修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2011.04.22
シャター開放のままですから巻き上げが出来ないと遠方から入院してきました。
シャター機構部内部の破損か?油分の湿潤が確認できたのでレンズシャターの持病か?ですかね!原因を探るために腑分けをして行きます。
前玉群を外します。ボロ隠しの化粧盤・前枠と外します。
組み品の秒時&絞り値環を分離し、台座を止めている4本ネジを外します。
後玉・座金を外しますと本体より分離されました。
経年変化で硬化した擬皮を剥がさないで済む仕様は有り難い。
シャター機構部に大きな損傷が無くセット環の裏側に取り付けてある部品に変形が見られます。補修部品無き中、慎重に修正を致します。 この後、シャターを分解・洗浄して良き音色を醸し出すのですが、問題の3回巻き上げになりました原因を探らねばなりません。
シャター組み品を仮取付して関連を探ります。結果、シャターが開いたままの原因を見つけました。三回巻き上げで停止するとシャターチャージ環が正規位置よりズレてしまうのです(上記画像を参照)。ズレの原因は何処かと上カバーを外すことにしました。
所がギッチョン。機構が無いのです。と、なると底部にあるのか?
1回目を巻き上げた此処の部品の状態です。誤動作防止レバーの役割は、1回目の巻き上げではレリーズ出来ないようにする働きがあります。
2回目の巻き上げをしますとシャタチャージカムは初期値となり、誤動作防止レバーもレリーズ出来る位置に移動します。では、巻き上げが3回になる原因は何処なのか?です。
底カバーを外して作業をしていますとポロッとスプロケット下歯車が落ちてしまう事です。
外したR釦を仮取付しておけば防げます。そこで、シャターチャージカムが初期位置に戻ったときに係止レバーが働く位置にスプロケット下歯車(赤点線部)を組み込めば良いわけです。再組み込をいたしますと2回巻き上げが蘇りました。
視野枠の内側に稲妻(カビ)が走っています。
距離計は贅沢な仕様です。プリズムが組み込まれ、ズレの生じが少ない摺動レンズが使われています。
当時は高かったのでしょうね!良き民具との初対面でした。
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