「こども&赤ちゃん」
総評:
今回は元気な作品が多く集まりました。特に多かったのがシャボン玉をモチーフにした作品です。子どもの表情が生き生きとするテーマですが、たくさん集まると審査も厳しくなりますので、よりハイレベルでないと上位には入りにくいでしょう。またカメラの性能があがり、ジャンプしていたり、水が跳ねているなどの高速シャッターでの躍動感あふれる作品が多く見られました。また、春の入学式の作品では緊張感のある、いつもと違う環境での独特な表情が出ていて、そういう作品も微笑ましく審査させていただきました。
審 査 員
沼田早苗 氏
ぬまた さなえ/大竹省二氏に師事、1978年にフリーランスとなる。「財界」「ヨミウリウィークリー」の表紙撮影、商業写真、取材撮影などを手がける。写真展には「私の写交録」「みんな・みんな・蒼き狼」「もう一人の日本人」「中央アジア・トルコの素顔に触れて」「彩菜」「アンゴラ難民とザンビアの人々」「歴史と共に生きる・ヨルダン・シリア」「アメリカ音楽紀行」などがある。福音館書店より写真絵本「ぼくのおじいちゃんの顔」を出版。
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「至福の時」
細川和彦(北海道札幌市)
札幌/イオンスーパーセンター手稲山口店
寸評:
寝ている赤ちゃんは動かないから撮りやすいと思われがちですが、実は変化が少なく難しい被写体だと思います。しかしこの作品は、幸せそうな様子が画面いっぱいに溢れ出ています。何か素敵な夢を見ているのでしょうか。眠りながら笑っているというシーンで、手の形や枕、タオルケットなどの色味が全体的に柔らかい感じに仕上がっていて、なんとも言えない微笑ましい作品です。。
「ペット&動物」
総評:
犬の生態、猫の生態、飼育していてこそ撮れる作品が多くなって、全体のレベルは上がっています。身近にいるからこそ、その動物の性格が伝わるような作品が増えてきて、大変喜ばしいことです。ただ、やはり写真コンテストなので、インクジェットプリントだったり、小さいサイズで応募されると印象が弱くなります。お店プリントの店員さんとよく相談して、プリントの問題、サイズの問題、プリントのクオリティ、色の問題を検討していただきたいと思います。
審 査 員
増田勝正 氏
ますだ かつまさ/1945年東京都出身。犬、猫、ペット専門の動物カメラマンとして30年以上従事。アイメイト(盲導犬)のボランティア活動にも参加し、自ら犬、猫の繁殖・育成にかかわっている。犬、猫のスタンダード、歴史、使役犬、生態、行動等造詣が深い。
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「遊ぼうよ」
中村賢一(福岡県福岡市)
福岡/原店
寸評:
この笑顔に勝てる写真はありませんでした。シャッターチャンスを確実にとらえるということがペットの写真では重要ですが、この作品は少しブレていますし、構図も多少ずれています。しかし、そんな風には感じさせず、むしろ動きがあっていい写真に仕上がっていると思わせます。やはり撮影者がお父さんだからこそ、この空気感を壊さずに撮れるのでしょう。こういう作品は私でも撮れないですね。
「自然」
総評:
自分も自然が好きで、その自然の様々な表情を切り取ったバラエティに富んだ作品が送られてくるので、ワクワクしながら審査をしました。特に鳥を写した作品に良いものが多かったです。これは今のデジタルカメラが高速シャッターを切れることもあり、皆さんがどう撮影しようかと工夫され、何回も通った努力が実ったのだと思います。若い撮影者の作品では生き物を身近な仲間としてとらえてるような作品があったのも嬉しく思いました。その反面、プリントで損をしているなという作品も見受けられました。
審 査 員
海野和男 氏
うんのかずお/1947年、東京生まれ。昆虫を中心とする自然写真家。少年時代は蝶の採集や観察に明け暮れる。東京農工大学で昆虫行動学を学ぶ。1990年から長野県小諸市にアトリエを構え身近な自然を記録する。著書「昆虫の擬態(平凡社)」は1994年日本写真協会年度賞受賞。主な著作に「蝶の飛ぷ風景」(平凡社)「大昆虫記」(データハウス)、「蛾蝶記」(福音館書店)、昆虫顔面図鑑(実業之日本社)など。テレビでも活躍。 日本自然科学写真協会会長、日本昆虫協会理事、日本写真家協会などの会員。
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「サギの文次郎」
熊澤鉄雄(愛知県一宮市)
一宮/中島通り店
寸評:
:サギが巣作りするための枝を持って飛び上がった瞬間なんですが、暗い背景を選んで、サギだけに陽があたっていて、その瞬間を見事にとらえています。こういう写真は露出が難しいですが、この場合は非常に的確で、またサギの表情も非常にかわいく生き生きとしています。題名もちょっと変わった面白い題をつけていて、見応えのある作品になっていると思います。
「旅」
総評:
旅を楽しんでいる光景や、家族の絆などを感じられる作品が印象的で、非常に楽しく審査させていただきました。風景だけを撮っている作品が多かったのですが、旅の写真なので、旅先での出会いを大切にして、旅の情景として人間の表情やその周りの風景を一緒に取り込むというように考えると、より上位に行く機会が増えてくると思います。
審 査 員
杉本恭子 氏
すぎもときょうこ/東京都出身。コンピュータ会社入社後システムエンジニアに従事。自然の崩壊に心を痛め風景写真を撮り始める。竹内敏信氏に師事。2003年フリーとなり名古屋、東京を中心に写真教室や撮影会を実施し写真の楽しさを伝えている。長野県阿智村、阿南町にて写真を通しての地域おこしにも携わる。個展2003年「彩り季節風〜風になりたい〜」、2007年「彩り季節風」〜出会いときめき〜開催。同名写真集出版。著書に「一眼レフカメラ基本撮影テクニック」(永岡書店)他多数がある。生涯学習インストラクター1級。社団法人日本写真家協会会員、日本写真協会会員、日本写真療法家協会理事、キヤノンEOS学園講師、フォックスファイヤーフィールドスタッフ、中央工学校新風景写真塾講師。
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「また会おう」
町田 平(埼玉県川口市)
川口/アリオ川口店
寸評:
選考にはかなり迷いました。この作品を選んだのは、おじさんの表情がとても自然で、「じゃ、またね」という感じがとてもよく伝わって来たからです。「また会おう」というタイトルもまた、作品と良くマッチしていたと思います。自分達の影を画面に入れたことによって人と人との出会いを感じさせ、沖縄の自然の美しさと広がりをもうまく取り込んでいて、素敵な情景だなと思いました。
「自由」
総評:
腕だめしコースなので、テクニックのうまさよりも、初めてその被写体に出会った時の感動が感じられる作品を選びました。ベテランはもちろん、写真を始めたばかりという方もいらっしゃって、年代差による作品作りの違いというのも見ていて楽しかったです。全体のレベルが上がってきてますので、上位に入るには、きれいなのはもちろん、五感をくすぐるものなど、プラスアルファがないと難しいでしょう。自由部門なので、応募する方もいろいろ迷うと思いますが、審査する方も実は迷いながら審査しています。審査員も驚くような様々なチャレンジを見せていただきたいと思います。
審 査 員
川合麻紀 氏
かわい まき/横浜生まれ。彩り写真家。独特の色表現と爽やかでやわらかい描写を得意とし、「The colors of nature」をテーマに花風景や、アフリカ、セイシェル等の自然や動物の撮影取材を行っている。雑貨、子供、ペットフォトなどオールマイティー。写真展多数。TV出演、写真教室、写真雑誌執筆等、わかりやすい写真指導でも人気。(社)日本写真家協会会員。
http://kawaiphoto.cocolog-nifty.com/blog/
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「夏の香り」
鈴木倫子(茨城県常総市)
つくばみらい/谷和原店
寸評:
一次審査の時から記憶に残る作品でした。写真としての記録的な良さもありますし、まさに日本の夏のイメージと、そして夏の香りを感じました。写真はあくまでも視覚的なものですが、それ以外の五感に訴える力があったことが、この作品の強さだと思います。古き良き日本の夏休みを過ごしているであろう被写体の方々が、少々うらやましく感じられました。