小さく軽くボケはトロトロ / ソニー FE 24-50mm F2.8 Gレビュー
はじめに
この春、4月19日にSONY FE 24-50mm F2.8 Gが発売になった。開放F値2.8通しの大口径、小型軽量のGレンズとあり、待ってましたと声を上げるSONYユーザーも多い印象だ。
FE 24-50mm F2.8 Gの仕様について下記にまとめてみる。
□開放F値2.8通しの大口径レンズ
□大きさ:最大径74.8mm × 長さ92.3mm
□質量:約440g
□レンズ構成:13群16枚
□フィルター径:67mm
□最短撮影距離 AF時:0.19m(ワイド端)-0.30m(テレ端)、MF時:0.18m(ワイド端)-0.29m(テレ端)
□最大撮影倍率 AF時:0.30倍、MF時:0.33倍
□フォーカス・ズーム・絞りリングがあり、絞りリングはクリックが解除可能
□Gレンズならではの美しくやわらかなぼけ描写
筆者は、CP+のSONYブースでのトークショーにてSONY FE 24-50mm F2.8 Gについて作品を撮影して話したこともあり、このレンズについて、既に数か月の馴染みがある。特に、初めて使用したときの感想が印象的。言葉にすれば、「小さくて軽い。そして、寄れて、かなりボケる。」だ。北海道の流氷を撮りにこのレンズと向かったが、文字通り、小さくて軽くて、Gレンズならではの美しい描写力を発揮してくれた。動画撮影もしたが、小型軽量なのでとても快適に撮影できた。
筆者は普段FE 24-70mm F2.8 GM IIを愛用している。それに比べると、このFE 24-50mm F2.8 Gはとても軽い。はるかに軽い。FE 24-70mm F2.8 GM IIは質量約695g、FE 24-50mm F2.8 Gは約440g、その差255g。歩いて撮影していると、その軽さに嬉しくなる。それでありながら、力強いボケ描写力が有難い。FE 24-70mm F2.8 GM IIを買おうかどうか迷っていた、そんな方にもこのレンズの発売は吉報だろう。
さあ、春の撮影に出かけよう。
一路、京都へ。
春を撮る
京都の街を歩いていると、すれ違う人の8割が海外からの観光客のように感じる。特に、祇園などは9割以上がそう思えるくらい。多様な言語があちこちから聞こえてくる。このワールドワイドなる日本にまだ心が馴染めていないけれど、きっとこれからはずっとそうなのだろうなと思いながら街を歩く。
4月の半ばだというのに、街のあちこちに桜が咲いていた。
しだれ桜を広角側で上を見上げて上の方の桜にピントを合わせて撮影した。
レンズのすぐ近くの桜の花が柔らかくふわり、ボケた。
優しい。
さすがのGレンズの描写力。
流れる川の脇にも、桜、ゆらり。
新緑が、美しい。
ピントを奥に、桜に合わせて印象を遊んでみたり。
小さいボディながら強力なボケ描写力。
さすが、Gレンズ。
広角側・望遠側で撮る
焦点距離が24mmから50mmとあり、キットレンズでついてくる標準ズームレンズの焦点距離28mmだと撮れない広角の部分が撮れるのは嬉しい。標準ズームレンズから一歩上の写真を撮ってみたい、そんな方にもおススメだ。
焦点距離24mmで撮影
焦点距離50mmで撮影
焦点距離50mm+APSCサイズにクロップして撮影
最大望遠は焦点距離50mmなので、ズームレンズとしては、ズーム幅が少し物足りないかなと思うかもしれない。そんな時は、カメラボディ内のクロップ機能と組み合わせて撮影すると便利だ。APSCサイズにクロップすれば、周辺をトリミングする要領で焦点距離75mmで撮影したことになる。
次は、近くに寄れる被写体で撮影してみよう。
土手の脇にひっそりと咲いているお花を撮影。
まずは、広角側24mmで撮影。
焦点距離24mmのまま、少しずつ寄って撮影。
焦点距離24mmのまま、最短撮影距離でぐぐっと寄って撮影。
最後は、焦点距離24mmのまま、最短撮影距離、APSCサイズにクロップして撮影。
焦点距離24-50mmと聞くと、どちらかと言えば、広角側の撮影がメインになる印象を受けるが、このレンズが本領を発揮できるのは広々とした広角を表現するだけではない。先述したが、最短撮影距離はAF時0.19m(ワイド端)-0.30m(テレ端)、MF時0.18m(ワイド端)-0.29m(テレ端)だ。広角側でも、小さな世界をまるでマクロレンズで撮影しているかのような、迫力ある撮影が出来るのが、このレンズの強みでもある。
最短撮影を楽しむ
寄れて、ボケる。
そう先述したが、ググっと寄って撮影してみよう。
最短撮影距離にググっと被写体に寄って撮影、背景が遠い距離にあると、より強いボケ描写を生むことが出来る。
春に、ググっと。
美味いに、ググっと。
ボケがトロトロ。
筆者は、エアリー(airy:風通しが良い)という言葉をコンセプトに撮影をしている。使用しているレンズが被写体に寄って撮影できるかできないかは、大きな問題だ。寄れるレンズは、その分、ボケも大きく描写できることが多い。イコール、柔らかい空気感の写真が撮れるということになる。だから、寄れるレンズは、エアリーな写真を描きやすいということになるのだ。花に寄れる、ご飯に寄れる、などなど、最短撮影距離が短いことは、エアリーフォトにとって必須条件でもあるのだ。
夜を撮る
夜の街を歩いた。
美しいな、とシャッターを切った。
空はもう真っ暗だった。ISO感度を800に上げて撮影した。三脚は使わず、手持ちで撮影している。夜の撮影に三脚が必須だったのは、もう一昔前のことになる時代だ。
京都は夜も美しい。
いろいろな撮影を楽しむ
春の京都の街を歩く。
いろいろ撮影した。
春が溢れていた。
おわりに
FE 24-50mm F2.8 Gと京都を旅した。
小型軽量なそのボディからは想像できないくらいの美しさの描写力を見せてくれた。
先述したが、どんな方におススメなレンズかと言えば、
・キットレンズのズームレンズから一歩上の写真を撮りたい方
・ズームレンズだけれど小型軽量でフットワーク良く撮影したい方
・美しいボケ描写を楽しみたい方
・FE 24-70mm F2.8 GM IIを購入しようかどうか迷っていた方
こんな方々にぜひともおススメしたい。
撮影している間、ずっと思っていたことがある。筆者はFE 24-70mm F2.8 GM IIを持っているけれど、でも、このレンズFE 24-50mm F2.8 Gも欲しいなあ、と。ずっとそんなことを考えながら撮影していた。正直、小型軽量でありながらのこの描写力は、筆者にとって大きな驚きだった。
FE 24-70mm F2.8 GM IIよりも小型軽量なこのレンズFE 24-50mm F2.8 Gは、日常の中にある撮影によりその機動力を発揮してくれるのではないかと思う。例えばFE 24-70mm F2.8 GM IIは、旅に持っていくのに少しの気合が必要だ。実際、FE 24-70mm F2.8 GM IIを持っていくときは「よし、頑張ろう。」そう思う。仕事で必ず美しい写真を撮りたい、旅先で美しい写真を撮りたいなど、そういう強い気持ちと共に持っていくレンズだ。このFE 24-50mm F2.8 Gは小型軽量なので、カメラバッグにコロンと入れて持っていける。そんな気軽なレンズだと思う。持っていこうか行かないか、迷った結果持っていかない、そんなことがないレンズだと思う。便利だから、普段カメラに着けているレンズになる、そうなることも予想ができる。とにかく、小型軽量が有難い。
時代はどんどん小型軽量化に向かっている。一昔前は、撮影に行くと言えば、車いっぱいにカメラ機材、照明機材を積んで撮影先に向かっていた。今は、カメラもレンズも照明機材も驚くほどのスピードで小型軽量化している。今では、小さなキャリーケースに全て入れて、コロコロと運びながら電車で撮影地に向かうことが多い。
時代は変わる。
カメラも変わる。
レンズも変わる。
変わることを選ぶこと、
変わらないことを選ぶこと、
どちらを選ぶかは個人の自由。
筆者は、いいものはどんどん受け入れて、どんどん生かしていくのが理想的だと思っている。変われるのならば、どんどん変わって進んでいきたい。
街を歩いていると、桜の隣でハナミズキの花が咲いていた。
桜が咲き終わるとハナミズキが咲き出す、4月。
春は進んでいる。
素敵な春を、季節を撮影して欲しい。