ソニー α7R V レビュー|α史上最高の解像性能に感動したカメラ
はじめに
デジタルカメラが主流になり、自分が実際に使って初めて画質で感動したカメラが、ソニー α7R IIIです。
まるで4×5のフィルムで撮ったみたいだとビックリしたことを、昨日のことのように思い出します。
それ以降、α7Rシリーズはα7R IV、α7R Vと3代続けて愛用しています。
ソニーのフルサイズミラーレスは全てαの次にくる数字が一桁で、1と7と9があります。
α1は画質と高速性能を両立したフラッグシップモデル、α9は動体撮影を得意としたスピード系のカメラで、最新機種はα9 IIIとなっています。
そして、α7だけ4つのラインに分かれており、
【1】無印ベーシックモデルのα7シリーズ(現在はα7 IV)
【2】高感度に強く動画撮影を重視したα7Sシリーズ(現在はα7S III)
【3】軽量コンパクトなα7Cシリーズ(現在はα7C IIとα7CR)
【4】高解像モデルのα7Rシリーズ(現在はα7R V)
というラインアップです。今回はこの中で普段から私が愛用しているα7R Vをご紹介します。
解像性能の検証
高解像モデルであるα7R Vの解像性能を語るうえで自分の中のキーワードは、次の3つです。
・約6100万画素のフルサイズイメージセンサーによる緻密な描写
・ローパスフィルターレス仕様のクリアな解像感
・G Masterをはじめとするα純正レンズの高い光学性能
それでは、ここから、解像性能の検証結果をみていただきます。
▼トリミング拡大して確認
高感度とダイナミックレンジの検証
かつて、高解像モデルのカメラは高感度とダイナミックレンジに難がありましたが、それを覆したのがα7Rシリーズではないかと僕は思っています。
しかし今でも、高解像モデルのカメラはISO感度を上げたときの画質は大丈夫かと心配している人、ダイナミックレンジが狭いのではないかと疑問に思っている人もいるかと思いますので、ここではISO感度を上げたときの写真2枚と、ダイナミックレンジに問題がないかどうかテストした写真1枚の合計3枚の検証結果を見ていただきます。
▼ISO3200で撮影
▼ISO4000で撮影
▼ダイナミックレンジをテスト
ボケが柔らかで、なめらか
カメラがいくら高解像でも、レンズがカメラについてくることができなければあまり意味をなしませんので、ここではレンズの描写性能、とりわけボケについて検証します。
どのようなメーカーのどのようなレンズでも、近年のレンズは極めてシャープに像を結ぶものがほとんどで、解像力に問題があるレンズはないのではないかとさえ思うほどです。
しかしながら、ボケについてはそうはいかず、ボケ描写が硬くて残念に思うレンズもあるのが現実です。ではαのレンズとα7R Vの組み合わせでボケはどうなのか、以下結果を見ていただきます。
リアルタイム認識AF
認識対象を動物/鳥、動物、鳥、の3つのうちのいずれかを選択した場合も、瞳以外の部位も認識できるようになったので、かつての瞳AFは認識AFと呼ばれるようになりました。
α7R Vは専用のAIプロセッシングユニットを搭載しており、認識できる鳥の種類が増え、これまでは認識できなかった姿勢でも認識できるようになり、AF精度が大幅に上がりました。
以下、結果をご覧ください
AFの追従性能
その昔、複雑な背景で鳥の飛翔シーンを撮ると、ピントが背景に引っ張られることが少なくありませんでした。ですが今の時代、狙っている鳥の次の動きが読めていることが大前提ではありますが、α7R Vで撮れば、そのようになることはまずありません。
フォーカスモードをAF-Cにセット、AF時の被写体認識を「入」にして、認識対象を「鳥」に、認識部位は基本的には瞳にします。この設定で、フォーカスエリアを鳥の全身が入る大きさにしておけば基本的にはOKで、ターゲットの鳥を追従し、ピントを合わせ続けてくれます。
昔だとAFが外していた条件で追従性能のテストをしましたので、結果をご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。α史上最高の解像性能を謳うα7R Vは、高解像であることはもちろん、高感度でも低ノイズでダイナミックレンジが広いカメラです。そして、専用のAIプロセッシングユニットが搭載されたリアルタイム認識AFは、認識した被写体に確実に合焦してくれます。
実勢価格で50万円弱と決して安くはないですが、それだけの値打ちがあるカメラであり、野鳥だけでなくどのような被写体を撮る人にもおすすめしたい1台です。
■写真家:山田芳文
「100種類の鳥よりも1種類を100回」をモットーに野鳥を撮り続ける。ライフワークは鳥がいる風景写真。主な著書は『写真は「構図」でよくなる!すぐに上達する厳選のテクニック23』(エムディエヌコーポレーション)、『やまがら ちょこちょこ』(文一総合出版)、『SONY α6600 基本&応用撮影ガイド』(技術評論社)など。 最新刊は『SONY α7 IV 完全活用マニュアル』(技術評論社)。