タムロン 70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 レビュー|小型軽量・高コストパフォーマンス、大きなボケを演出できるレンズ
はじめに
今回紹介するレンズは、タムロンの初代「70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056)」の後継モデルとして2023年10月に発売された、タムロン「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 (Model A065)」です。
第2世代の「G2」モデルになり、小型軽量なサイズを維持しながらも手ブレ補正機能VCが搭載され、より使い勝手の良いモデルに進化しています。進化した魅力とその実力、実際の写りを紹介します。
基本スペックと魅力
タムロン「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」は、初代モデルの小型軽量のサイズを維持しながら、手ブレ補正VC機能を搭載しオートフォーカスでの最短撮影距離を従来モデルよりワイド側で短くした事で、非常に使い勝手が良くなりました。
ソニー純正の「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」とスペック的には競合するレンズになりますが、「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」は望遠側の焦点距離を20mm短くして小型化されており、販売価格もソニー純正の「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」の半分以下で購入できる、非常にコストパフォーマンスの高いレンズです。
実際にソニー純正レンズ「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」と並べて比較してみると、大きさの差は歴然です。レンズの全長が短いので、カメラにレンズを装着したままカメラバッグに入れる事も容易な感じです。
70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 (Model A065) |
70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056) |
FE 70-200mm F2.8 GM OSS II | |
焦点距離 | 70-180mm | 70-180mm | 70-200mm |
レンズ構成 | 15群20枚 | 14群19枚 | 14群17枚 |
開放絞り | 2.8 | 2.8 | 2.8/td> |
最小絞り | 22 | 22 | 22 |
フィルター径 | 67mm | 67mm | 77mm |
絞り羽根枚数 | 9枚 | 9枚 | 11枚 |
最近接距離 | 0.3m (WIDE) 0.85m (TELE) |
0.85m(全域) ※MF時0.27m(WIDE) |
0.4m (WIDE) 0.82m (TELE) |
手ブレ補正 | 有 | 無 | 有 |
全長×最大 | 156.5×83mm | 149×81mm | 200×88mm |
重量 | 約855g | 約810g | 約1045g(三脚座別) |
発売 | 2023年10月 | 2020年5月 | 2021年11月 |
タムロン「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」は、旧型では少々使いにくかった最短撮影距離が改良されており、この点において非常に使いやすくなったと言えます。
旧型ではマニュアルフォーカス時に限りワイド側で0.27mと短くなるのですが、オートフォーカス時は0.85mの最短撮影距離となり、オートフォーカスしか使わないユーザーにとっては少し扱いづらい点がありました。ですが今回のG2は、ワイド側での最短撮影距離が0.3mとなり、オートフォーカス使用時でも寄れるレンズとなったことで使い勝手が向上しています。
また旧型に対して「手ブレ補正機構VC」が搭載された事によりレンズ構成は変更されているものの、フィルター径は従来と同じ67mmです。タムロンの多くのレンズがフィルター径67mmに統一されているので、複数のレンズを同時に持ち歩いても携帯性が高いことに加え、PLフィルターをはじめとした各種フィルターも共用できるほか、レンズ交換時に径の異なるキャップを探す手間が省けるなど、ラインアップ全体で高い利便性を発揮します。
タムロンのレンズをより快適に使いこなすためのポイントとして、「TAMRON Lens Utility」というソフトがあります。
パソコンまたはスマートフォンを使用して、コネクターポート(端子形状: USB Type-C)を搭載したタムロンレンズのカスタマイズやファームウェアのアップデートを行える専用ソフトウェアです。レンズを使いやすいように設定することで、撮影がもっと楽しく、もっとクリエイティブになります。
「TAMRON Lens Utility」で設定できる各種機能は、A-Bフォーカス・フォーカスプリセット・フォーカスリミッター・フォーカスリング設定・AF/MF切り替え・フォーカス/絞り リング機能切り替え・カメラボディ機能割り当てなど様々な設定が可能です。
タムロン「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」で浅草スナップ撮影
タムロン「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」を持って、東京浅草周辺をスナップ撮影してみました。中望遠から望遠系のレンズの為、気に入った被写体を切りとっての撮影になりますが、絞り開放F2.8と望遠の効果を楽しんで撮影をしてみました。
下の写真は、大勢の観光客で賑わう浅草の仲見世通りですが、小型軽量のメリットを活かして頭上高くカメラを持って一番奥にピントを合わせ、圧縮効果と前ボケを活かして奥行き感と賑わい感を演出してみました。
下の写真は、像の周りには網状のフェンスがあるのですが、望遠レンズ+明るい開放F値の効果でフェンスの影響をかなり抑えて撮影する事ができています。
大きなボケの演出はテレ側の180mmは勿論のことワイド側の70mmでもボケ効果は大きく、メインとなる被写体を引き立ててくれます。
タムロン「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」でお祭り撮影
次にタムロン「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」を持ってお祭りの撮影をしてみました。お祭りの撮影では、機動力のあるズームレンズがとても便利です。広角から標準域が無いのでややアップの撮影にはなってしまいますが、望遠を使って前後のボケを活かして奥行き感のある写真になるよう狙ってみました。
下の写真は、お祭りの最中に買って食べたお団子ですが、左手に持ったお団子を右手だけで持ったカメラで簡単に撮影できるのもタムロン「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」の最短撮影距離が0.3mと短くなった事で可能になったのと、このクラスのレンズとしては軽いレンズのおかげです。
明るいF値と「手ブレ補正機構VC」の効果もあり、タムロン「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」は暗くなってきた夕方から夜の撮影でも、スローシャッターでの手持ち撮影もブレずに撮影する事ができ、非常に使い勝手がよく安定した撮影をこなすことができました。
かなり暗い中での撮影も、ある程度ISO感度を上げれば明るいF値の効果もあり、手持ちでの撮影も柔軟に対応でき、動きのあるお祭り撮影での機動力も大幅に上昇しました。
一日中タムロン「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」を装着したカメラを持ち歩いていましたが、このクラスのレンズとしては軽量なので疲れも少なく非常に助かりました。
まとめ
タムロン「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」は、望遠側の焦点距離を180mmにする事でレンズの小型軽量化を図り、普段使いしやすいレンズになっています。実際に焦点距離200mmとの画角差は1.12度ほどの差なので、実際に撮影してみても物足りないような事は感じませんでした。大きなボケ効果を得られるこのクラスのレンズとして、純正レンズの半額以下で購入できるコストパフォーマンスの高さはとても魅力的なポイントです。
■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師