タムロン 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD|広角から望遠域までコレ一本で全て解決!軽量コンパクトな自然写真家の夏休み
はじめに
自然写真家も夏休みが必要です。
何時もの過酷な撮影フィールドを少しばかり離れて、優雅にゆったりとした時の流れに浸って来ました。そんな時に大活躍したのが、タムロンからリリースされている富士フイルムXマウント交換用レンズ「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」。機動力抜群で、このレンズ一本で全てが撮れてしまう優れモノです。
今回は、そんな凄いポテンシャルのレンズを使用し夏休みを満喫して来ましたので、撮影写真を交えてご紹介いたします。
小型でシンプルな外観
広角から望遠域まで撮影できる「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は、内筒部が伸縮して軽量コンパクトになり「機動力抜群」な超お手軽レンズです。
外観はとてもシンプルでスマートな作りになっていて、ズームロックスイッチによりワイド側でレンズの伸縮がロックできます。内筒部は伸長しながら3段に伸びる設計です。
ズームリングはラバーが手にしっかりと馴染みますが、ズームリングの回転抵抗はやや固いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、迅速に撮影したい私はズームロックスイッチを撮影中はあまり使わないので、「ロックを掛け忘れても自重でレンズが勝手に前方へ滑り出ない」くらいの絶妙なズームリングの抵抗は、とても使い勝手が良いと感じました。
ズームレンズの利点
ズームレンズの利点は「小さくなる」ことです。そのため、簡単に旅行の荷物に忍ばせられるところが嬉しいです。また「広角から望遠域までコレ一本で全て撮影」できるので、レンズ交換の手間や沢山の交換レンズを持ち歩き、機材重量の苦痛から逃れられるといった点から、カメラ初心者や体力に不安を抱える女性、ご高齢の方々も一日中楽しく撮影できるレンズとなっています。
ズームレンズの注意点は、伸縮部分に水滴が付いた状態で収納すると内筒部のレンズが結露してしまうことがあるので、雨露が付くような場面での使用はタオル等でこまめに水分を除去して使用しましょう。
▼レンズ伸長比較
テレ端側は軽量なので持ち重りは感じませんが、ズーム域が幅広いので手の小さな方は、ワイド端からテレ端までズームリングを一回で回しづらいと感じるかもしれません。
そのため、最初の置き手は手首を回し込み、レンズ上方のズームリング部に四指が掛かる状態にしておくと、比較的スムーズに一回で回せるので参考にしていただければと思います。
繊細でクリアな広角域
オールマイティーで使い勝手が良い「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」ですが、皆さんが気になる部分はその「描画力」だと思います。
一般的に幅広いズーム域をレンズ一本で全てカバーする様なレンズの描画力は、やっぱりオールマイティー相応だと思われがちですが…
「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」広角域の描画力は?というと…
夏休みに探した味覚の王様マツタケ。涼しい気候の北海道は真夏に発生します。
レンズの数十センチ先に漂う天然物の強い香りと、18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXDが繊細に描画する傘の表面の繊維一本一本の画がファインダーを介し、強烈に視覚・嗅覚を刺激してきました。
撮影中ヨダレが止まりませんでしたが、見事に香りも写真に収めることができました。
マツタケを探しているとスギゴケ類の群生地にたどり着きました。
湿度があって薄暗い林内での撮影でしたが、「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」はAFも特段迷うことなく、美しく撮影することが出来ました。
夕刻に高山帯でイワヒゲの群生に出会いました。流石に日の入りが迫るこの時間帯は、すぐにはAFがロックオンしませんでしたが、コントラスト差がある花びらには精密にロックオンしてくれました。
ミラーレスカメラになって良かったことは、光のその先の情景や被写界深度が直接ファインダーで確認しながら撮影できるようになったことです。
強い光も中々AFが合点しづらいシチュエーションですが「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は薄雲に隠れながらも、強力な真夏の西日に対して容易に被写体をフォーカスしてくれました。
シャープで満足感ある望遠域
日頃から野生動物を撮影している私は、やはり望遠域のシャープでキレのある、美しい描画力も重要だと思っています。「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」の望遠域の描画性能にもすごく興味があったので、夏休みを利用して色々撮影を楽しみましたが、その手応えは…
遠くの岩場でエゾシマリスが佇んでいました。
テレ端で撮影しましたが、ピントも良く、被写体のディティールも鮮明だったので、このレンズのポテンシャルはすごく良いと感じた一枚となりました。
機敏な動きをしながら葉を食べようとしている、北海道の高山帯の岩場等に生息するエゾナキウサギ。そんな素早い瞬間と情景も「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」に搭載されている手振れ補正とシャープな描画力が、夏休みの旅撮影に満足感を与えてくれました。
雨上がりの草原でキタキツネに出会いました。青空になりつつある空を見つめるその顔は「早くお日様の顔が見たいよー」と訴えかけているようでした。背景の玉ボケも「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は優しく演出してくれます。
「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は中望遠域でも周辺減光もしっかり描画されます。好みはありますが、中央に配置した被写体を有効に際立たせたい場合の表現手法にはとても有効です。
まとめ
タムロンの富士フイルムXマウント用交換レンズ「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」を使用し、自然写真家の夏休みカットをご紹介しましたが、如何だったでしょうか?
サードパーティーならではの「痒い所に手が届く」対応力と「純正レンズの空白域をカバー」する柔軟性。それに加え、富士フイルムXマウント対応レンズを手掛ける同社の、富士フイルムが誇る「記憶色」を損なわない強いこだわりを、写真を通して体感することが出来ました。
当初は、純正レンズの描画力には到底及ばないのではないか?という先入観を抱いていましたが、それを打ち消す程の素晴らしいシャープでキレのある写真が撮影出来て大満足の夏休みとなりました。皆さんもコンパクトな旅レンズとして使用されてみては如何でしょうか。
■自然写真家:高橋忠照
1982年北海道札幌市生まれ・山形県育ち。上富良野町在住。陸上自衛隊勤務を経て、2019年自然写真家に転向。自衛隊時代に培ったスナイパー(狙撃手)の技能を生かし、自然の中に同化して野生動物を探し出す独自のスタイルでの撮影を得意とする。作品は小学館、チャイルド本社、フレーベル館等の児童書や雑誌、カレンダーなど掲載多数。
公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員・富士フイルムアカデミーX講師