タムロン 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD レビュー|これ1本で犬猫撮影に挑戦
はじめに
長年ペット撮影をしてきた私がレンズに求めるものは明るく、軽く、ボケ味がいいレンズです。特に野良猫撮影では1本のレンズで身軽に撮影したいものです。
そこで今回使用したのが、2022年7月に発売されたタムロンの富士フイルムXマウント用レンズ17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD。
果たしてどれだけ私のわがままな要望に応えてくれるのでしょう。
4.1倍のズーム比でF2.8の通し
さて、ペット撮影において私が何より求めるのは明るいレンズです。被写体の可愛さや癒しを表現するために、ふんわりとぼかして撮りたいので、明るくボケ味のいいレンズが必要なのです。
そんな私がまず驚いたのが、17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDは4.1倍のズーム比でありながらF2.8の通しであること。広角から中望遠までF2.8で撮れることに感動しました。
この2枚はワイド端とテレ端で撮った例です。同じ場所でも見え方が全然違います。ズーム比が高いことで、撮れる写真のバリエーションが増えるのがわかりますね。
そしてこちらがテレ端F2.8で撮った写真です。いいボケ味ですね。明るくてボケ味の良いレンズ、大好物です。レンズの重量も大口径レンズなのに軽い!といった印象。これもペット撮影をされる方に嬉しい要素ですよね。
美しいボケ味で被写体を引き立てる
さて17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDのボケ味の美しさを、もう少し掘り下げていきましょう。
こちらは紫陽花の時期に撮った一枚。手前と奥の紫陽花は綺麗にボケていますが、被写体はシャープに表現されています。美しいボケと高解像で被写体を引き立ててくれます。
同じ場所で少し引いた写真。こちらも美しいですね。
地味に嬉しいのが、ズームリングがスムーズに動くこと。無理な体勢になることもあるペット撮影において、スムーズに動くリングはとても心地よいです。
そしてこちらの一枚。まるで単焦点レンズで撮ったかのような美しい仕上がり。素晴らしいの一言です。
小道に佇む柴犬さん。この上目使いがたまりません。
続いて室内の作例をご覧ください。外に比べて暗い室内では明るいレンズが必須です。広角から中望遠までカバーできる17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDは、室内撮影でも強さを発揮してくれました。
小さな子猫をとたくさんのランタンを写真に収めるために、少し離れてテレ端で撮影。中望遠まで撮れるので様々な状況に対応できます。背景にあるランタンが優しくボケていますね。
今度は少し近付いて猫じゃらしであやしながら撮影。片手持ちで撮影できるぐらいの重量なのは大変ありがたいです。子猫のすぐ後ろにある小物もきれいにボケています。そのおかげで被写体が引き立ちました。
ご覧の通り17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDのボケ味は最高に美しいことがわかりました。
これ1本で野良猫撮影
ここまでで明るく、軽く、ボケ味が良いレンズだということがわかりましたが、これ1本だけで満足する写真を撮ることができるのか?検証するために私の大好きな野良猫撮影に行ってきました。
行きつけの野良猫スポットに行くと、すぐに見つかる野良猫さんたち。のんびりとくつろいでいるのでテレ端で離れて撮影します。
少し歩くと完全に寝ている猫さんを発見。
草を前ボケに入れると、自然の中の猫をこっそり覗いている感じが出るのでおすすめ。
ある程度近づいても大丈夫だったので、近づいてみると毛繕いを始めて、、
最終的にはこんなに近くまで寄ることができました。
17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDの最短撮影距離はワイド端で19cmなので、実際にはもう少し寄ることもできます。警戒されるのを避けるため多少の距離をおいて撮影しましたが、それでもこの距離感です。ご自身のわんちゃんや猫ちゃんを撮る時は、最短撮影距離まで寄って撮るのも面白いですね。
近くまで寄れるレンズだと広角での撮影が楽しくなります。空を多く入れて大自然の中のような雰囲気に。まるでどこかの島に住む猫のように見えますね。
そして解放値でのこのボケ味。いやぁ何度撮っても美しいです。
17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDだけを持って野良猫撮影に行きましたが、満足できる写真をたくさん撮れることがわかりました。
まとめ
広角から中望遠までカバーしたF2.8の17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDは驚くほどの美しいボケ味と使い勝手の良さで、私がレンズに求めていた要素を全て持ったレンズでした。きっとペット撮影を楽しむ多くの人達の強い味方になってくれるでしょう。
■写真家:湯沢祐介
1980年東京都生まれ。 七色の声を使い分けてわんちゃんの気を引き、猫じゃらしで猫を操りながら撮影するペトグラファー。 その巧みな猫じゃらしさばきから「猫じゃらしの魔術師」の異名を持つ。 写真教室講師、原稿執筆、テレビ出演、レンタルフォト撮影など多岐にわたる活動をしている。著書には「ペトグラファーが教える ペットの可愛い撮り方」(日本カメラ社)「こねこ」「こいぬ」(ポプラ社)、「ねこもふ。ごーじゃす」(宝島社)他がある。