ママカメラマン山ちゃんの写真教室 コラム・ギャラリー
何年前だったか、実家の母からメールがあり「庭のユリが今きれいだから撮っておいて」と言われました。母の趣味はガーデニングなのですが、花がきれいに咲くタイミングは短く、「来週お友達が遊びにくるんだけどそれまで花がもたないからせめて写真だけでも見せたい」らしく「出来れば明日までに撮ってね」と言われました。たしかに、「花の命は短くて」ですからガーデニングをやっていれば一番きれいな状態を撮っておきたいと思うことでしょう。県内にガーデンがきれいと評判の新しい植物園があり、一度行ってみたいと思っていたので、そこで写真を撮ってみました。今回は庭の撮り方を考えてみましょう。
ガーデンの写真と言うとついつい全体を撮りたくなります。これは当然のことで、特にその庭を作ったガーデナーにとっては庭の隅まで気にかけてデザインしたものですから、隅から隅まで撮っておきたいのが当たり前です。いろいろな花が一度に咲いている様子も含めて全体を一枚撮っておきましょう[作例(3)]。後ろにスペースがあればちょっと下がって後ろのほうから少しでも望遠で全体を撮るようにすると庭全体の様子がわかりやすく、広角で撮るより余計なものをカットしやすくなります。
全体を撮ったらそれで終わりにせず、少し寄って撮りましょう。[作例(4)]は作例3の中央のラティスフェンスの一部を縦に切り取ってフレーミングした写真です。赤いバラと白いクレマチスのコントラストを撮ってみました。[作例(5)]はさらに寄った写真です。こうしてきれいに咲いている部分のアップも撮っておきましょう。記録用なら全体のカットだけでもいいと思いますが、お友達に見せたりするならアップもあったほうが楽しく見られます。実際に庭を見ているなら自分で近寄って花を近くから見ることも出来ますが、写真だけで見せる場合、近寄ることは出来ないわけですから、アップも撮っておいたほうがいいと思います。
庭っぽいアイテムを入れて撮る
正直に言うとガーデニングについて私自身はそれほど詳しく知らないのですが、母の庭を見る限り、ただ花をきれいに咲かせるだけでなく庭全体をデザインするのが楽しいようです。それほど広くない庭に小道を作ってみたり、木製のベンチを配置したりして、おしゃれなデザインにしようと考えて庭を造っています。花をきれいに撮るのはもちろんですが、こういったガーデニングアイテムを入れてフレーミングしたほうが庭っぽい印象の写真を撮る事ができます。[作例(1)]は花と緑だけでフレーミングした写真です。緑もホワイト系のグリーンなどちょっと違ったトーンのものがレイアウトされて植えてあり、デザインされている感じが出ています。しかしもうちょっと引いて手前の小道を少しだけ入れて撮った[作例(2)]のほうが庭っぽいイメージになっています。これは小道がアスファルトなどではなくウッドチップで、縁取りが小さな木の杭であることがポイントです。こういった絵になりそうなガーデンアイテムをちょっと入れると庭らしい雰囲気になります。