種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2011.04.01【Vol.005】
早い場所で3月中旬ごろ、東京都心部では3月下旬ごろに開花を迎える桜ですが、毎年その撮影を楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。もちろん満開のタイミングを狙っての撮影を行いたいもので、そのために全国各地を撮影してまわる方もいるぐらい、写真愛好家にとっては、一年に一度訪れる楽しみの季節でもあります。
桜の撮影はよく、難しいといわれます。先に述べたように満開の時期を逸してしまったりといったタイミングの問題、目で見たようなきれいな色が思うように出なかったり、樹の形がよくなかったりと特に初めて桜を撮影したという方には手ごわい被写体かもしれません。ただ、タイミングや場所の問題、撮影する対象を選ぶのは個人の好みによるところもあるでしょうが、まずは自宅の近所で簡単に撮影したいと思う方も多いと思います。
では、実際撮影するに当たっていくつかの項目を挙げてみたいと思います。当然ながら、桜の開花予想を調べてみましょう。インターネットが身近になったことで多くの情報を手に入れることは簡単になりました。ということで下調べは行っておきましょう。桜の見ごろはおおよそ5~7日程度といわれ、また僕が助手をしていた頃師匠がよく言っていたのは「満開はそのうちたった1日」しかないということでした。実際に桜を見ていると、撮影する満開時となるとたしかに1~2日しかないように思われます。ただ、仮にその周辺に咲いている桜すべてが同じタイミングで咲き、散っていくわけではないので、なるべく、樹の数、桜の種類が多く咲く場所から撮影を始めてみるのもいいでしょう。朝、昼、夜と同じ桜でも色が変化するので、それらを撮影してもいいでしょう。
補正なし
元画像
プラス2補正
オートWB
太陽光
次に露出についてです。段階露光すればいいよ、といわれるかもしれませんが、初めからプラス側に補正したほうがいい被写体にマイナス補正はしなくてもいいとも考えられます。桜の撮影の場合、特に接近してクローズアップで狙った場合、背景の兼ね合いもありますが、カメラの測光のままで撮影すると大体暗く写ってしまいます。当然プラス側に露出補正するのですが、プラス1/3や2/3程度ではなく大胆にプラス1~2程度行ってみましょう。デジタルの場合そのプラス補正したデータで画像処理(RAW現像)してより明るくしたりといった細かい調整で作品を仕上げてみるのも一つの手です。
WBですが、フィルムで撮影する場合、現在はデーライトタイプとタングステンタイプの二種類のフィルムしかありませんので、桜の色をコントロールするとなれば、カラーバランスを変えるフィルター操作が必要です。または、フィルムの種類をいくつか変更して、仕上がりを検討してみることもできます。その点デジタルの場合はRAWで撮影しておけば特に撮影後の表現変更の自由度が高くなります。僕が日中、晴天下で桜を撮影する場合、RAWで撮影しオートWBにセットしています。横着かもしれませんが、悩むよりはひとまず撮影、PCで処理してみるというのも一つの撮影方法と考えています。というのも、やはり桜は「色」で大きくイメージが変わってきます。見た目どおりに仕上げたいのか、自分がその桜に持つイメージを作るのかを撮影時に決めるか、RAW現像で決めるか悩むところではありますが・・・。
最後に桜撮影であると便利なグッズについてですが、小型のレフ板、PLフィルターなどがあると便利です。桜のアップを撮影する場合、周りの桜や幹で薄暗くなりがちです。ストロボを使うのもいいですが、調節がうまくいかない場合もありますので、レフ板で影をおこしてあげると簡単です。PLフィルターですが、背景の青空を鮮やかにしたい場合には必需品です。風で大きくぶれた桜を撮影する場合にも有効ですが、その場合はNDフィルターのほうが一層効果的です。
以上、簡単に桜の撮影について述べましたが、そろそろ満開の地域(過ぎてしまったらすいません)というかた、特にはじめての撮影という方、今年最高の桜を撮影してみましょう。
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