「花火を使った夜のポートレート」撮り方のコツ|あらまこと
はじめに
こんにちは。フォトグラファーのあらまことです。
今年の夏は、とても暑い日々が続きましたね。
私はそんな暑さがちょっと苦手でして、
夏の撮影は体調に相当気を遣いながら撮影してきました。
そんな夏と相性が良いと思う撮影方法が、
花火と一緒にポートレートを撮影する花火ポートレートです。
こちらは、夏の暑さを回避しつつ
夏らしい花火を使った印象的な撮影ができるため、
季節感や光の煌めきを表現したいときには
うってつけの撮影方法になります。
こちらの撮影をする際の準備するものや注意点を解説しつつ、
どうやったらうまく撮影できるのかといった
ポイントを紹介していきたいと思います。
どんな花火を選んだらいいか
花火ポートレート撮影で重要な事は、モデルさんが
持つ花火の光で、自身をうまく照らしてくれる場所に
花火を持ってこれるかになります。
これには少し練習を行い風を読んで撮影する必要があります。
風の方向によって、火花が飛んできて危ない場合が
ありますので、そうならないようにタイミングをはかって
安全に撮影する必要があるからです。
そこで、花火ポートレートでは
タイミングをはかる時間を確保するためにゆっくり撮影しても
火が消えない、燃焼時間の長い花火がとても重宝します。
ここでのポイントは「燃焼時間が1分くらいの花火を選ぶ」ことです。
物によっては2分くらい燃焼する物もあるのですが、
燃焼時間があまりにも長いと燃えカスが目立ってしまい、
写真の見栄えを損ねてしまうため1分くらい燃焼するものが
ちょうどいい花火になります。
また、花火を選ぶ際のポイントとして煙の少ない花火を
使用することもポイントになります。
一度花火ポートレートを経験された方なら分かるかもしれませんが、
花火の煙が邪魔で顔が見えなくなったり、
背景が映らなくなったりすることが結構あります。
これを回避するためにも、そもそも花火の煙がほとんどでない
花火を使用することはとてもメリットになります。
最近は花火屋さんだけでなく、玩具屋さんなどでも
煙の少ない花火を売っていたりするので購入する際に、
煙少なめのものを選んでおくと
とても撮影がしやすくなると思います。
続いてのポイントは、
花火の色はオレンジ色のものを選んでおくことです。
これは写真の編集をされる方は、なんとなくお気づきかと
思いますが、カラフルな花火は色味の編集がやりにくいので、
仕上げのし易さから考えても、オレンジ色の花火はとても扱いやすく
一度色を調整すれば、大体あとは微調整で済みます。
よく売っている花火はとてもカラフルなものが多く
七色に光る花火なんかもあると思います。
これは普通に花火を楽しむならとても綺麗なのですが、
撮影で使用する際は自分の好きな色味に仕上げたいことが
多いと思いますので、シンプルな色の方が使いやすいと思います。
そのため、花火を選ぶ際はあまりカラフルなものではなく、
黄色やオレンジの炎色の花火を購入することをお勧めします。
続いて着火方法のおすすめですがポートレートの場合は、
ろうそくにつけておいて準備する必要もないと思いますので、
チャッカマンがいいかなと思います。
ライターは風が強いとなかなか難しいので、
なるべく火力の強いチャッカマンがおすすめです。
ターボ式と書いてあるチャッカマンは比較的
風にも負けにくいのでさらに良いかと思います。
これまでおすすめしてきた物は、花火屋さんに行くと
全て揃うことが多いので、
どこで買ったらいいかわからない場合は
近くの花火屋さんを調べてみるといいと思います。
近くにない場合も、通販で今は取り寄せできるので
インターネットで探してみてください。
顔に光を当てよう
花火ポートレートのように夜撮影する場合に
気をつけなければいけないことは、
なるべく被写体を明るくして撮影する
工夫をしなければいけません。
そこで意識すると良いポイントは、
花火の光がなるべく顔を照らしてくれるような
ポーズをモデルさんにとってもらうことです。
具体的には、モデルさんに顔の前あたりで
花火を構えてもらうようにすると顔が明るくなります。
私は、なるべく顔にかかる影を利用してコントラストを
つけるのが好きなので、顔の横あたりから光が顔に
当たるようにして撮影することが多くなります。
このように撮影すると、モデルさんの顔半分が明るく、
もう半分を暗く撮影ができるので、
印象的なイメージに仕上げたい時によく利用しています。
事前に練習を挟もう
モデルさんの顔を花火の光で照らす際は、
火の粉が衣服や顔にかからないようにするため、
実際の撮影に入る前に
何回か練習を挟んでから実施してください。
こちらの練習を行う時間も考慮して、
日没30分前には撮影を開始すると良いと思います。
まずは周りが明るく見える状況で花火の扱いに慣れてもらったら、
周りの明るさがだんだん暗くなってくるので、
日が沈んで周りが青紫色に変わってきたタイミングから、
実際に本番の撮影をはじめる感じの流れで進めていくと
スムーズかと思います。
85mm以上のレンズで撮影しよう
次のポイントとして、なるべく中望遠域以上の焦点距離のレンズを使用して
花火の撮影を行うことをおすすめしています。
具体的にお伝えすると、フルサイズのカメラで
85mm以上のものを選ぶといいと思います。
何故かと言うと、私がおすすめした顔の前で花火をしてもらう方法で
撮影すると、モデルさんに火の粉がかからない風向きでの撮影となり、
反対側にいるカメラマンの方に火の粉が飛んでくることがよくあります。
その火の粉がカメラや自分自身にかからないように
なるべくモデルさんから距離をとって撮影をする方が安心なので
85mm以上の焦点距離のレンズを使用することをおすすめしています。
ISOは思い切ってあげておこう
露出を上げてなるべく明るさを確保して撮影した方が仕上げが容易で
失敗が少なくなると思いますので、ISO感度は事前に上げた状態で
撮影することをおすすめします。
今回の撮影では周りの明るさに合わせて、ISO2500くらいで
撮影しつつ、花火の種類によって微調整して撮影を行なっています。
私の経験上、ISO感度をかなり上げた状態で撮影する時のノイズ感と、
ISO感度をあまり上げないで、後で編集して明るくした写真ですと、
花火撮影の場合は前者の方が綺麗に仕上げやすかったので、
思い切ってISOを上げて撮影することをおすすめしています。
レンズフィルターを使ってみよう
花火撮影をするにあたり、表現の幅を広げてくれるアイテムとして
ソフトフィルターやクロスフィルターが挙げられますが、
私はブラックミストフィルターとクロスフィルターをおすすめしています。
ブラックミストフィルターをつけて撮影すると、
光源の周りがフワッと滲んだような表現をしてくれるため、
花火撮影の際に使用するとまるで魔法を使っているかのような
表現を作ることができるのでよく利用しています。
クロスフィルターをつけて撮影した場合は、
光源の周りをキラキラと輝かせることができます。
このクロスの本数はレンズフィルターに依存するのですが
私は二本線、もしくは一本線のクロスフィルターを使用するのが好みです。
と言うのも、クロスの本数が多ければ多いほど
表現としてはかなり目立ってくれるのですが、
その分、主張が強くなるのでその塩梅も踏まえて
こちらの本数くらいのものを利用するのが個人的に良いかなと思っています。
またクロスフィルターには少し光をフワッとさせる効果もあるので、
先ほどのブラックミストほどではありませんが、
印象を柔らかくすることも可能です。
まとめ
花火撮影では、とにかく準備がとても大切になってきます。
まずは安全を確保するために、練習をしつつ
風の向きなどを考慮して怪我しないように撮影に望んでください。
またバケツやゴミ袋を準備して火の始末とごみの処理も忘れずに。
夏の終わりに、夏の風物詩である花火で
素敵な写真を残してみてはいかがでしょうか?
■モデル:矢島美音(Yazima Minon)
Twitter(@Y_Minon2001)
instagram(minon_722)
■写真家:あらまこと
神奈川県生まれ。関東を拠点に活動。ポートレート、スナップを中心にファッションや広告案件、出張撮影でのウェディング撮影などで活動している。SNS総フォロワー6万人以上を有し、SNSでの発信力を活かしながら写真活動の幅を広げている。