はじめに
2021年5月28日に発売されたSONY FE 14mm F1.8 GM。焦点距離14mmの超広角単焦点のソニー Eマウント用レンズであり、その最大の魅力は開放値F1.8の明るさで重量が約460gという小型・軽量設計という点です。
開放絞りF1.8から画面周辺部まで緻密に描写する解像性能と美しいぼけ味、高いAF性能を備え、新たな視点から世界を映し出す大口径超広角単焦点G Masterレンズを早速使ってみました。
ソニー FE 14mm F1.8 GMの魅力
この「FE 14mm F1.8 GM」レンズの購入を検討する場合に真っ先に比較検討になるのは、シグマ「14mm F1.8 DG HSM | Art」となるでしょう。
SONY FE 14mm F1.8 GM
SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art
そこで基本的な要素を比較してみました。
SONY FE 14mm F1.8 GM
SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art
焦点距離
14mm
14mm
画角
114°
114°
レンズ構成
11群14枚
11群16枚
開放絞り
F1.8
F1.8
最小絞り
F16
F16
絞り羽根
9枚
9枚
最短撮影距離
25cm
27cm
最大撮影倍率
0.1倍
0.1倍
外形寸法 最大径×長さ
83mm×99.8mm
95.4mm×152mm
最大撮影倍率
0.1倍
0.1倍
重量
460g
1230g
こうやって比較してみると、レンズの枚数、最短撮影距離こそ違いますが基本的な構造の違いはなく、大きな違いは本体サイズと重量です。長さに関しては約2/3の長さ、重量においては半分以下という圧倒的な軽さを実現していることに驚かされるレンズです。
また「FE 14mm F1.8 GM」には、絞りリングがあります。右手でカメラ側の絞りをコントロールしなくても、左手で絞りリングをコントロールしながら絞りを変更することができます。絞りリングクリック切り換えスイッチもレンズ右側にあり、切り替える事で絞りのコントロールのクリック感をON/OFFにすることができます。通常の静止画を撮影する場合は、絞りクリックをONにした方が絞りの変更する感覚がダイレクトにわかるので非常に使いやすいです。動画撮影する際には、このクリック感やクリック音が邪魔になり、スムーズな絞り変更ができないので絞りクリックをOFFすると良いでしょう。
実際に手に取ってみても、14mmの超広角レンズで明るさがF1.8という事が最初はなかなか実感がわきませんでしたが、カメラにレンズを装着してファインダーを除く14mmの世界を見るとそこには超広角の世界が広がり、カメラの大きさとレンズの大きさのバランスも良くてビックリするほど馴染みました。やはり軽いというのはとても重要な要素だと思います。
FE 14mm F1.8 GMで街中を散策スナップ
早速、FE 14mm F1.8 GMをαに付けて街中スナップをしてみました。14mmという画角を最大限に活かせるのは街中での風景撮影スナップが一番合うと感じたからです。
普段、街中スナップには小さくて使いやすい「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS」を使用する事が多いのですが、FE 14mm F1.8 GMは、この「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS」とほぼ同じようなサイズ(Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSSは最大径78mmx長さ98.5mm)なので、ほぼ同じ感覚で持ち運ぶことができます。
画角においては16mmよりも7度広い画角を有しているので、ビル群などの撮影にはとても有利なレンズになります。小ささも相まってカメラをブラさげながら街中を歩き回ってもまったく苦になりません。
まずは街中スナップに持ってこいの六本木、東京タワー、浜松町駅までをFE 14mm F1.8 GMで撮影しながら散策してみました。六本木のビルは超広角レンズにピッタリの被写体です。
■使用機材:SONY α1 + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:1/320秒 F10 ISO800 焦点距離14mm
■使用機材:SONY α1 + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:1/320秒 F10 ISO800 焦点距離14mm
FE 14mm F1.8 GMでできる最小絞りのF16まで絞るとハッキリとしたきれいな光芒を撮影する事ができ、四隅もきわめてシャープな解像を得る事ができています。
次にレンズの絞り開放値であるF1.8で、どの程度ボケ具合を出せるのか花壇にあった花を撮影して確認してみました。前ボケはもちろん背景のボケも流石絞り開放F1.8。近影では四隅が少し流れてしまっている感じはしますが、最短撮影距離25cmはこのレンズの魅力を引き上げてくれる大きな武器の一つだと思います。
■使用機材:SONY α1 + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:1/2500秒 F1.8 ISO800 焦点距離14mm
街中スナップでは引きが撮れない場所も多くありますが、14mmという超広角では場所の制限もなんなくクリアーできる感じです。
■使用機材:SONY α1 + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:1/60秒 F8 ISO160 焦点距離14mm
下の写真は太陽を直接画面内に入れた写真ですが、絞り羽根の枚数は奇数枚の9枚なので、光芒の線は倍の18本が出ています。
■使用機材:SONY α1 + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:1/160秒 F16 ISO160 焦点距離14mm
電車を待っている間に、新幹線を流し撮りしてみました。14mmという超広角レンズで流し撮りをしたのは初めてでしたが、電車の様な大きな被写体を比較的近距離から撮影するには、かなり面白い使い方ができるのではないでしょうか。
■使用機材:SONY α1 + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:1/20秒 F16 ISO200 焦点距離14mm
FE 14mm F1.8 GMで房総を散策スナップ
■使用機材:SONY α7R Ⅳ + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:1/100秒 F16 ISO100 焦点距離14mm
■撮影地:千葉県鴨川市 大山千枚田
FE 14mm F1.8 GMの最初の撮影は街中撮影でしたが、今度は房総半島で撮影してみました。筆者は、風景写真を撮影する際にはよくPLフィルターを使用するのですが、残念ながらFE 14mm F1.8 GMにはフィルターを装着することはできませんので、今回の撮影はフィルター無しですべて撮影をしています。そもそも14mmという超広角ではPLフィルターを使用すれば偏光ムラが発生するので、超広角レンズでは対応可能なアタッチメントと角型のNDフィルターなどで空の露出調整する対応が必要になってきます。今後、対応フィルターアタッチメントもフィルターメーカーから発売されてくると思われます。
■使用機材:SONY α7R Ⅳ + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:1/200秒 F16 ISO100 焦点距離14mm
■撮影地:千葉県南房総市 原岡海岸 岡本桟橋
超広角レンズと最短撮影距離25cmというスペックを活かして、旅の思い出も簡単に撮ることができます。
■使用機材:SONY α7R Ⅳ + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:1/200秒 F1.8 ISO200 焦点距離14mm
■撮影地:千葉県安房郡鋸南町 鋸山
ロープウェイに乗って、そこから鋸山の「地獄のぞき」を経由して1時間ほどアップダウンを繰り返し散策しましたが、こういった時には軽量レンズはとても助かります。
■使用機材:SONY α7R Ⅳ + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:1/250秒 F16 ISO400 焦点距離14mm
■撮影地:千葉県安房郡鋸南町 鋸山
■使用機材:SONY α7R Ⅳ + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:1/400秒 F14 ISO400 焦点距離14mm
■撮影地:千葉県安房郡鋸南町 鋸山
房総のぶらり旅の最後は富津岬。富津岬の先端にある展望台はよくロケにも使われている場所です。14mmの超広角は、余裕で展望台の全景を収める事ができます。
■使用機材:SONY α7R Ⅳ + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:1/100秒 F16 ISO200 焦点距離14mm
■撮影地:千葉県富津市 富津岬
富津岬では、shashaでも執筆している礒村さん と合流、展望台の上で2ショット撮影。狭い場所でも余裕で全身を入れながら撮影ができるのも超広角レンズのメリットです。
■使用機材:SONY α7R Ⅳ + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:1/2000秒 F5.6 ISO400 焦点距離14mm
■撮影地:千葉県富津市 富津岬
まとめ
FE 14mm F1.8 GMはF値1.8の超広角レンズでありながら、重量が約460gで小型というスペックはとても魅力的なレンズです。今回、街中スナップと自然風景を撮影してみて、FE 14mm F1.8 GMは絞った時にとてもシャープな印象を受けるレンズなので、直線基調な人工的被写体などにはとても相性が良いように感じました。
■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・日本風景写真家協会 会員
・NPO法人 フォトカルチャー倶楽部 参事
・一般社団法人 日本フォトコンテスト協会 理事
・一般社団法人 日本写真講師協会 理事
・ソニーαアカデミー講師
・クラブツーリズム写真撮影の旅・ツアー講師