ギャップがすごい|ソニー FE 70-200mm F4 Macro G OSS II レビュー
はじめに
とっても軽くて小さい焦点距離70-200mmのGレンズが発売になった。しかも、すごく寄って撮れると、SONYユーザーがザワザワしたのは去年の7月のこと。FE 70-200mm F4 Macro G OSS IIが発売になり、それから、あっちこっちでこのレンズは使いやすいと聞く。
購入した人が口々に言うのは、
「すごく軽い。焦点距離200mmが撮れてこの軽さはすごい。」
「他にも望遠レンズを持っているけれど、コンパクトだから出番が多い。」
「望遠レンズなのに、マクロが撮れるのがすごい。」
ということ。
FE 70-200mm F4 Macro G OSS IIの仕様をまとめてみよう。
■大きさ:最大径82.2mm×長さ149mm
■質量:約794g
■最短撮影距離:0.26m-0.42m
■最大撮影倍率:0.5倍
■フィルター径:72mm
■レンズ構成:13群19枚
■ソニー製テレコンバーターSEL20TCおよびSEL14TCの装着が可能
従来機種FE 70-200mm F4 G OSSも軽くて使いやすいと思っていたけれど、後継機種であるFE 70-200mm F4 Macro G OSS IIは、さらに小型軽量化した。そして、ハーフマクロ撮影まで出来てしまう。マクロ撮影ではなく、最大撮影倍率が0.5倍なので、ハーフマクロ撮影ということになる。
質量794g(約800g)ってどのくらいかと考えてみる。調べてみると豆腐一丁が約400gだそうなので、豆腐二丁分くらいの重さということだ。いやきっと、400gのお豆腐は大きめのものだと思うけれど、焦点距離200mmのレンズでその軽さは、すごい。長さも149mmと、とても短い。
さらに、最短撮影距離がすごい。ワイド端(焦点距離70mm側)で、26cmまで寄ることが出来る。最短撮影距離と言いうのは、センサーからの長さになる。レンズの長さが14.9cmだ。フードを付けたら、もう、26cmなんて、フードのすぐ先になる。フード先すぐの距離でピントが合うのだ。そして、ハーフマクロが撮影できる。
これは、すごい。
私もぜひとも試したいと思い、旅のお供に持っていくことにした。
行く先は、北海道。
今か今かと待っていた流氷がやって来たというニュースが届いたから。
撮りに行こう。
飛行機で
飛行機に乗り込んで窓の下に広がる景色を眺める。
1月。
美しい雪景色が広がっていた。
リュックからFE 70-200mm F4 Macro G OSS IIを取り出して撮影してみる。
撮影しながらふと思う。
機内で、焦点距離200mmの望遠レンズを取り出して撮影しようなんて、今まで思ったことがなかった。そんなことは、思考の中に入ってこなかった。できれば小さめのレンズで、だけれども寄れるレンズで、機内食を撮ったり、窓の外の景色を撮ったり。でも、このFE 70-200mm F4 Macro G OSS IIは、望遠レンズにしてはとても小さい。そして、軽い。だから、「飛行機の機内で鞄から取り出して撮影しよう」という選択肢が生まれるし、ひょいっと取り出してフットワーク軽く撮ることが出来る。選択肢が一つ増えるレンズだなあ、そう思いながら、美しい雪の景色を撮影した。
北海道で
何度か流氷は撮影したことがある。
ニュースでは流氷が来ていると伝えているけれど、自分の目で見るまで納得できない。
ドキドキしながら北の大地に降り立ち、眺める。
流氷だ。
少し進むと、
見渡す限り、水平線のところまでずっと流氷が広がっていた。
ありがとう。
そう思いながらシャッターを切る。
水色と、白。
色数は少ないけれど、それぞれとても美しく描けるレンズだと、再生ボタンを押しながらうなずく。
野生の鳥を撮る
流氷の上に、ぽつりぽつりと鳥がいるのが見える。
オジロワシやオオワシ、そして、カモメなど。
遠くの方に、目で見たらぽつんと、例えるならばゴマ粒より少し大きいくらいに見える。
「多分つがいでしょう」と地元の方に教えていただいたオジロワシ。日本では天然記念物に指定されている鳥。
ひゅーうと飛び回るオジロワシやカモメをしっかりと、そして、気持ちよく追随してくれる。鳥や動物を撮るときは、設定をしっかりすれば、本当に簡単に撮れる時代になった。この時使用していたカメラはSONY α7C II。次世代のAIにより被写体認識力が従来のものより格段にアップし、鳥や動物などの追従が素晴らしく、撮影が驚くほど簡単になった。
α7C IIのボディとFE 70-200mm F4 Macro G OSS IIの組み合わせが爽快。AFが俊敏。
でも実はさきほどお見せした写真、下の写真たちをトリミングしているものである。
焦点距離200mmにクロップ撮影やテレコンバーターを組み合わせても、正直なところ「あとちょっと、あとちょっと望遠して撮りたい」という気持ちが強くあるのは否めない。でも、そんなときは、大きめに撮影しておいて、後でトリミングすることを考えてもいいのかもしれないと思いながらシャッターを切っていた。
筆者はいつも、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSレンズを愛用している。それに、2XテレコンバーターSEL20TCを装着することもある。だから、ボディ内のAPSCサイズクロップ機能を組み合わせて撮影したりすれば、焦点距離400mm×1.5倍(APSCサイズクロップ)×2倍(2XテレコンバーターSEL20TC)=1,200mm相当で撮影していることになる。それに比べると、やはりもう少し望遠で撮りたい気がするが、高画素のカメラでトリミングする方法で撮るというのも一つの手段だろう。
この時は、3300万画素のセンサーを持つα7C IIで撮影していたのであまり拡大してトリミングできなかったけれど、もっと高画素のカメラで撮影してれば、大胆なトリミングも大いに可能だと思われる。
それにしても、794gは軽い。
望遠レンズを抱えてずっと撮影していると、たまに、肩が…腰が…と痛くなるけれど、このレンズ、そんな気持ちに一切ならない。軽いなあ。
望遠側で流氷を撮る
望遠側で、流氷をいろいろと撮影した。
どこまでも澄んでいるようなその水の美しさに見惚れながら、シャッターを切る。
透明感が描けるレンズ、そう思った。
夕刻に
空が刻々とピンク色に変わり、キリっとした寒さになってきた。
どこまでも続く流氷が夕暮れ色に染まっていく。
ハーフマクロで撮る
宿泊した日の夜は、少し雪が降った。
次の日、外に出ると、少し積もった雪が美しく輝いていた。
そうだ。
と、雪に近づいていてみる。
いくつか、雪の結晶のようなものが見えた。
リュックからカメラを取り出し、グググっと寄ってみる。
キラリ、と雪の結晶が輝いていた。
フード先すぐそこの距離でピントが合う。
APSCサイズにクロップしているので、1.5倍で撮影しているということになる。
野生の鳥も俊敏に撮れて、雪の結晶もググっと寄って撮れる。
やっぱり、このレンズ、すごい。
ギャップが、すごい。
SONY望遠レンズ群との比較
ShaShaでは、今までいろいろなSONYの望遠レンズについて記事を書いてきた。
今回のレンズFE 70-200mm F4 Macro G OSS IIと合わせて、参考にしていただけたら嬉しい。
今まで書いてきた記事を比較して、どの望遠レンズを購入するか検討し、実際に購入したという方もいた。嬉しい。
筆者的に、どんな人にどのレンズが合うのか、というおススメを下記してみる。
「とにかく望遠レンズが欲しい。でも、できれば、美しい写真が撮りたい。」という方は、ソニーが誇るGMレンズFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIがおススメ。開放F2.8で描く被写体美を楽しんでほしい。
「野生の鳥や動物を撮りたい。そして、美しい写真が撮りたい。」という方は、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSがおススメ。やはり、焦点距離400mmを撮れるのは魅力的。筆者も愛用中。
「とにかく軽く、そしてリーズナブルに、ダイナミックな望遠の世界を楽しみたい。」という方は、FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSがおススメ。ソニーレンズ群の中で焦点距離300mmをカバーしながら、この軽さは魅力的。特に、軽さを求める女性に人気のレンズです。
「フットワーク軽く望遠の世界を楽しみたい。マクロの世界も楽しんでみたい。」という方は、今回のレンズソニーFE 70-200mm F4 Macro G OSS IIがおススメ。他の望遠レンズを持っていて、でももっと気軽に望遠レンズを楽しみたいという方に二本目の望遠レンズとしてもおススメ。筆者はFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSを愛用中だけれども、このレンズの小型軽量さ、撮れる範囲の幅広さに強い魅力を感じている。正直、とっても、欲しい。二本目の望遠レンズとして、ものすごく欲しい!
おわりに
鳥が撮れて、雪の結晶が撮れる、ギャップがすごいFE 70-200mm F4 Macro G OSS II。
流氷の世界をフットワーク軽く撮影することができて、とても楽しかった。
これから季節は春に向けてぐぐっと進むころ。
サクラももうすぐ。
お花を望遠レンズで撮影するのもとても楽しい。
ぜひFE 70-200mm F4 Macro G OSS IIを手に取って、試してほしい。
■写真家:山本まりこ
写真家。理工学部建築学科卒業後、設計会社に就職。25歳の春、「でもやっぱり写真が好き」とカメラを持って放浪の旅に出発しそのまま写真家に転身。風通しがいいという意味を持つ「airy(エアリー)」をコンセプトに、空間を意識した写真を撮り続けている。