修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2012.11.16
ヘリコイドの回転が重く長い間引き出しで眠っていましたSUMMARONです。
なにげに手に取りましたので勉強することにしました。
レンズ後部より締付環を外すと、ヘリコイド部と鏡筒部とに分離しました。
締付環Bにあるセットネジを外します。セットネジの仕様は、先端までネジ切りがされてない理由が次の画像で判明しました。
セットネジは、締付環B・距離環・焦点用外ヘリコイドの三者を貫通して止めています。
ですから、セットネジを緩めただけで締付環を外そうとしますと破損する所でした。
ゲルマン人の性格でしょうか?各々の部品はタイトに加工されています。
それ故、僅かなゴミがありますと三者の穴が合いません。組み込む前に三者の対面を綺麗に清掃しておきます。
距離環には無限固定板が取り付けられていて被写界深度環の溝穴と咬合ていました。
組み込みの際は、無限固定板に取り付けられているジャバラバネの捌きに注意が必要のようです。
3本のネジを外し、被写界深度環を外しました。
ヘリコイドを無限位置として押さえ環を外しました。
押さえ環を外しますと、グリスによる貼り付き感がありますが、出来るだけ水平にして持ち上げると、焦点用ヘリコイドと合致用ヘリコイドとに分離でき、両ヘリコイドには相方の直進キーがありました。
画像は無限位置にして分離しましたので、参考の為に両直進キーとキー溝の関係を確認しておきました。
合致用ヘリコイドを分離するに当たり、暫しニラメッコをしました。
最善手は内ヘリコイドの終端位置を確定すれば良いのですが。。。
朗報でしょうか?内ヘリコイドに罫書きがありました。内ヘリコイドを反時計方向に送り込みますと焦点用直進キーに当たり、終端位置となったのです。
回転が重い原因まで外すことが出来ました。合致用ヘリコイドは剥き出しであるからしてゴミや埃を吸い寄せてしまいます。又、線条も細かいので尚更ですね!
線条が細かいと言うことは、咬合させるに慎重な取扱をしなければなりません。
焦点用ヘリコイドも終端位置が探れるか?でした。
何度もひっくり返して終端位置になるか、の探りを入れます。
仕様的に終端位置になると確信して内ヘリコイドを反時計方向に回転させました。
外・内ヘリコイドに罫書きを入れます。
焦点用の線条も細かいですね!組み入れの際に細かすぎて平行を出すのに苦労しました。
確信は不信でもあり、内ヘリコイドと外ヘリコイド分離基準を何処にするかでした。
一つの考え方として金床を利用する事でした。金床は400gの重さがあり平面加工してあります。金床を乗せて重石とし、内ヘリコイドを繰り出して外ヘリコイドと面位置に合わせれば平行が取れた事になります。そして、両者間に罫書きを入れたのです。
結果は、内ヘリコイドを反時計方向に回転させ終端位置の確認が取れましたのでボツとなった次第です。
残るはグリスの選定でしたが、キヤノン化成製DC-4を塗布すると、良い回転となり、長らく失念しておりましたレンズが蘇りました。
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