フォクトレンダー COLOR-SKOPAR 18mm F2.8 Aspherical Xマウントレビュー|こばやしかをる
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はじめに
富士フイルムXマウント専用として設計された広角単焦点レンズ、フォクトレンダー(Voigtlander)COLOR-SKOPAR 18mm F2.8 Aspherical。2024年2月に発売され、フォクトレンダーブランドのXマウントレンズとして7本目に加わりました。発売に先駆け、事前に作例を撮影させていただいてから半年が経った今、改めてその描写を堪能してきました。
■COLOR-SKOPAR 18mm F2.8 Aspherical コシナWEBページ(公式作例をこばやしかをるさんが担当)
COLOR-SKOPAR 18mm F2.8 Asphericalの特徴
薄型パンケーキスタイルのマニュアルフォーカス単焦点レンズ「COLOR-SKOPAR 18mm F2.8 Aspherical」は、フルサイズ換算28mm相当の画角。この28mmは35mm判フィルムカメラ時代から「広角レンズの定番」として人気の焦点距離であり、スナップ撮影に最適です。
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最短撮影距離は0.17mとなっており、テーブルフォトなどの幅広い用途に対応できます。
富士フイルムXマウント専用として光学設計されたレンズであり、富士フイルムXシステムカメラのイメージセンサーに最適化した高い解像性能を発揮します。
特徴のほとんどがULTRON 27mm F2と同じ仕様。といっては元も子もないのですが、マニュアルフォーカスレンズでありながら、マウント部には信頼性の高い電子接点が搭載されており、電気通信対応ボディと最新ファームウエアの組み合わせにより、撮影画像へのEXIF情報記録やAE/AWB、IBIS動作、フォーカスチェックなど、純正XFレンズと同等の使い勝手と安心感があります。
※電気通信に非対応のボディとの組み合わせでも、レンズ無しレリーズを「許可」にしておけば、実絞りによる絞り優先AEとマニュアルでの撮影が可能になります。
シンプルでクラシカルなデザインもULTRON 27mm F2と同様。シルバーとブラックの2色展開で、ブラックボディ×シルバーレンズが好きな私にとって、嬉しいラインナップです。
パンケーキレンズといわれるコンパクトな鏡筒の全長は、マウントから23.5mmと薄く、質量115gとかなり軽量。X-E4のようなコンパクトなボディと組み合わせることでハンドリングしやすく、携帯性の高さも抜群です。
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いずれもドーム型の専用ネジ込みフード(左側シルバーレンズに装着/ブラック仕上げ)が付属し、フードを外した状態でクリップ式のレンズキャップ(右側ブラックに装着/別売)も装着できます。
絞りを開けても絞っても安定したスナップ撮影が楽しめる
スナップ撮影に好適として人気の高い本レンズ。絞りを開けても絞っても、安定した性能を発揮し、開放絞りからシャープに解像する印象です。ストリートスナップのためのレンズと言わんばかりで、F5.6に絞り込み、被写界深度目盛を2m以上にしておけばレスポンスよくサクサクと歩きながら撮影が可能になります。コンパクトなボディのX-E4との組み合わせで、気負わず、威圧感もなく街中での撮影も軽快です。
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■撮影環境:SS1/350秒 絞りF2.8 ISO320 AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:クラシックネガ
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■撮影環境:SS1/950秒 絞りF2.8 ISO320 -0.7EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi
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■撮影環境:SS1/350秒 絞りF2.8 ISO320 +0.3EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:クラシックネガ
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■撮影環境:SS1/600秒 絞りF5.6 ISO250 +0.3EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:クラシッククローム
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■撮影環境:SS1/52秒 絞りF7.1 ISO320 -1.3EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:クラシッククローム
風景撮影にもふさわしい、厚みと深みを感じる描写
改めてこのレンズを使って感じたことは、単に奥行きがあるというだけでなく、画面全体の厚みと深みでした。平面的になりがちな光景が広がるシーンで撮影してみると、その力強い画に圧倒されます。特に葉の緑色の濃淡はとても立体的で、肉眼で見ているのに近い表現力を持ち合わせているよう。これは風景写真にも好適な写りです。
普段から撮影し慣れている焦点距離ですが、より広さを感じ、迫力ある描写となるこのレンズに不思議な魅力を感じます。
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■撮影環境:SS1/640秒 絞りF7.1 ISO320 +0.3EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:クラシッククローム
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■撮影環境:SS1/145秒 絞りF8 ISO160 +0.7EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:クラシックネガ
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■撮影機材:FUJIFILM X-E4 + Voigtlander COLOR-SKOPAR 18mm F2.8 Aspherical
■撮影環境:SS1/30秒 絞りF8 ISO500 -1.0EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:クラシッククローム
ボケと光条をアクセントにした画面構成
最短撮影距離付近まで被写体に近づくことで背景は大きくぼけ、ピント面の解像感と美しいボケ味を楽しむことが出来ます。背景の印象を損なわない広角レンズらしい遠近感と奥行きのある表現が楽しめる上、ボケ味も単焦点レンズらしい嫌味のないナチュラルな描写です。
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■撮影環境:SS1/15秒 絞りF4 ISO1600 -2.0EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi
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■撮影環境:SS1/15秒 絞りF2.8 ISO1600 -2.0EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi
逆光耐性も高く、太陽が画角に写り込むシーンでもフレアやゴーストを抑えた撮影が可能で、絞り込んだ撮影での鋭い光条も特徴的です。
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■撮影環境:SS1/15秒 絞りF8 ISO1600 -2.0EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:クラシッククローム
身近な場所で目にするものを魅力的に写し込む
長期的な休暇が増える夏。またそうでない場合も、どこか遠方にでかけなくても、普段からカメラを持ち歩き、撮影を楽しむことで本レンズの魅力を存分に感じることができます。
友人の子どもたちと接する機会を得られ、一緒に散歩に出かけて撮影を楽しんできました。近距離・至近距離・中距離・遠距離と、身近な場所であれこれと目にするものを教えてくれる子どもたちに、被写体探しやこのレンズでの撮影のコツを教わったような気がしました。
異なる被写体に合わせて選ぶフィルムシミュレーションもまた、レンズの持ち味を引き出してくれているようです。
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■撮影機材:FUJIFILM X-E4 + Voigtlander COLOR-SKOPAR 18mm F2.8 Aspherical
■撮影環境:SS1/210秒 絞りF3.6 ISO320 +1.7EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi
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■撮影環境:SS1/480秒 絞りF2.8 ISO320 +2.3EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi
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■撮影環境:SS1/150秒 絞りF2.8 ISO160 -+0.7EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi
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■撮影機材:FUJIFILM X-E4 + Voigtlander COLOR-SKOPAR 18mm F2.8 Aspherical
■撮影環境:SS1/170秒 絞りF3.6 ISO320 +0.7EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:クラシックネガ
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■撮影環境:SS1/30秒 絞りF2.8 ISO800 +0.3EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi
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■撮影環境:SS1/150秒 絞りF2.8 ISO320 +0.7EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi
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■撮影機材:FUJIFILM X-E4 + Voigtlander COLOR-SKOPAR 18mm F2.8 Aspherical
■撮影環境:SS1/30秒 絞りF8 ISO640 -0.3EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:PRO Neg.Hi
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■撮影機材:FUJIFILM X-E4 + Voigtlander COLOR-SKOPAR 18mm F2.8 Aspherical
■撮影環境:SS1/34秒 絞りF3.6 ISO160 -1.7EV AWB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:ETERNAブリーチバイパス
おわりに
高い光学性能と実用性を兼ね備えたコンパクトなマニュアルフォーカス単焦点レンズ「COLOR-SKOPAR 18mm F2.8 Aspherical」。踏み込んだ寄りと、引きのダイナミックさが心地よい広角レンズです。久しぶりに撮影してみると、なんだかフィルム一眼レフカメラで写真を始めた頃のように新鮮で、「広角単焦点レンズで撮るのが楽しくなるとなんでも撮れるぞ」と教えてもらったことを思い出しました。
パンケーキスタイルで、ボディに付けたまま鞄に入れてもかさばることがありませんので、いつもの装備に1本追加しても負担を感じることはないでしょう。普段から持ち歩くことで、いろんな被写体に目が向くようになるレンズです。
■写真家:こばやしかをる
デジタル写真の黎明期よりプリントデータを製作する現場で写真を学ぶ。スマホ~一眼レフまで幅広く指導。プロデューサー、ディレクター、アドバイザーとして企業とのコラボ企画・運営を手がけるなど写真を通じて活躍するクリエイターでもあり、ライターとしても活動中。