7CR」のボディに非常にマッチするサイズ感です。手ブレ補正効果も確認したかったのと気軽なスナップ撮影が目的なので三脚は使用せず、すべて手持ちで撮影をしてみました。
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筆者の感覚ではシャッタースピード2~3秒ぐらいなら手持ち撮影でもブレずに撮影することができました。最大7.0段の光学式5軸ボディ内手ブレ補正を搭載している効果は、手持ち撮影で十分に感じる事ができます。
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■撮影環境:シャッター速度2.5秒 絞りF13 ISO100
焦点距離20mm
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■撮影環境:シャッター速度3.2秒 絞りF16 ISO100
焦点距離20mm
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■撮影環境:シャッター速度1/30秒 絞りF1.8 ISO800
焦点距離20mm
20mmの焦点距離では少し広かったので、途中で焦点距離35mmの「FE 35mm F1.4 GM」にレンズをチェンジ。明るくて比較的軽い単焦点レンズなので、夜のスナップ撮影にはとても助かるレンズです。「α7CR」のボディ内手ブレ補正効果も十分に確認できたので、少し遅めのシャッター速度でも安心してISO感度を大きく上げることなく撮影をすることができました。
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■撮影環境:シャッター速度1/15秒 絞りF1.6 ISO400
焦点距離35mm
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■撮影環境:シャッター速度1/15秒 絞りF1.6 ISO800
焦点距離35mm
APS-Cモードで使う
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高画素機である「α7CR」は、フルサイズで約6100万画素の有効画素数を持っています。筆者が高画素機を使用するときによく使うパターンとして、フルサイズ用よりもコンパクトなAPS-C用のレンズを使用する事があります。実際に「α7CR」でAPS-Cモードで撮影した場合には、画素数は「6,240 x 4,160」ピクセルで記録され、約2,600画素のカメラとして使用する事ができます。
多少の違いはありますが、「α7CR」にAPS-C用のレンズを装着するとAPS-C機の「α6700」と同じような画素数のAPS-C機に近いものになります。
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今回は、APS-C用の望遠Gレンズ「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」を装着して浅草サンバカーニバルで撮影をしてみました。「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」は35mm換算で望遠端525mm相当の望遠レンズになります。フルサイズのレンズでこの望遠焦点距離を確保するレンズとなると、「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」に1.4倍のテレコンを装着するか、「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」などの非常に大きなレンズを持っていく必要が出てきます。
それに対して「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」は小型で軽いので、「α7CR」に装着しても非常に使いやすいサイズです。また人混みの多い中で大きなレンズを使うのも周りに気を使うので、「α7CR」と「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」の組み合わせは、人が多くあまり身動きができない限られた場所で撮影するには、非常に便利な組み合わせだと感じました。
下の写真は、「α7CR + E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」を片手で持って手を伸ばしながら撮影したものです。こんな撮影ができるのも、高画素機ならでは一面です。
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■撮影環境:シャッター速度1/500秒 絞りF8 ISO800
焦点距離350mm(35mm換算525mm)
「α7CR」に搭載されたAIプロセッシングユニットは、ディープラーニングを含むAI処理で、人物の骨格や姿勢などの詳細に基づいた人物認識をするので、以前の機種よりも人物の認識、瞳AFの精度がアップしています。動きの多いお祭りでも安心して撮影する事ができます。
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■撮影環境:シャッター速度1/800秒 絞りF8 ISO800
焦点距離172mm(35mm換算258mm)
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■撮影環境:シャッター速度1/2000秒 絞りF6.3 ISO800
焦点距離85mm(35mm換算127mm)
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■撮影環境:シャッター速度1/1600秒 絞りF6.3 ISO800
焦点距離153mm(35mm換算229mm)
今回は、あえてAPS-Cレンズ「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」を使用しましたが、もちろんフルサイズのレンズを使用した状態でAPS-Cモードで撮影する事も可能です。その際には焦点距離は1.5倍になり、画素数も約2600万画素での撮影になります。カスタムキーに「フルサイズ/APS-C切替」を割り当てておけば、瞬時に切替えすることも可能になり、高画素機ならではの撮影の幅が広がる方法で撮影できます。
まとめ
日常的に約6100万画素のデータを必要とするシーンは多くはありませんが、高画素機ならでは余裕がある事で、大きくトリミングできたり、今回紹介したようにAPS-CモードでコンパクトなAPS-C専用レンズを使用する事で、撮影機材全体を軽量コンパクトにできるメリットがあります。少しでも機材を軽くしたい登山などの移動の際や、海外旅行などでコンパクト機材を収納したい場合など、箱型で小型な「α7CR」は魅力的な機材になると思います。
■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師