修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2012.07.13
初顔合わせのレンズです。生国は何処なのでしょうか?FBに投稿しましたら、三協光機から別れました共栄光学の海外向けブランドとの情報を戴きました。そう言えば漆黒の塗装が三協光機から受け継いでいると思います。所見はヘリコイドグリスの固着。頑固おやじの如しで回転しません。
では、恐る恐る腑分けをすることにします。
FBへ投稿しましたら、瓜二つのKOMURA製レンズをお借りすることが出来ました。
若干、仕様が変更されていますが、同一設計者と思います。
Lマウントレンズの定石としては締付環を外せばヘリコイド部と鏡筒部に分離をするはずでした。ところが、締付環の働きをしていない化粧盤でした。
Lマウント仕様としては珍しい設計でヘリコイドと鏡筒は、3本のネジで固定してありました。
両者の間に絞り値クリックの鋼球がありますのでヘリコイドと鏡筒を静かに分離します。
3本のネジを外し、距離環を分離します。
経年変化でグリスが固着していますから、加熱をすることで柔らかくします。
身近にあるドライヤーでも代用できます。
制限板を外し、ヘリコイドを時計方向に回転させ終端位置にして罫書きを入れます。
終端位置を確認したら反転させて中・外ヘリコイドを分離します。
外したヘリコイドはレンズの焦点を作り出すのですが、直進キーが取り付けてある一体型でした。もう一つは合致用のヘリコイドでカメラ本体側の距離計を作動させます。焦点用のヘリコイドを分離していく過程で合致ヘリコイドと、ある位置で溝から外れてしまったのです。ありゃらですね!
経年変化したグリスが酷い状態ですね!ベンジンでは溶けづらいのでシンナーを使用しました。この双子のヘリコイド仕様が、洗浄後、焦点用ヘリコイドと咬合させる位置を探るのに悩むことになります。
もう一つの合致用ヘリコイドは、組み込み位置を考えると外さずに洗浄する方法がよさそうです。容器に溶剤を入れ、合致ヘリコイドを前後に回転させながら洗浄します。
グリスの塗布は、送り込みと言う方法を取れば良いですね。
焦点用ヘリコイドにある直進キー位置を確認できませんからマーキングをして、先に罫書きした終端位置に組み込みます。そして、終端位置から少し戻しました。
その後、合致用ヘリコイドを送り込み焦点用ヘリコイドと咬合させるのです。
組み込みが終わりましたら、カメラ本体に取り付け合致を確認します。正しい位置ならば無限位置で二重像が重なります。焦点用の位置も測定器で測りますと無限が出ていました。
一時は、組み込み方は。。。と悩みましたが、ジャンク品にならずにホットした所です。
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