はじめに
こんにちは!フォトグラファーの鈴木啓太|urbanです。長年オールドレンズやフィルムを中心にポートレート、スナップ、家族写真を撮影しております。今回は全2回に渡って紹介する、SONYミラーレスカメラシリーズを使った家族写真の撮り方の紹介です。
第2回目は軽量、コンパクトで写真も動画もしっかり撮影できるソニーのVLOGCAM ZV-E10 IIと2本のキットズーム(E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS II、E 55-210mm F4.5-6.3 OSS)に加えて、軽量ボディをより手軽に使える単焦点レンズE 20mm F2.8を使った撮影方法を紹介していきます。
前回紹介したα7C IIとは異なるアプローチで紹介しますので、是非併せてご覧ください。
※今回の作例はクリエイティブルックを設定したjpeg撮って出しとなります。
子どもとの日常を撮影するのに重要なコンパクトさ
子どもとの日常を逃さずに、その一瞬一瞬をカメラに収めるためには常にそのカメラを身に着けておく必要があります。常に子どものオムツやお菓子、水筒などカメラ以外に沢山の荷物で移動しなければならない、パパママ世代にはこれが一番難しいのではないでしょうか。
そんな中、質量約377gとαシリーズの中でも最軽量クラスとなるボディは我々パパママ世代の強い味方。しかも今回紹介する新型ズームレンズ、E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS IIはレンズ単体で約107g、ZV-E10 IIとのトータルで約484gとペットボトル1本分よりも軽く、持ち出す機会を格段に多くしてくれる組み合わせです。
より大きなボケが欲しい!と言う方は、E 20mm F2.8との組み合わせも抜群。こちらはズームができないレンズですが、その分写りの良さやボケの大きさは際立っています。レンズの厚みもE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS IIの31.3mmと比較し10mm程度薄い20.4mm、そして質量はなんと約69gと、とても相性の良いレンズの1つ。特にこれらはレンズが薄く、グリップを握ってもレンズだけ極端に飛び出したように見えないのも良いところです。
この特徴は首にカメラをかけられない時でも、リュックのサイドポケットやベビーカーの小物入れなどにもスッとしまうことができ、かつ取り出しやすいなど見かけ以上にメリットを感じていただけると思います。レンズが長いと、小さな子どもの頭や眼にあたってしまうなどの危険性もありますので、僕個人としてもこういった薄型レンズは日常遣いに適していると感じています。
動きのあるシーンもお任せ!上位機種に匹敵するオートフォーカス性能
今回使用したZV-E10 IIは、前回紹介したα7C IIとは異なりAIAFと呼ばれる、AF(オートフォーカス)機能は備わっていません。しかし、2024年夏登場の最新カメラということもあり、αシリーズのフルサイズ機にも使用されている画像処理エンジン「BIONZ XR」が搭載されています。
筆者が普段メインのカメラに使っているのは、α7 IVというフルサイズ機なのですが、それと同じエンジンが搭載されており、よりリーズナブルな価格ながら上位モデルと遜色のないオートフォーカス性能を持っています。α7 IVと比べふた回り近くコンパクトなボディながら、体感ではほぼ変わらないAFで撮影ができるのは大きなメリットです。
α7C IIの記事でも紹介した、常に正確なピント合わせを維持する「リアルタイムトラッキング」が搭載されており、リアルタイム瞳AFを使うことで子どもたちが走り回るシーンでも、かわいい顔をしっかりと追従して捉えることができます。AFの捉え具合や速度、細かな使用感はAIAFを搭載した上位機種となるα7C IIにはかなわないものの、小さな子どもの動きに十分追従できる性能を有しています。
AFの設定等、より詳しい内容はα7C II記事にまとめてありますので、そちらをご参照ください!ボディに搭載されているボタン数は異なるものの、ほぼ同様のカスタマイズが可能となっています。
撮影後の加工は不要!クリエイティブルックを活用しよう
前回紹介したα7C II、そして今回のZV-E10 IIを含むいくつかの機種にはクリエイティブルック(以下「ルック」と表現します)と呼ばれる、αシリーズが独自に持つ画作りを行うための機能が搭載されています。他のメーカーも同様な機能を持っていることが多く、富士フイルムであればフィルムシミュレーションなど独自のネーミングを設定しています。
SNSやblogなどで掲載されている写真は、撮影後に編集ソフトで色味など独自に加工されているものが多いですが、αシリーズの場合は搭載されているルックから選んで使用することで、加工は不要と言わせるくらい理想的な仕上げにすることができます。カメラのモニターに表示される撮影した写真も、ルックの仕上げが適用された状態で見ることができますので、自分好みのルックを選んで撮影してみましょう。
筆者おすすめはα7C IIで使用した独特な透明感、柔らかさ、鮮やかさを持たせ子どもの撮影にも適している「SH」、そして落ち着いた発色とややグリーンの色が乗ったフィルム風の画作りができる「FL」です。筆者は「FL」を使用することが多く、今回の作例の多くは「FL」を使用したものを掲載しました。特に加工を加えていないオリジナルのFLを使用していますが、少し青を追加する、明るい部分をより明るくする、発色を豊かにするなどカメラ上で設定できる細かな編集機能も備わっていますので、慣れてきたら独自の色味に挑戦するのも良いでしょう。
ここでは、同じ写真に異なるクリエイティブルックを適用した比較写真を用意しました。まずはその色味の違いに触れてみましょう。撮影レンズは全てE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS IIで統一しています。
■クリエイティブルック:FL
■クリエイティブルック:ST
■クリエイティブルック:IN
■クリエイティブルック:SH
ここからは色々なルックを使った作例も掲載しましたので、是非ご自身でも撮り比べて、好みのルックを見つけ出してください!被写体によっても相性がありますので、自分流の使い方を編み出すのも面白いポイントのひとつです。
まとめ
簡単にですがZV-E10 IIと3本のレンズとクリエイティブルックの魅力について、解説してみました。ZV-E10 IIは動画撮影にも便利なカメラですが、十分なAF性能とクリエイティブルックが加わり、初心者から上級者まで幅広く対応できる機種となっています。コンパクトさがウリのカメラでもありますので、小さなレンズと合わせて常に身につけられるカメラとして活用いただければと思っています。
より大きなボケが欲しい、動物など動く被写体もしっかり撮りたい、というのであれば前回紹介したフルサイズ機のα7C IIがおすすめですが、お子さんや家族をどのように撮りたいかでカメラを選ぶと良いでしょう。
ZV-E10 IIはより良い撮影体験を身近に感じさせてくれる、とても良いカメラです。お子さんやご家族の大切な思い出を余すところなく残してあげてください!それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
■フォトグラファー:鈴木啓太|urban
カメラ及びレンズメーカーでのセミナー講師をする傍ら、Web、雑誌、書籍での執筆、人物及びカタログ撮影等に加えフィルムやオールドレンズを使った写真をメインに活動。2017年より開始した「フィルムさんぽ/フランジバック」は月間延べ60人ほどの参加者を有する、関東最大のフィルム&オールドレンズワークショップに成長している。著書に「ポートレートのためのオールドレンズ入門」「ポートレートのためのオールドレンズ撮影マニュアル」がある。リコーフォトアカデミー講師。