ソニー FE 40mm F2.5 G レビュー|坂井田富三
はじめに
今回のレビューは、2021年4月23日にソニーから発売された3本のレンズ(FE 50mm F2.5 G、FE 40mm F2.5 G、FE 24mm F2.8 G)の内の1本「FE 40mm F2.5 G」です。どうしてこのFE 40mm F2.5 Gをセレクトしたかと言うと、筆者がよく撮影する室内猫撮影で50mm前後の画角のレンズを愛用している事と、24mm・35mm・50mm・55mmの単焦点レンズをすでに所有している為、必然的に持っていない画角40mmをセレクトして購入しました。
FE 40mm F2.5 Gは圧倒的な小型・軽量設計の鏡筒が魅力で、Gレンズならではの高画質と美しいボケ味を実現しています。そんなFE 40mm F2.5 Gを早速使ってみました。
FE 40mm F2.5 Gの魅力
このFE 40mm F2.5 Gレンズを検討する場合、やはり同時に発売された画角違いのレンズが気になるところです。そこで基本的な要素を比較してみました。
FE 50mm F2.5 G | FE 40mm F2.5 G | FE 24mm F2.8 G | |
焦点距離 | 50mm | 40mm | 24mm |
画角 | 47° | 57° | 84° |
レンズ構成 | 9群9枚 | 9群9枚 | 7群8枚 |
開放絞り | F2.5 | F2.5 | F2.8 |
最小絞り | F22 | F22 | F22 |
絞り羽根 | 7枚 | 7枚 | 7枚 |
最短撮影距離 | 31cm(AF時35cm) | 25cm(AF時28cm) | 18cm(AF時24cm) |
最大撮影倍率 | 0.21倍(AF時0.18倍) | 0.23倍(AF時0.2倍) | 0.19倍(AF時0.13倍) |
フィルター径 | 49mm | 49mm | 49mm |
外形寸法 最大径x長さ | 68mm x 45mm | 68mm x 45mm | 68mm x 45mm |
重量 | 174g | 173g | 162g |
こうやって比較してみると、流石に同時発売された3本が三兄弟と呼ばれるのがよく分かります。レンズの筐体デザイン、外形寸法も同じなので外観から識別できる違いは、レンズ筐体に刻印されているレンズ名だけです。
特に「FE 50mm F2.5 G」と「FE 40mm F2.5 G」は、レンズ構成も同じでかなり性格の似たレンズになるので、購入時には少し悩むかもしれませんね。
実際にカメラ本体にレンズを装着してみると、フルサイズのGレンズという事を感じさせない小さなレンズということを実感する事ができます。単焦点レンズとしては特別F値が明るいレンズという訳ではありませんが、それでもズームレンズよりも明るいF値を確保し、とても小さな筐体である事は大きな魅力です。
レンズフードの形状は、通常のよくあるフードとは違ってフジツボ形状のレンズフードになります。少し癖のある形のレンズフードなので、好みが分かれるかもしれません。実際に自分もあまりこの形状は好みではないので、保護フィルターを装着してレンズフード無しで使っていることが多いです。
同時に発売された3本のレンズの並んでいる比較画像はよく目にするので、自分が持っている画角の近い単焦点レンズを並べてみました。 こうやって並べてみると、FE 40mm F2.5 Gのサイズの小ささがよく分かります。
FE 40mm F2.5 Gで室内猫撮影
普段からよく50mmや55mmの単焦点レンズを使用している室内猫の撮影をFE 40mm F2.5 Gでしてみました。
実際に撮影してみると50mmよりも当然画角が広いので、室内などの狭い空間では撮影がしやすいと感じます。では35mmの画角だとどうかというと、自分にとっては少し画角が広く感じ、背景に余分なものが入ってしまう場合があるので、40mmの画角は自分の猫撮影のスタイルにマッチしていて非常に魅力的なレンズです。
実際に撮影したデータを確認してみると、さすがGレンズと言った描写力が見て取れます。絞り開放でもピントを合わせた部分はしっかりとシャープに映し出され、前後のボケも非常にやさしいボケ具合を醸し出しています。
ピントは動物瞳AFを使用して瞳に合わせているので、50mmのレンズ絞り開放F1.8などで撮影すると、瞳より手前の鼻の頭あたりはかなりボケてしまいます。一方で、40mmで絞り開放F2.5であれば、瞳にピントを合わせても鼻の頭のボケ具合が少し和らぐので、室内猫撮影には非常に相性のいいレンズではないでしょうか。
ボディが小さなα7Cとの組み合わせなら気楽に撮影を楽しむことができ、猫をなでながら片手での撮影も、レンズが軽量のため容易に可能です。
FE40mmF2.5 Gでお花撮影
今度は小さなフルサイズボディのα7CにFE 40mm F2.5 Gを着けて、バラ園に出かけてみました。FE 40mm F2.5 Gは小さい筐体なので、α7Cにピッタリのサイズ感でバランスよく気軽に持ってスナップ撮影するにはベストな組み合わせです。大きなカメラバッグではなく、普段使いのバッグに気楽に入れて持ち歩くことができます。
標準の画角40mmですが、最短撮影距離も短く(オートフォーカス使用時で28cm)、被写体に寄って撮影し、絞りを開けて撮ることにより背景は大きくボカすことができます。7枚羽根の円形絞りを採用しており、背景にできたボケの具合も素直で非常に使いやすさを感じます。
下の2枚の写真は同じ被写体を、絞りを変えて撮影した比較になります。絞りを開放から絞っていけば、大きなボケを自分好みにコントロールできるレンズです。レンズの筐体側に絞りリングもあることで、撮影の際に右手はレリーズに集中し左手の操作で絞りを変えながら撮影できます。
流石に広い風景を撮影するのは少し苦手なレンズにはなりますが、お散歩しながら気に入ったシーンを切り取りながら撮影するには楽しい画角のレンズです。
FE40mm F2.5 Gでカフェ撮影
お気に入りの古民家風のジャズカフェで、コーヒーを頂きながら少し撮影をしてみました。少し暗めのカフェではF値の明るい単焦点レンズはとても重宝します。また小さなレンズを付けたカメラは、カフェのテーブルに置いていても邪魔になりません。
まとめ
ズームレンズと違い単焦点レンズならではの、思い切った切り取り方で撮影するのはとても楽しいですね。何よりこのレンズは被写体に寄れる(最短撮影距離25cm ※AF時28cm)メリットがあります。
ズームレンズで調整するのでは無く、軽く小さい単焦点レンズのメリットを活かし自分が動いて構図を決めて撮影する。そんな撮影する楽しみを気楽にもたらしてくれるレンズに感じます。一か月ほど使ってみて、すっかりお気に入りのレンズになってしまいました。今ではα7Cに常に付けている状態です。
■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
FE 40mm F2.5 Gはこちらの記事でも紹介されています
ソニー FE 40mm F2.5 Gレビュー|山本まりこ
https://www.kitamura.jp/shasha/sony/fe-40mm-f2-5-g-3-20210515/