修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2009.01.07
前玉を外し、楽屋裏を隠している化粧カバーを外す。
秒時環を外すと、秒時制御部が顔を出す。
オリンパスペンの2枚羽根シャッターと同じで、機構が簡易に見受けられるが、分解時にバネの変形や部品の変形を招くと調整に苦慮する。
座金を外せばシャッターを分離できる。組み込む際は、シャッター固定ピンに合わせる。
シャッターを前後に分離するには3本のネジを外す。
1のネジは、絞りクリックの硬球を押さえている。2のネジは、シンクロ端子を押さえている。(変形に気を付ける)
レンズのF値が暗いので、絞り羽根の開放位置が赤矢印分ずらしてある。
絞り羽根清掃後の押さえ板の組み込みに注意。
間違えれば、180度ずらせば済みますが。。。
当時の加工精度は十分では無く、修正した痕跡が見受けられる。
羽根が外れない様、羽根開閉環の押さえ板に工夫がされている。
セットレバーの動きは重要であり、洗浄後新たなグリスを塗布する。
高速秒時を作り出すための補助バネがある。冶金技術が発達した今日では見られない仕様でもある。
羽根開閉環も外し、清掃して二硫化モリブデン粉を塗布する。
巻き上げレバーのセットネジを緩め巻き上げノブを反時計方向に外そうとしたが、巻き上げ軸が滑ってしまう、分解してみると逆転防止レバーの作用だけでは巻き上げノブを外すことが無理な機構になっていた。
そこで、スプールを外し、巻き上げ軸を押さえてから巻き上げノブを外したのである。
分解要領の資料が無い中、透視術だけでは分解できない。
無理をすれば万事休すである。
上カバーを外せば、内部は簡素な作りになっていた。
1954年10月の発売と言うから、小生、鼻垂れ小僧の時代であった。
価格は16,500円の高額商品である。お大尽しか買えなかったと思う。
この頃、思うことがある。機械式写真機が急速に失われていく。
修理をしてくれる所が無い、外注に出せば販売額を越えてしまうから商売にならない。
中古店は、何れ消滅するのか?それとも何とかなるのであろうか?
しかし、求めている方はいるようです。(可動品が前提)
ブログ記事「製薬会社のカメラ」「梅島の名機」も新たな所有者の元に旅立ちました。
日本橋店中古売場 田口由明
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。