カールツァイス Zeiss Batis 2/40 レビュー|シャープさと柔らかさが両立した標準レンズ
はじめに
今回はバティスシリーズ5本の中で標準領域の画角、40mmをセレクトしてご紹介します。バティスシリーズでは、5番目に発売(2018年11月)された末っ子のレンズになります。普段室内で猫を撮るときに50mm前後の画角の単焦点レンズをよく使用するので、このレンズもお気に入りの1本です。
ツァイスレンズならではの色の鮮やかさや自然なボケの表現、豊かな描写力の高さをもっとオールマイティーに使える「Batis 2/40」の魅力をお伝えしたいと思います。
ツァイス Zeiss Batis 2/40の魅力
Batis 2/40の光学系は、バティスシリーズの特徴であるディスタゴンタイプ。このディスタゴンは歪曲(直線が歪む)が非常によく補正されているのが大きな特徴です。
Batis 2/40は焦点距離40mmの優れた軽量標準レンズです。クローズアップ撮影にも理想的な、画質の優れた万能レンズです。また他のBatisシリーズ同様に防塵防滴シーリングになっており、埃や水しぶきからレンズを守る特別設計のおかげで、厳しい野外の撮影でも安心して使用することができます。現状で「ZEISS Batis 2/40 CF E-mount」と競合するのは、2021年4月に発売されたソニーGレンズ「FE 40mm F2.5 G SEL40F25G」になります。
FE 40mm F2.5 G | Batis 2/40 | |
焦点距離(mm) | 40mm | 40mm |
画角(35mm判) | 57° | 56 |
開放絞り(F値) | F2.5 | F2 |
最小絞り(F値) | F22 | F22 |
レンズ構成 | 9群9枚 | 8群9枚 |
絞り羽根 | 7枚 | 9枚 |
最短撮影距離 (m) | 0.28m | 0.24m |
フィルター径 | 49mm | 67mm |
外形寸法 最大径x長さ | 68 x 45mm | 91 x 93mm |
質量 約(g) | 約173g | 約361g |
レンズの筐体が大きく異なるこの40mmのレンズ、どちらもとても魅力的なレンズです。こうやって並べてみると筐体の大きさの違いがよく分かりますね。「Batis 2/40」はバティスシリーズの独特な筐体デザインでシンプルかつ美しく印象的です。
SONY「FE 40mm F2.5 G」は高性能をコンパクトに凝縮したレンズで、機動力を合わせ持ったレンズですね。
■ZEISS Batis 2/40 CF E-mountで撮影
■SONY FE 40mm F2.5 Gで撮影
我が家の猫を2つのレンズで撮影(どちらも絞り開放)してみましたが、どちらのレベルも高く解像感に関しては同等のレベルだと感じます。発色に関して比べてみると、少しそれぞれの特徴が現れたようです。「Batis 2/40」はとてもニュートラルな自然の色合いを表現するのに対して、「FE 40mm F2.5 G」は若干イエローが乗った暖色系の色合いを表現しています。被写体にもよりますが、この辺りで好みが分かれるかもしれません。
筐体の大きさ・重量を除けば、レンズの明るさ最短撮影距離の短さなど「Batis 2/40」が勝るところは多いと思います。
ツァイス Zeiss Batis 2/40で街中散策切取りスナップ
「Batis 2/40」を持って定番の街中スナップをしてきました。今回は40mmの画角なので、街中で気になった被写体を切り取って撮影するスタイルです。ゆっくりと歩きながら目に留まったものを切り取りながら撮影していくのは、とても楽しい瞬間です。
観光地や繁華街でよく見られる看板などにたくさん貼られたステッカーは困ったものですが、そんな街中にあるイタズラされた標識を少し撮ってみました。絞りは浅くして背景をぼかし被写体である看板部分を強調する感じで撮影しています。
「Batis 2/40」で撮影して感じたことは、青空を入れた構図で撮影した時に青空のクリアーな再現がとても気に入りました。ツァイスレンズならではの魅力の部分でもあると感じます。
絞り込むと隅々までとてもシャープな描写をします。
街中で見かけたバイクを撮影。浅い絞りでもピントの合ったところのシャープさとその前後の柔らかいボケを両立。そしてシャドー部の諧調も良好なので、明暗差、輝度差の激しい被写体の撮影においても安心して使えるレンズです。
「Batis 2/40」は最短撮影距離が24cmと短く、ぐっと寄って撮影することが可能なレンズです。お花やお料理、小物撮影などの撮影にも最適なレンズです。絞りを開ければ柔らかいボケを表現することができ、被写体をより引き立てることができます。
明るい単焦点レンズなので、絞りを開放で被写体にしっかり寄って撮影する事で背景の玉ボケも演出する事も簡単にできます。
最短撮影距離が短い事で、被写体の真上から撮影も非常にしやすいレンズです。
ツァイス Zeiss Batis 2/40で室内猫撮影
筆者が猫撮影によく40mm前後のレンズを使用するので、「Batis 2/40」で撮影してみました。室内猫を撮影するのには、やはり明るい単焦点レンズが必須です。多少自然光が入ってくる部屋で撮影をしていますが、やはり全体的には暗いので絞りを開けて撮影しないと速いシャッタースピードで撮影することができません。ですから「Batis 2/40」の絞り開放F2というのは室内撮影においては、非常に助かります。
絞り開放で撮影しても、ピントのあったところは非常にシャープなのはもちろん、そこから外れたところが非常に柔らかいボケを表現し、猫などの動物撮影において毛並みの柔らかさを表現するのに非常にマッチしたレンズだと感じます。
まとめ
「Zeiss Batis 2/40 」は、高性能な標準単焦点レンズです。よくある35mmや50mmの単焦点レンズの中間にあたり、中途半端な焦点距離とも揶揄されることもありますが、実際に使ってみると絶妙な画角で、ペットなどの室内撮影や外でのスナップ撮影においても非常に使い勝手の良い焦点距離です。どちらかと言えば焦点距離35mmよりは焦点距離50mmのレンズを購入検討している人におすすめです。ズームレンズでは味わえない、カールツァイス単焦点レンズのキレのあるシャープさと両立する柔らかなボケが魅力的なレンズです。
■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。