ソニー FE 20-70mm F4 G レビュー|ペトグラファー 小川晃代
はじめに
1本で超広角~中望遠までをカバーするソニー FE 20-70mm F4 G。小型軽量なのでわんこ、にゃんこと遊びながらの片手持ち撮影も、わんこが元気いっぱいに遊ぶシーンも、美しい背景を入れたワイドな写真もこれ一本でOK。今回は撮影欲を満たしてくれるレンズのご紹介です。
1本でバリエーション豊富な絵作りが出来る
焦点距離24mm~や28mm~のレンズが多い中、今回は20mm~のレンズが登場。撮影していて改めてこの4mmの差が大きい事に気づかされます。
20mm、24mm、28mm、35mm、50mmで撮影。20mmでは照明までもが入り込むくらいの超ワイドでの撮影が可能。
今までなら超広角レンズに交換をして撮っていたようなシーンもバッチリ。
青空を大きく入れこんだ超広角ならではの広大な写真から、中望遠までを1本でカバー。様々な絵作りを楽しめるレンズです。
20mmで撮りたくなるのは、空の美しさと広大さを出せるから。わんこにぐっと近寄って下から見上げるように撮れば、わんこの存在感たっぷりの爽やかな作品が完成。
下は同じ場所でテレ端70mmで撮影したもの。先ほどの写真とはまた違う雰囲気に。写真下部に少しだけ入れた建物群のボケ味も良い感じ。
ワイド端とテレ端の作例を見ていただきましたが、ズームレンズは幅広い焦点距離の中から好きな焦点距離で撮れるのも魅力です。特にわんこにゃんこの動いているシーンを撮りたい時にはズームレンズが便利。撮影者は動かなくてもちょっとズームに、ちょっとワイドにと20〜70mmの中で最適な焦点距離で撮影できるので、良い瞬間を逃さずしっかりとフレームに収める事ができます。
寝そべったりしゃがんで撮影する事の多いペット撮影において、被写体の動きに素早く対応できるズームレンズはとても心強いです。
超広角で撮る作品
超広角は自分の目では見れない空間を表現する事が出来ます。何てことも無い空間も超広角の歪みが加わればその歪みが写真のアクセントとなり、ちょっと面白く写るので撮っていても楽しいです。
一般的に超広角レンズはボケにくいものですが、このレンズはワイド端20mmで撮影してもボケの出方のせいか、良い感じにボケてくれるように感じます。
にゃんこの目の位置よりも少し低い位置から構えて前ボケを入れると、私たちがにゃんこの私生活をこっそり覗き見しているかのような表現に。にゃんこの表情と大きなボケ味を強調した3分割構図で撮影しました。柔らかい光とナチュラルなボケが相まって優しい印象に仕上がった1枚。
テレ端のボケ味
被写体を引き立たせるためのボケ味はペット撮影においてとても重要な要素です。
FE 20-70mm F4 Gは開放値はF4通しのレンズなので、数値だけで見れば決してボケやすいレンズとは言えません。しかし実際に撮影して思ったのは想像以上に良くボケるという事。
こちらはわんこが遊んでいる所より少し離れた位置でカメラを構えテレ端で撮影したもの。背景がボケて被写体が引きたった1枚に。
小型軽量だから片手持ち撮影も!
元気なわんこにゃんこは遊びながら撮影をします。右手にカメラ、左手におもちゃを持って撮影するため、レンズの重量や最短撮影距離もとても重要です。
にゃんこ撮影の場合は猫じゃらしを使って撮影。ワイド端20mmの最短撮影距離は30cmだからペットにぐっと近づいての撮影が可能。猫カフェ店内が少し暗かったのでピント合わせも不安でしたが、その心配をよそにしっかりピントも合い、可愛い手が出た瞬間をとらえる事が出来ました。
こちらはボールをわんこの前に転がしたり、たまに奪ったりのボールの取りあいっ子を繰り返しながら撮影した1枚。カメラをローアングルで構えて撮っているので、出した前脚の肉球が見えているのがポイント。わんこの表情も伝わる1枚に。
まとめ
20-70mmF4Gレンズで撮影してみて、また新たな世界を見つけられた気がします。
ワクワクを見つけたい方や写真がマンネリしてきたという方も、是非このレンズでいつもとは違う写真表現にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
■写真家:小川晃代
トリマー・ドッグトレーナー資格を保持しペットやのら猫等小さな生き物撮影を得意とするペトグラファー。2006年に動物に特化した制作会社とペット&キッズ専門の写真スタジオ「アニマルラグーン」を設立。現在はカレンダーやカタログ、写真絵本の撮影をはじめ、写真教室の講師やペットモデルコーディネーターとしても活躍。『ゆるねこ×ブッダの言葉』(インプレス)、『ちいさいののちゃん』(講談社ビーシー)、『ねこもふ。ごーじゃす』『手乗りねこ』(宝島社)、『ねこの撮り方まとめました!』(日本カメラ社)、『こいぬ』『こねこ』(ポプラ社)、『ねこきゅう』(東京書店)などの写真集ほか、ペットカレンダーも多く手がけている。