ソニー E 11mm F1.8 レビュー|葛原よしひろ
はじめに
今回はSONYから発売された広角単焦点レンズ、E 11mm F1.8(SEL11F1.8)をレビューします。このレンズはSONYのAPS-C Eマウント用レンズになります。SONYは最近APS-C用のレンズを立て続けに発売しており、フルサイズ用のラインナップに対して少し寂しかったAPS-C Eマウントユーザーには嬉しい状況ですね。
箱から出しての第一印象ですが、やはり凄く小さい!!最近のレンズはフルサイズ用でもミラーレス化によって小型軽量化しているのですが、APS-C用となると更に小さくて軽いです。11mmなのでフルサイズ換算では16.5mm相当の画角になりますので、超広角の開放F1.8という明るいレンズがこの大きさに収まることが驚きです。早速、私の手持ちのSONY APS-CボディZV-E10に装着してみたのですが、シンプルでスマートな雰囲気がカッコいいです。
風景撮影で大活躍する1本
超広角を活かして、先ずは滋賀県高島市で風景撮影をしてみました。撮影日は晴天に恵まれ、広い画角で写し撮るのに絶好の青空が広がっていました。そして、田んぼには緑の稲が育っておりメタセコイヤ並木とのグリーンな共演が映えてくれるシチュエーションでした。
実際に撮影した画像を見てみると、青空のグラデーションやグリーンの部分の濃淡等、発色が素晴らしくAPS-Cでもここまで写るのだと感心しました。
暫く高島市をブラブラ廻りながらスナップ撮影してみました。撮影していると凄く感じたのですが、やはり軽いって大切ですね。ZV-E10との組み合わせは本当に軽くて、スナップ撮影には大切な取り回しの良さと軽快感があり、テンポ良く撮影することが出来るので撮影が楽しくなります。
私は太陽の光芒を構図に取り入れた撮影が好きなのですが、光芒の形はズームレンズより単焦点の方がシャープに出ることが多いので、こういった撮影では出来れば単焦点を使いたいと思っています。
ただ、がっつり撮影でも無い時は殆どの場合、広角はズームレンズを選んでいます。しかし、このレンズの大きさと重量なら、1本足してカメラバッグに入れても気にならないと思うので、光芒用に持ち歩くのも有りですね。
厳かな雰囲気で、お気に入りの神社での1枚です。画像の隅に写っている灯篭を見て頂くと、ほんの少し流れてはいますが解像はしており、フルサイズ換算で16.5mmということを考えると、私としては十分に許容範囲だと思います。
先程の写真の階段部分から社を少し見上げる形で撮影してみました。広角レンズ特有の奥行感を出しての構図です。柱や天井部分の木部の質感の違いも描写されていて、解像力はとても良いレンズだと思います。
この竹林の小径も、私のお気に入りの撮影スポットです。この日は風が強く小径に覆いかぶさるほど大きく揺れていたので、シャッタースピードを1/2000秒に上げて1番揺れている竹をトラッキングAFに設定して撮影してみたのですが、ピントを外すことなく撮影することが出来ました。
動画にも最適なレンズ
因みに、この動画はジンバル無し手持ち撮影なのですが、苗の揺れ方を見て頂くと解かる通り、かなりの強風の中での撮影です。この組み合わせだと小型軽量なレンズがボディ側の手振れ補正機能を活かし易いので、何とか撮影することが出来ました。フォーカス音や、その他の駆動音も殆ど感じることは出来ないくらい静かに正確に合焦するので、動画撮影にも使いやすいレンズでした。
ポートレートでも活躍!
広角ポートレートも撮影してみました。周辺の解像度を考えると流石に顔を四隅近辺に持っていくのは難しいですが、画像の中央部に構図する場合は問題なく撮影することが出来ました。追いかける瞳AFもバッチリ可動してくれるので、ファインダーの無いZV-E10に装着しても安心してピントは機材任せで撮影可能でした。
更に背景の高架をダイナミックに取り入れての1枚ですが、迫力のある広角ポートレートになったと思います。
バストアップで使用しても、歪みが気になるほどは出ないので、積極的に超広角ポートレート撮影に使う事が可能なレンズという印象でした。
おわりに
最後にレンズ外観の写真を見ながら、まとめさせて頂きます。
シンプルながら必要な機能はキッチリと搭載されており、ボディ装着時のバランスの良さも含め、レスポンス良く稼働してくれるので、機能性と機動性に優れた素晴らしいレンズという印象でした。
■写真家:葛原よしひろ
ジャンルに捉われず何でも撮影するマルチプレイヤースタイルの写真家。カメラメーカー等の写真セミナー講師としても全国的に活動している。大阪芸術大学写真学科卒/滋賀県高島市公認フォトアドバイザー/JPS(日本写真家協会)正会員